12時間労働は違法?法律違反のケースと違反していないケースに関して解説します。

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労働基準法のなかで1日の労働時間は8時間と決められています。しかし、従業員の1日の労働時間が12時間を超えることもあるのではないでしょうか。従業員の12時間労働は違法になるケースと違法にならないケースがあり、法律違反をしないよう十分な注意が必要です。今回は労働時間の概念、12時間労働が違反になるケース、違反にならないケース、12時間労働のデメリットに関して詳しく解説します。

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12時間労働は違法になるの?

法定労働時間のおさらい

法定労働時間とは、労働基準法によって定められた労働時間の上限で、1日8時間、週40時間までとされています。企業は従業員の業務時間について、この法定労働時間を守らなくてはなりません。また、似た言葉として所定労働時間があります。所定労働時間とは、企業が独自に定める勤務時間を指します。法定労働時間の範囲内で所定労働時間を設定する必要がありますが、2つの時間にはずれが生じるケースもあるため混同しないように注意が必要です。

12時間労働には36協定の締結が必要

一般的に12時間労働は、法定労働時間に抵触するため行うことができません。しかし実際には、36協定を締結すれば、12時間労働も可能となります。36協定とは、企業が法定労働時間を超えて労働を命じる場合に必要とされる協定です。正式名称は「時間外・休日労働に関する協定届」であり、労働基準法36条に基づいているため36協定と呼ばれています。ただし、36協定には時間外労働の上限が設けられているので注意が必要です。12時間労働を慢性化させるのではなく、計画的に時間外労働を行う取り組みが求められています。

12時間労働の休憩時間について

そもそも休憩時間とは、従業員が権利として労働から離れることが保障されている時間です。一定時間以上の勤務をする従業員に対して、企業は休憩時間の付与も適切に管理しなければなりません。具体的には、労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩の付与が必要です。つまり、12時間労働の場合は少なくとも1時間の休憩を付与しなければなりません。忙しいからという理由で休憩時間の付与を怠ると、法令違反となるため注意しましょう。

12時間労働が違反になるケース

36協定の上限を超えた労働をさせている

36協定を締結したとしても、時間外労働の制限がなくなったわけではありません。時間外労働の限度については、原則として1ヶ月で45時間、1年で360時間と定められています。ただし、上限規制には特別条項という例外の設定も可能です。特別条項における労働条件のルールは以下の通りです。

  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働および休日労働の合計が、複数月(2~6ヶ月のすべて)平均で80時間以内
  • 時間外労働および休日労働の合計が、1ヶ月当たり100時間未満
  • 原則である1ヶ月当たり45時間を超えられるのは1年につき6ヶ月以内

12時間労働が慢性化した結果、上限を超えてしまうと違反として扱われます。12時間労働は従業員の健康を第一に考え、計画的に実施しましょう。

残業代が正しく支払われていない

企業は12時間労働を行った労働者に対し、残業代を正しく支払わなくてはなりません。法定労働時間を超えて残業を命じた場合、企業は通常の賃金よりも25%以上の割増の残業代を支払う必要があります。割増賃金の種類と割増率は以下の通りです。

表はスライドできます

種類 支払う条件 割増率
時間外 法定労働時間を超えた場合 25%以上
36協定の限度時間(1ヶ月45時間、1年360時間)を超えた場合 25%以上
時間外労働が1ヶ月に60時間を超えた場合 50%以上
休日 法定休日に勤務させた場合 35%以上
深夜 22時から5時までの間に働かせた場合 25%以上

休日を与えていない

仕事が忙しく、法定休日に12時間労働が必要なケースもあるかもしれません。法定休日とは、企業が従業員に対して必ず与えなければならないと法律で決められている休日です。企業は従業員に対して毎週少なくとも1回、あるいは4週間を通じて4日以上の休日を与える必要があります。この法定休日に労働が必要な場合には、36協定を締結して労働基準監督署への届け出が求められるので注意しましょう。もし、違反した場合の罰則は6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられます。

12時間労働が慢性化するデメリット

過労死などのリスクが高まる

長時間労働が原因で健康が害されると、過労死のリスクが高まります。慢性的な長時間労働は労働の負荷を大きくするだけでなく、従業員が十分な睡眠や休養時間を取れなくなる原因です。さらに、家庭との時間やプライベートを楽しむ時間も削ってしまい、心身ともに疲労が蓄積しやすい状態に陥るリスクがあります。結果として脳や心臓の病気、精神疾患などの重大な健康障害にもつながりかねません。過労死といった最悪のケースを回避するためにも、企業には従業員の労働時間の適切な管理が求められます。

事業場名が公表される場合もある

厚生労働省は度重なる違法な長時間労働を撲滅するため、行政指導の段階でも企業名の公表があるとして、以下のように方針を発表しました。「長時間労働に係る労働基準法違反の防止を徹底し、企業における自主的な改善を促すため、社会的に影響力の大きい企業が違法な長時間労働を複数の事業場で繰り返している場合、都道府県労働局長が経営トップに対して、全社的な早期是正について指導するとともに、その事実を公表する。」実際に行政指導の段階で、労働局による企業名の公表も行われています。企業としては社会的な信用の大きな喪失につながるため、長時間労働が発生する環境を見直さなければなりません。

民事訴訟に発展する恐れがある

企業と従業員の間で、長時間労働を争点とした民事訴訟が起こっています。例えば、長時間労働が原因で従業員が病気になってしまったケースを考えてみましょう。企業には「使用者は労働契約に伴って、労働者が生命・身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」という安全配慮義務があります。長時間労働と従業員の病気に因果関係が認められれば、企業は安全配慮義務を怠ったと評価される恐れがあるのです。結果として、多額の賠償金の支払いが必要となる場合も生じています。民事訴訟といった争いを回避するためにも、問題のある職場環境の改善を行いましょう。

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まとめ

日本は先進国の中でも長時間労働が問題になっている国です。年次有給休暇の取得率の低さもトップクラスで、休まずに働きすぎる文化が蔓延している企業も少なくありません。しかし、こうした長時間労働の習慣を改善しようとする動きが社会で広がっています。企業としては全ての従業員がより良い将来の展望を持てるような、優れた労働環境の構築を目指していかなくてはなりません。12時間労働を計画的に行えるような取り組みを、スタートしてみてはいかがでしょうか。

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