休憩時間の分割は違法になる?注意点を詳しく解説します

2022年7月9日

イメージ

労働基準法で従業員に与えることが義務付けられている休憩時間ですが、一括で休憩を取ってしまうと特定の時間帯に人手不足となる可能性があります。また勤務時間が長時間となることから、従業員の集中力や生産性が低下してしまうこともあるかもしれません。これらを避けるために、休憩時間を分割することは法的に可能なのでしょうか。今回は休憩時間の分割が適法になるケース、違法になるケース、休憩時間を分割する際の注意点を詳しく解説します。

労務管理に便利なクラウド型勤怠管理システムAKASHIの資料はこちら>>

休憩時間は分割できる

そもそも休憩時間とは

休憩時間とは労働時間の途中に設置される、従業員が仕事から離れることを保障された時間です。労働時間の長さによって、最低限付与すべき休憩時間の長さが決められています。労働基準法で定められている休憩時間は以下の通りです。

表はスライドできます

労働時間 必要な休憩時間
6時間以内の場合 0分以上
6時間を超えて8時間以下の場合 45分以上
8時間を超える場合 1時間以上

休憩時間を分割する際の注意点

休憩時間の分割自体は問題ありませんが、いくつかの点に注意しなければなりません。まず、従業員が十分に休憩できる範囲での分割が推奨されます。あまりに時間が短すぎて従業員が休息を取れないような分割は認められないので注意しましょう。次に、手持ち時間も休憩とは認められません。手持ち時間とは実際の業務には従事していないものの、待機などを命じられている状態です。従業員は業務に拘束されているとみなされ、休息とは扱われません。休憩時間の分割を検討する場合は、従業員への配慮を忘れないようにしましょう。

休憩時間の分割が適法になる3つの原則

途中付与の原則

休憩時間が与えられるのは、労働時間の途中でなくてはならないと定められています。終業時間の後や、始業時間の前のタイミングでの休憩時間の付与は認められていません。もし、従業員が途中の休憩は要らないと言ったとしても、企業が休憩を付与しない行為は違法です。必ず労働時間と労働時間の間に、休憩を与えるようにしましょう。なお、休憩時間を付与するイミングには決まりはありません。昼の12時から付与するケースが目立ちますが、13時から休憩を途中付与しても問題ありません。

自由利用の原則

休憩時間は、業務からの解放が保障された時間です。従業員には与えられた休憩時間を自由に利用する権利があります。従って、企業は従業員の休憩時間の自由利用を妨げるような行為を行ってはなりません。例えば、休憩時間にもかかわらず、電話や来客の対応を従業員に任せてしまうのは自由利用の原則に反します。従業員は自由な行動を取れず、業務から解放された状態ともいえないためです。自由利用の原則に沿っているか、自社の休憩時間の使われ方を再確認してみましょう。

一斉付与の原則

休憩時間は原則として事業場のすべての従業員に、同時に与えなければなりません。しかし、業務の性質上、従業員全員が同じタイミングで業務を離れることが不都合をもたらすケースもあります。そうした場合は、労使協定の締結によって一斉付与の適用除外が可能です。さらに、一斉付与の原則が適用されない業種として以下のサービス業が該当します。

  • 商業
  • 運輸交通業
  • 接客娯楽業
  • 通信業
  • 映画・演劇業
  • 保健衛生業
  • 金融広告業
  • 官公署

休憩時間の分割が違法になるケース

休憩時間の分割が細切れ過ぎる場合

休憩時間の分割付与は問題ありませんが、分割の度合いには限度があります。1日の休憩時間を細かく分割して、1回あたりの休憩時間が極端に短くなってしまう場合は注意が必要です。短すぎる休憩時間では従業員は十分に休息を取れず、食事などの時間も確保できません。休憩時間の自由利用の原則に抵触してしまうため、違法として扱われるリスクが高まります。例えば、食事を含む休息は余裕を持たせて30分以上に設定するなど、休憩時間の分割にも最低限の配慮を行うようにしましょう。

企業の都合で休憩時間を中断する場合

休憩時間には自由利用の原則があり、与えられた休息時間の間は業務から完全に解放される状態が必要です。分割した休憩時間であっても、企業の都合で中断することは控えるべきです。もし、緊急の仕事が発生したとしても、従業員の休憩時間を阻害してはなりません。特に、休憩時間を分割すると、1回で従業員が休める時間は短くなってしまいます。仕事と休憩の境目を明確にして、従業員にリフレッシュしてもらうように心がけましょう。

従業員に休憩時間の分割を通知していない場合

休憩時間の長さや休息できるタイミングなどは、従業員にとって重要な労働条件の1つです。労働基準法では、従業員の雇用時に給与などの労働条件を明示しなければならないと定められています。休憩時間も同様に書面などを交付して、明確な説明が必要な項目です。就業規則の作成においても、休憩時間に関する労働条件は必ず記載しなければなりません。従って、従業員へ説明を行わず休憩時間の分割を実施すると違法になる可能性があります。休憩時間の分割が決定したのであれば、労働条件通知書や就業規則に考え方などを記載して従業員に周知しましょう。

関連記事:

まとめ

一定時間以上働く従業員に対して、休憩時間の付与は企業の義務です。健全な職場環境を構築するためにも、休憩時間は適切に管理されなければなりません。休憩時間の分割は可能ですが、極端な分割や休憩を阻害する行為は厳禁です。分割を実施したとしても、十分に従業員が休息できるか確認を行う姿勢が求められます。会社都合の休憩時間の分割で、従業員に不便な思いをさせる事態は避けるべきです。休憩時間の3つの原則をよく思い出して、従業員がしっかりと休めるための配慮を怠らないようにしましょう。

「AKASHI」の資料・事例集を
ダウンロード >
tag

勤怠管理システム
「AKASHI」

カンタン登録ですぐにお試し可能です

30日間無料 全機能を体験できます 無料トライアル 今すぐ試してみる 30日間無料 全機能を体験できます 無料トライアル 今すぐ試してみる

活用方法や事例をご紹介

資料・事例集をダウンロード

毎日開催中。まずは聞いてみる

個別オンラインデモ