休憩時間が取れなかった場合は違法?対策と解決策を解説

2023年6月14日

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労働基準法では、従業員に対して一定の休憩時間を勤務時間に設けることが義務付けられています。しかしながら、業務が忙しく休憩時間を十分に取れない状況が発生することもあるでしょう。そのような場合には、単に残業代を支払うだけでは十分ではなく、従業員に別の休憩時間を与える必要があります。従業員の健康や生産性のためにも、休憩時間を十分に取ることができるよう環境整備を行いましょう。今回は、休憩時間の原則と従業員が休憩時間を取れなかった場合の対処法や対策について解説します。

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休憩時間とは?

休憩時間の付与は法で定められた義務

休憩時間の付与は、法で定められた事業主の義務です。労働基準法には、事業主は6時間超の労働に対しては少なくとも45分、8時間超の場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければならないと定められています。一方、6時間以下の労働に対して休憩を与える法的な義務はありません。労働時間と休憩の関係を整理すると下記のとおりです。

労働時間 休憩時間
6時間以下 不要
6時間超8時間以下 45分以上
8時間超 1時間以上

休憩時間の買い上げは違法

休憩時間とは、法的に労働が免除される時間です。労働者が労働から離れることを認められた時間であり、休憩中は賃金が支給されません。休憩は賃金と代替できないため、休憩の買い上げは違法です。
一部の企業では、従業員に休憩を付与しない代わりに賃金を支給するといったケースも見られますが、法的には認められないため気をつけましょう。取れなかった休憩は、原則再付与でしか補填できません。業務上の都合で万が一休憩を取れなかった場合は、別の時間帯に再付与するなどの工夫が必要です。

休憩時間を付与しないと労働基準法違反で罰せられる

休憩付与の義務を怠った場合、労働基準法違反で罰せられるため注意が必要です。労働時間を管理する管理監督者は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
また、休憩は法で定められた労働免除時間なので、従業員の休憩中に労働をさせてはいけません。例えば、休憩中に来客対応や電話対応などを指示することは、休憩を与えたとは認められないため気をつけましょう。労働には従事していないものの職場から待機を命じられている、いわゆる「手待ち時間」は休憩には該当しないということを覚えておきましょう。

労働者が自主的に返上した場合は責任がない

一方、管理監督者の指示に反して労働者が自主的に休憩を返上した場合は責任を負いません。例えば、少しでも早く作業を終わらせたいため、休憩中も仕事を行った場合などが該当します。管理監督者が適宜休憩を取るように指示していた場合は義務を果たしたものと見なされ、たとえ労働者が休憩を返上したからといっても罰則は科されません。
ただし、適切に休憩を取得するよう指示や指導は続ける必要があります。それでも休憩を返上するような事態が続く場合は、賃金の支払いを拒否したり、懲罰の対象としたりすることも可能です。

休憩付与の3つの原則

休憩時間は労働時間の途中で付与しなければならない

休憩時間の付与には3つの原則が存在します。一つ目の原則は「途中付与の原則」とよばれ、休憩は労働時間の途中で付与する必要があります。労働の疲れを癒やし、労働者の健康を維持するための大切な時間が休憩です。就業前や終業後に与えても、休憩の意味を成しません。
なお、残業などで追加の休憩が必要となって場合は、速やかに取得させましょう。後回しにしてしまうと、途中付与ができず問題となるため注意が必要です。

休憩時間は一斉に付与しなければならない

二つ目の原則は「一斉付与の原則」です。休憩は原則一斉に付与する必要があります。しかし、業務形態によっては一斉付与が難しい場合もあるでしょう。そのような場合は、労使協定を締結することで個別に付与することも可能です。労働者の過半数からなる労働組合が存在する場合は労働組合と、労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者と労使協定を結ぶ必要があります。
さらに、利用者の利便性を確保するため、下記の業種については一斉付与の原則が適用されません。

  • 運輸交通業(法別表1第4号)
  • 商業(法別表1第8号)
  • 金融保険業(法別表1第9号)
  • 興業の事業(法別表1第10号)
  • 通信業(法別表1第11号)
  • 保健衛生業(法別表1第13号)
  • 接客娯楽業(法別表1第14号)
  • 官公署の事業(法別表に掲げる事業は除く)

休憩時間は自由に利用できなければならない

三つ目の原則は「自由利用の原則」です。休憩は労働者の自由に利用させる必要があります。労働者が労働から解放される時間が休憩なので、休憩中に業務を依頼したり労働を課したりすることはやめましょう。例えば、休憩中の来客対応や電話対応は手待ち時間として見なされ、休憩には該当しません。業務上の都合でこれらの対応が必要な場合は、別途休憩を付与しましょう。ただし、警察官・消防団員・児童養護施設の一部の職員などは自由利用の原則が適用されません。

休憩時間が取れなかった際の対処法

時間帯をずらして休憩時間を付与する

業務上の理由などによって規定の時間に休憩を取れなかった場合は、時間帯をずらして再付与しましょう。取れなかった休憩は、再付与によって補填することが原則となります。なお、休憩を付与するタイミングは、業務形態などにあわせて自由に決められます。就業規則などの規定に従い付与するのが一般的です。ただし、途中付与の原則に従い、必ず労働時間の途中に付与する必要があります。就業前や終業後の付与は認められないため注意が必要です。

分割して休憩時間を付与することも可能

休憩は分割して付与することも可能です。業務が多忙で一括の付与が難しい場合は、分割付与も検討してみましょう。例えば、7時間労働の従業員に対し、15分休憩を3回に分けて付与するケースなどが考えられます。
ただし、分割付与する際は必ず休憩時間の合計が労働基準法の規定以上となるように注意が必要です。また、あまりに短すぎる休憩は手待ち時間として見なされ、休憩時間としては認められないため気をつけましょう。労働者の休息となるよう、ある程度まとまった時間を付与することが重要です。

どうしても休憩時間を取れなかった場合は賃金を支給する

業務多忙などでどうしても休憩を取れなかった場合は、労働に見合った賃金を支給する必要があります。法定労働時間内であれば、通常の賃金を支給しましょう。休憩中に働いたことで法定労働時間を超えた場合は、時間外労働として割増賃金を支給する必要があります。なお、賃金を支払ったからといって休憩付与の義務を果たしたことにはなりません。労働基準法違反の状態であることには変わりがないため、合理的な理由なく休憩を付与しない行為は罰則の対象です。懲役刑または罰金刑が科される可能性があるため、労働時間の管理には十分注意しましょう。

まとめ

今回は休憩時間の概要と、休憩を取れなかった際の対処法についてご紹介しました。休憩時間の付与は、法で定められた事業主の義務です。合理的な理由なく休憩時間を付与しない行為は、労働基準法違反で罰せられます。業務多忙などで休憩時間が取れなかった場合は、時間帯をずらして再付与する、分割付与するなどの工夫が必要です。どうしても休憩を取れなかった場合は、労働に見合った賃金を支給してください。
休憩時間は、労働者の健康を維持するための大切な時間です。当記事を参考に、休憩を確実に取得できる労働環境を整備しましょう。

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