研修の際に気をつけたい労働時間の判断ポイントをご紹介!

2021年7月5日

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企業が行う研修が、労働時間に当たるかどうか判断する際は、研修への参加が強制されているか、もしくは、強制でなくとも人事査定や処分に影響する可能性があるかどうかがポイントになります。強制力があるとみなされる場合や、査定や処分に影響する場合は勤務時間の内外に関わらず労働時間に含めなければなりません。今回は労働時間の定義や研修が労働時間に含まれるかどうかの判断、研修中の適切な休憩、研修を実施する際の注意点について解説します。

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労働時間の考え方の再確認

労働時間の定義

労働時間とは、雇用主の指揮命令下で、従業員が業務に従事する時間のことをいい、次項に説明する「所定労働時間」がおもな労働時間になります。ただし、雇用主の明示または黙示の指示により業務に従事しなければならない時間も、労働時間になるため、労働時間は必ずしも所定労働時間内に収まりません。たとえば、業務に付随する清掃や着替えなどの準備行為をする時間、労働から完全に離れられない待機時間なども、労働時間として扱う必要があります。

所定労働時間と法定労働時間の違い

就業規則や労働契約のなかで定められた、業務を行うべき時間を「所定労働時間」といいます。たとえば、始業時刻が9時、終業時刻が18時、休憩時間が1時間の企業であれば、所定労働時間は8時間です。

一方、「法定労働時間」は、労働基準法で規定されている労働時間の限度を指します。労働基準法第32条において、労働時間は、休憩時間を除き、1週間は40時間、1週間の各日は8時間を超えてはならないことが定められています。所定労働時間は、法定労働時間内に収まるように設定する必要があるのです。

残業時間の規定

  • 残業時間とは
  • 一般に所定労働時間を超過して働いた時間のことをいいます。残業時間には、「法定時間内残業」と「法定時間外残業」という考え方があり、どちらに当てはまるかによって、残業代の計算が変わってきます。たとえば、所定労働時間が6時間の場合は、2時間残業しても、1日あたりの法定労働時間8時間はオーバーしません。このような残業は、「法定時間内残業」といい、もちろん残業代は支払われますが、割増賃金の対象にはなりません。一方、所定労働時間が8時間の場合に2時間残業をすれば、この残業は「法定時間外残業」です。法定時間外残業の場合は、残業代に加えて割増賃金の支払いが必要になります。

  • 36協定を締結しなければ残業はできない
  • 残業を行うためには、労使間で36協定を締結しなくてはなりません。36協定とは、労働基準法36条に基づく労使協定であり、企業が従業員に法定労働時間を超えて労働を命じる際に、締結する必要があります。ただし、36協定を締結したからといって、際限なく時間外労働をさせて良い訳ではありません。時間外労働には上限が設けられており、月に45時間、年に360時間までと定められています。もし、36協定に違反した場合は、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられるので注意しましょう。

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研修は労働時間になる?

企業によっては、従業員の能力向上や業務に必要な学習のために、研修の時間を設けることがあります。研修の内容によって、該当者が全員参加しなければならないケースや、自由参加で構わないというケースがあるでしょう。研修が就業後や休日に行われる場合、その時間に賃金が支払われるかどうか、気になるところです。このような研修と労働時間の関係を、法律ではどのように定めているのでしょうか。

研修が労働時間に含まれるケース

参加することで賃金が支払われる研修、つまり労働時間としてカウントしなければならない研修とはどのようなものでしょうか。判断のポイントとなるのは、受講内容が業務上必要不可欠なものであり、参加に義務が生じるかどうか、という点です。つまり、当該研修に参加しなければ仕事ができないため、不参加によって生じる不利益が大きい研修や、上司から必ず参加するように言われた研修は、労働時間に該当すると覚えておきましょう。また、必ずしも参加を強制されていない場合でも、研修内容に関してレポート提出を命じられているケースや、研修の参加が昇給や人事査定に影響するケース、企業に実施義務のある消火訓練や避難訓練などは、実態から参加義務があると判断されるため、労働時間として扱われます。

研修が労働時間に含まれないケース

一方、出欠の判断が従業員の任意で、欠席しても不利益の無い研修は、労働時間には該当しません。たとえば、業務内容に直接的に関係の無い勉強会や、任意参加の英会話講習などは、労働時間に含まれず、賃金も発生しません。ただし、自由参加としながらも、実際には不参加の従業員が人事評価でマイナスになるなどのデメリットが生じる場合は注意が必要です。そのような場合は実質的には強制参加の研修であるとして、労働時間として考えなければなりません。

研修を実施する際の注意点

労働時間に含まれる研修の場合

  • 適切な休憩時間を設ける
  • 労働時間に含まれる研修を行う場合は、忘れずに休憩時間を設けるようにしましょう。労働基準法第34条では、休憩時間の付与について定められており、労働時間が6時間を超えて8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間が必要とされています。また、休憩時間を与えるタイミングは労働時間の途中と決められているため、終盤にまとめて休憩を付与するのではなく、中間時点に設けるようにしましょう。

  • 労働時間を適正に把握する
  • 労働時間に含まれる研修の回数が多い場合は、研修時間を含めた総労働時間の把握をする必要があります。企業側の認識が甘いと、業後に出席義務のある研修が頻繁にあるせいで、長時間の法定時間外労働をさせてしまっていた、という事態にもなりかねません。勤怠管理システムやタイムカードなどによる客観的な記録を残し、社外における研修の場合は、従業員による自己申告をしっかりと記録するなど、労働時間を適正に管理する必要があります。また、割増賃金の発生や勤務時間の管理の観点からも、研修は基本的に就業時間中に実施することが好ましいでしょう。

労働時間に含まれない研修の場合

研修を実施する際は、当該研修の位置付けを明確にして従業員への周知を徹底しましょう。研修内容や実施日時、開催場所だけの通知をするだけではなく、当該研修への参加義務はなく任意参加であること、不参加による不利益は一切無いことなどを注意書きとして明記して案内しましょう。

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まとめ

研修は、業務を行ううえで必要とされるだけでなく、従業員をスキルアップさせ、充実したキャリア形成を支援するためにも重要です。しかし、「学ぶ機会を提供してあげているのだから無給で参加するのは当然」といった認識は間違っており、業務に関係する以上は労働時間になる可能性があるということをしっかり認識しましょう。
研修を実施する際は、思わぬトラブルを回避するため、研修の位置付けを周知し、労働時間に含まれる研修の場合は、労働時間の管理や休憩時間の付与を徹底しましょう。

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