エンプロイアビリティとは?詳しく解説します

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エンプロイアビリティ(employability)とは、「Employ(雇用する)」と「ability(能力)」を組み合わせた経済学用語の一つで、労働者が企業や組織に「雇われる能力」という意味を持ちます。エンプロイアビリティは、企業において採用活動や人材育成を行ううえでは非常に重要なものになります。この記事では、エンプロイアビリティの種類、要素、メリット・デメリット、エンプロイメンタビリティについて解説していきます。

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エンプロイアビリティが注目されている

「雇われる能力」とは

エンプロイアビリティには、「職場に雇用されるための能力」のほか、「継続して雇用される能力」、「環境の変化に合わせて異動や他社への転職ができる能力」という意味が含まれます。
エンプロイアビリティという概念が生まれたのは、1980年以降のアメリカといわれています。1980年代は、アメリカをはじめとした多くの先進国が景気後退を経験した時代です。失業率の増加や格差の拡大など、アメリカ社会は大きな変化と混乱に見舞われました。こうしたなか、多くのアメリカ企業はダウンサイジング化が進み、労働者の長期雇用制度は実質的な崩壊を迎えます。そこで、注目されるようになったのがエンプロイアビリティの概念でした。長期的な雇用を前提とせず、他社でも通用する知識やスキルを身に付ける機会を設けることが、労使双方にメリットのある人材育成方法として位置づけられたのです。
日本においては、1980年以降も終身雇用の方針を掲げる企業は少なくありません。しかし、近年雇用はより流動的になり、テクノロジーの発展に伴い、就業意識や形態に変化が生じています。このような状況から、当時のアメリカと同様にエンプロイアビリティが注目されるようになっています。

エンプロイメンタビリティとの違い

エンプロイアビリティと相対する用語に、エンプロイメンタビリティ(employmentability)があります。
エンプロイメンタビリティは「企業の雇用能力」を意味します。労働者が「働きたい」と思える企業であるか、また従業員が継続的に雇用されたいと思える企業であるか、について議論する際に使われることが多いです。
労働者のエンプロイアビリティが向上すると、働く環境や経営方針に魅力がある企業に人が集まる一方で、そうでない企業は優秀な人材を集めることができず、既存従業員も他社へ流出してしまう状況が生じます。高度なエンプロイアビリティを持った人材は、企業にとって大きな価値となりますが、一方で企業側もエンプロイメンタビリティを高める努力を怠ると、すぐに人材を失ってしまうといって良いでしょう。
エンプロイアビリティが個人の労働市場における価値であるのに対し、エンプロイメンタビリティは、労働者から見た企業の価値であり、両者の微妙な均衡のうえで雇用関係を維持しなければならないことを意味しています。

エンプロイアビリティのメリットと注意点

高度なエンプロイアビリティを持った従業員は、さまざまな領域で企業にポジティブな影響をもたらします。そのため、人材育成や評価の基準にエンプロイアビリティの概念を取り入れる企業は増えています。エンプロイアビリティ向上に取り組むことによって、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

  • メリット
  • 自社の業務に限らず、広範な視野を持った人材が育成できれば、さまざまな変化にも柔軟に対応することができます。得意分野や任せられる領域をいくつも兼ね備えた人材がいれば、多数の専門人材を雇用する必要がなく、結果的に人件費を抑えられるケースも考えられるでしょう。
    また、従業員側にとっても、自身のさまざまな能力が見出だされ、バランスよく成長できる環境は大きな満足につながります。一つの企業で特定の業務にばかり従事している場合、将来的な不安から転職を考える人は少なくありません。しかし、企業側がしっかりと従業員のキャリアプランに寄り添い、能力開発にも力を注ぐ姿勢を見せていれば、労働者から企業への信頼は増すといって良いでしょう。
    このように、エンプロイアビリティの向上に力を入れることは、従業員のスキルアップや職場定着率の向上だけでなく、優秀な人材を集めやすいといったメリットにもつながるはずです。

  • 注意点
  • 一方で、エンプロイアビリティの高い従業員は、他社からのスカウトや引き抜き、また自身のステップアップのために離職してしまう可能性も高まります。優秀な人材の流出を防ぐためには、企業側もエンプロイメンタビリティを向上させる努力を欠かすことはできません。

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エンプロイアビリティには種類がある

相対的エンプロイアビリティ

相対的エンプロイアビリティとは、時代の変化や市場のニーズによって価値が変わる能力のことです。
テクノロジーが急速に進化している昨今、これまで人的能力に依存していたスキルや知識が次々とオートメーション化や代替されています。相対的エンプロイアビリティを高めるためには、常に時代のニーズを把握しながら、スキルや知識を身に付ける必要があるでしょう。

絶対的エンプロイアビリティ

相対的エンプロイアビリティに対し、時代や市場のニーズに左右されない能力が、絶対的エンプロイアビリティです。
医師や弁護士など、機械やITに代替できない専門的かつ高度な知識を持つ人は、絶対的エンプロイアビリティがあるといえます。絶対的エンプロイアビリティを身に付けることができれば、時代や環境の変化に関わらず安定して働くことが可能でしょう。

外的エンプロイアビリティ

外的エンプロイアビリティとは、自社に限らず、社外(労働市場)においても必要とされる能力を指します。
外的エンプロイアビリティが高い人は、どの企業・業界でも通用する普遍的な知識や能力を持っていたり、何かの領域に特化した能力を有していたりすることが考えられます。転職にも有利に働く外的エンプロイアビリティは、転職市場が活発になっている現代において、今後ますます重視されるようになるでしょう。

内的エンプロイアビリティ

現在所属している企業や組織に必要とされ、雇用され続ける能力を、内的エンプロイアビリティといいます。自社の商品や業務のノウハウを極めている人などが、内的エンプロイアビリティを持っているといって良いでしょう。
長い間終身雇用制が主流だった日本では、現在も内的エンプロイアビリティを重視する企業が多いようです。

エンプロイアビリティの要素を考えよう

知識と技能

エンプロイアビリティには、自身の保有している特定の知識と技能が含まれます。
エンジニアならばプログラミングのスキルやITに関する知識、営業職ならセールストークや商品知識など業務経験で身に付けた知識やスキル、また特定の資格などを指します。

思考特性と行動特性

業務の遂行にあたり、各個人が持っている思考特性と行動特性もエンプロイアビリティの一要素です。
協調性や積極性など、業務に対する姿勢がこれに当たります。他にも、コミュニケーション能力、計画力、柔軟性などが含まれます。

パーソナリティ

動機、人柄、性格、信念、価値観など、個人が潜在的に有しているパーソナリティもエンプロイアビリティに含まれます。
パーソナリティは可視化できず、客観的な判断がしにくい要素です。そのため、エンプロイアビリティを評価基準に用いる場合、パーソナリティは除外することが多いようです。

まとめ

かつての終身雇用制度が崩壊しつつある現在、労働者は企業組織の中だけでなく、外にも目を向けなければならない時代を迎えています。所属企業という狭い世界に閉じ籠るのではなく、広い世界を見据えた価値観や能力を身に付けることが、従業員自身と企業双方にとって価値があると見なされつつあるのです。
就業意識や雇用形態が大きく変化していく昨今、エンプロイアビリティという概念は優秀な人材の育成や採用に関してますます重要になるでしょう。

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