
サービスプロフィットチェーンとは、従業員満足度の向上がサービス品質や顧客満足に結びつき、最終的に企業収益と成長につながる好循環の仕組みを指します。具体的には、従業員に働きやすい環境や教育を提供し生産性を高めることで、顧客満足度が高まりリピートや口コミによる収益増加が期待できます。実現に向けた取り組み例として、従業員満足度調査や顧客ロイヤルティ(NPS)調査の実施、分析を通じて課題を把握し改善する方法などが挙げられます。今回は、サービスプロフィットチェーンを実現するポイントや、取り組み事例などについて解説します。
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従業員満足度が企業価値を高めるという経営モデル
サービスプロフィットチェーンは、企業が従業員に対して適切なサポートを行うことで従業員満足度が向上し、それが結果的に顧客満足度や企業成長につながることを示した経営モデルの1つです。企業からサポートや職場環境の整備などの内部調整を行うと、従業員が企業や組織に対して信頼感や帰属意識を持ちやすくなります。その結果、仕事へのモチベーションや生産性が向上し、顧客へ届くサービスや製品の品質も向上することから、顧客からの信頼感や満足感も得られるようになり、成長曲線を描いていけるようになる仕組みです。
サービスプロフィットチェーンの重要性
企業の発信力ももちろん重要ですが、近年はSNSの普及などにより消費者の意見は瞬時に広がります。よいイメージやポイントが多くの人に知れ渡れば企業の成長やブランド力向上など多くのメリットが期待できますが、反対に悪い口コミや不祥事などのネガティブな要素も瞬時に広まってしまう可能性もあります。顧客満足度を上げることで、口コミサイトやSNSなどによる消費者目線の情報が、企業にとって高い収益性や成長につながる大きなきっかけとなり得ます。また、顧客と従業員の双方のロイヤリティを重要視することで、短期的な利益ばかりを追及するのではなく、長期的な成長を目指すために、組織として重要な要素と考えられるでしょう。
サービスプロフィットチェーンの実現ポイント
従業員満足度と顧客満足度の関係
顧客体験や顧客満足度の向上の裏には、組織に対する従業員の満足度が大きく関係しています。ここでいう従業員の満足度は、単なる「働きやすい」「報酬がいい」といった表面的な満足度だけでなく、自身の業務へのやりがいや価値を感じ、企業のビジョンや目的に対して深い共感を得ることで、「企業に貢献したい」という強い気持ちを育む取り組みを指します。従業員が企業への貢献度を上げるために、顧客との関係やサービス・ものづくりに対してよりよくしようと自発的に取り組むようになると、顧客満足度も比例して上昇することが期待できるでしょう。
長期的な視点で取り組む
この経営モデルは、1つのプロセスを進めたからといって短期的に効果が現れる手法ではありません。従業員満足度を向上させるためにはまず職場環境や報酬・福利厚生の見直し、透明性のある評価制度の整備など、改善するためにはコストや手間もかかります。ここから最終的に顧客満足度の向上を目指すためには、いくつものステップを進めていくことを前提としているため、すぐに結果を出そうとせず長期的に計画を立てて仕組みを積み上げていく必要があるでしょう。
組織の利益を従業員へ還元する
よりよくサービスプロフィットチェーンを持続的に循環させていくためには、初期の段階で従業員満足度を上げたらそれがゴールというわけではありません。プロセスを進めていく間に得られた利益を積極的に従業員のもとへ還元させることで、さらに強固なサイクルを築き上げることができます。具体的には、昇給や賞与、福利厚生などの充実、教育や支援サービスの提供などを実施して、各従業員のエンゲージメントやモチベーションをより一層高められると、さらなる企業成長が見込めるでしょう。
サービスプロフィットチェーンの取り組み方
従業員満足度調査
匿名のアンケートによって実施されることが多く、その名のとおり従業員が現在の職場環境や待遇、業務などさまざまな要素に対する満足度を計測し、現状の課題や改善点などを可視化したうえで具体的な施策を決定するための調査です。具体的な調査内容としては、「業務内容」「上司やチームとの関係性」「企業の将来性」「待遇や処遇」など、その企業が把握したい内容を絞り込んで調査を実施します。
顧客ロイヤルティ(NPS)調査
顧客に対する調査というと、以前は「顧客満足度調査」が一般的に行われていましたが、この顧客ロイヤルティでは回答者自身の満足度ではなく、「自社の商品(またはサービス)を他人にすすめたいと思うか」という視点で設問が展開されています。「すすめたい(推奨)」割合から「すすめたくない(批判)」の割合を引いた数が、その企業の顧客ロイヤルティ(NPS)の数値として算出できるという仕組みです。単純な商品やサービスの満足度だけでなく、企業のブランド力や信頼性なども可視化できる強みがあります。
eNPSの活用
eNPSとは、従業員に対して行われるエンゲージメント調査の手法です。「この企業で働くことを周りの人にすすめたいと思うか」という質問を中心に展開され、この回答により企業に対する愛着やエンゲージメント、信頼性を数値化して回答してもらう方法です。前述の満足度調査よりも、「他人にすすめられるか」という視点は高得点を出すことが難しい傾向にあるため、より切実な課題や改善点が浮彫りになることもあります。
まとめ
近年の企業競争では、差別化やオリジナリティの創出が難しく、これまでにない取り組みを実施せざるを得ないケースも少なくないでしょう。サービスプロフィットチェーンのサイクルを導入すると、まずは組織内の充実度を拡充させ、最終的に顧客の満足度やエンゲージメント向上への貢献につながり、企業や組織としてさらなる成長を遂げるためのきっかけとなり得るかもしれません。
