ナレッジワーカーとは、自分の知識によって企業に付加価値を生み出す労働者のことを指します。ナレッジワーカーになるためには、いくつものスキルを身につける必要があります。その例としては、豊富な知識をアップデートするための情報収集能力や、必要な情報を見極め、その情報をもとにアクションを起こしていくための分析力などが挙げられます。また、奇想天外なアイディアや施策を提案し、実現するためのチャレンジ精神なども必要なスキルです。
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知識によって付加価値を生み出す労働者
ナレッジワーカーとは、自身が持つ知識によって付加価値を生み出す労働者です。「知識」を表す「knowledge」に「労働者」を表す「worker」を組み合わせた言葉で、日本語では「知識労働者」ともいいます。オーストリアの経営学者ピーター・F・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)が自書のなかで提唱した造語で、従来の肉体労働や現場作業、単純作業などを行う労働者の対となる概念です。ナレッジワーカーは、自身の知識や収集した情報を駆使して、価値のある新たな知的生産物を生み出します。具体的には、エンジニアやデータサイエンティスト、コンサルタント、アナリスト、士業、専門医などが代表的なナレッジワーカーです。
ナレッジワーカーが求められる背景
ナレッジワーカーが求められる背景には、第4次産業革命の影響と、消費動向の変化が挙げられます。第4次産業革命は「インダストリー4.0」ともいわれ、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)を利活用することで、社会や経済の構造を大きく変える製造業の革新です。あらゆるモノ・コトがDX化されるインダストリー4.0では、単純作業はロボットやAIが代替するため、労働者には人間にしかできない知的作業が求められます。加えて、価値観の変化に伴い、大量生産・大量消費による「モノの消費」から、体験に価値を見いだす「コトの消費」に消費動向が変化してきました。消費者のニーズに合わせた製品やサービスを実現するため、新しい価値を生み出すナレッジワーカーが求められるようになったのです。
マニュアルワーカーやホワイトカラーとの違い
ナレッジワーカーの対義語として用いられるマニュアルワーカーは、マニュアルに従い単純作業を行う労働者です。高度経済成長期や大量生産など、生産性の向上には必須の働き方で、正確かつ迅速な作業遂行が求められます。知識を駆使して価値を生み出す知的作業を行うナレッジワーカーに対し、マニュアルワーカーは単純作業のみを行う労働者です。一方、工場や現場で働くブルーカラーの対義語として用いられるホワイトカラーは、オフィスで働く労働者全般を指します。ナレッジワーカーは知識労働者のみを指すのに対し、ホワイトカラーは単純労働者であるマニュアルワーカーも含む広義の概念です。
ナレッジワーカーに必要なスキル
情報収集能力
ナレッジワーカーには、さまざまなスキルが求められます。なかでも、知的生産活動に重要な情報を収集する情報収集能力はとりわけ重要です。知識を知的生産物に変えるナレッジワーカーは、日々最新の情報を選択・収集し、役立つ情報を蓄えて知識に変えていきます。知識によって付加価値を生み出すためには、情報を収集し、取捨選択する能力が必要です。ビジネスだけでなくプライベートにおいても、常にアンテナを張って情報を収集し、知的生産活動に必要な知識を蓄える姿勢が求められます。
コミュニケーション能力
ホワイトカラーに分類されるナレッジワーカーは、オフィスのデスクに向かって黙々と業務をこなす光景をイメージする方も多いかもしれません。しかし、知識の源泉や課題解決のヒントが組織のなかに潜んでいることも少なくありません。特に、コンサルタントなどのナレッジワーカーは、組織に潜む潜在的な課題を掘り起こし解決に導くため、高度なコミュニケーション能力が必要です。知識で課題を解決に導くナレッジワーカーは、他者の話に耳を傾け情報を収集し、必要に応じて対話をすることでニーズを引き出すコミュニケーション能力が求められます。自身の持つ知識を言語化し、わかりやすく組織に伝える姿勢も非常に重要です。
問題発見・分析・解決能力
与えられた課題を解決するだけでなく、まだ顕在化していない問題を発見し、分析して解決に導くのがナレッジワーカーの本質です。目に見える課題に加え、潜在的な問題を発掘するため、組織の内外を問わず問題発見能力が求められます。さらに、可視化された問題を客観的に分析する問題分析能力や、知識を駆使して問題を解決に導く問題解決能力なども必要です。課題の解決策を提案し、解決に導くためには、現実的なゴールを設定し、ゴールに到達するために必要なタスクやスケジュールを逆算して考える逆算思考が求められます。
発想力・創造力
知識によって付加価値を生み出すナレッジワーカーは、さまざまな情報を複合的に組み合わせて新たな知識や新しいアイデアを生み出す発想力・創造力が必要です。例えば、既存の業務や組織に潜在的な課題が潜んでいる場合、マニュアルに従い業務の遂行に注力するマニュアルワーカーでは、課題をあぶり出すことは難しいかもしれません。問題発見能力に優れ、発想力のあるナレッジワーカーであれば、他者が気付かないような問題を発見し、分析して解決に導くことが可能です。知的生産活動を担うナレッジワーカーは、斬新なアイデアで課題を解決し、付加価値を生み出す発想力・創造力が求められます。
発信力
豊富な知識を有していても、属人化してしまっていると組織としての価値向上にはつながりません。知識で組織に付加価値を生み出すナレッジワーカーは、自身が持つ有益な情報を共有できる状態まで言語化し、組織に伝える発信力が必要です。発信力のあるナレッジワーカーが共有した知識は、滞りなく組織内に広がり、定着します。ただし、斬新なアイデアや発想を受け入れる風土がない組織の場合は、知識の伝播に時間がかかる恐れがあるのも事実です。新しい知識を受け入れにくい組織風土では、ナレッジワーカーの発信力を発揮できない可能性もあります。日頃から、さまざまな情報や知識を受け入れられる組織風土の醸成を心掛けましょう。
決断力・チャレンジ精神
問題を解決し、付加価値を生み出すナレッジワーカーは、新たな発想やアイデアを生み出すだけでなく、言語化して提案し、具体的に実行する必要があります。アイデアを形にして実行し、実現するには決断力やチャレンジ精神が必要です。斬新なアイデアや発想は必ずしも成功する保証もなく、ときには失敗してしまうかもしれません。新たな道を切り拓くナレッジワーカーは、失敗を恐れず決断し、何度でも挑戦するチャレンジ精神が求められます。また、失敗を糧に知識やアイデアをブラッシュアップし、成功の確度を高める姿勢が重要です。
まとめ
今回はナレッジワーカーについて解説しました。ナレッジワーカーとは、自身の持つ知識によって企業に付加価値を生み出す労働者です。マニュアルに従い単純作業を行うマニュアルワーカーに対し、ナレッジワーカーは知識や情報を駆使して知的作業を行います。ナレッジワーカーになるには、情報収取能力やコミュニケーション能力、問題発見・分析・解決能力、チャレンジ精神などが必要です。第4次産業革命の影響や消費動向の変化によって、今後ますますナレッジワーカーの需要は高まると考えられます。インダストリー4.0の時代を生き抜くためには、ナレッジワーカーに求められるスキルを意識しながら仕事を行うことが重要です。