在籍型出向とは?契約やメリット・デメリットについて解説します

2021年12月2日


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在籍型出向とは、労働者が出向元企業と出向先企業の両方と雇用契約を結び、一定期間継続して勤務することです。最近では、新型コロナウイルスで影響を受けた企業が従業員の雇用を守る手段として、活用されています。今回は、在籍型出向の概要と、契約内容、保険料はどちらが支払うのか、そして在籍型出向のメリット、デメリットについて解説します。

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在籍型出向が増加

在籍型出向とは

在籍型出向とは、出向元企業との雇用契約は維持したまま、出向先企業とも雇用契約を結んで働く仕組みです。在籍型出向を活用すれば、受注業務の減少によって従業員の雇用維持が困難になった企業が、逆に人手不足で悩んでいる企業に対して、従業員を一定期間出向させることが可能になります。ただし、在籍型出向は、従業員の業務内容や働き方に大きな変化を及ぼすため、実施を検討する際は、就業規則などの社内規程を定め、従業員個別の同意を得る必要があります。ただ人材を貸し出すという意識ではなく、出向先企業や従業員とよく話し合い、契約内容や出向中の労働条件などを明確にしなければなりません。在籍型出向は雇用調整の目的以外にも、人材育成や企業間交流などのために多くの企業で導入されています。

在籍型出向と新型コロナウイルス

新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に事業を縮小しなければならなくなった企業は少なくありません。一般的に事業縮小の際には、人員削減などのリストラを実施しなければならないものですが、いつかは収束するコロナ禍においては、従業員の雇用を維持したいと考える事業主は多いようです。そこで注目されたのが在籍型出向であり、すでに多くの成功事例があります。
例えば、航空業界やホテル業界の従業員が、巣ごもり消費需要の増加で業務量が増大している小売業界や物流業界などで働く事例は、ニュースにもなりました。また、コロナ禍の影響で在籍型出向を行った双方の企業に対して、賃金や経費の一部が助成される産業雇用安定助成金などの支援制度も注目されています。

転籍型出向との違い

出向には、在籍型出向のほかに、転籍型出向があります。転籍型出向とは、今まで勤めていた企業との雇用契約を終了させて、新たに出向先企業と雇用契約を締結することをいいます。出向した従業員が、一定期間を過ぎればまた自社に戻ってくることを前提とした在籍型出向と違い、実質、転職と同じ状態になるのが転籍型出向の特徴です。転籍型出向であっても、出向元の企業に従業員が戻るケースもありますが、その際には再度雇用契約を締結する必要があります。そのため、一般的な出向は、在籍型出向を指す場合が多いようです。

労働者派遣との違い

在籍型出向と同様に、「自社で雇用する従業員に、他社で働いてもらう」雇用形態には、労働者派遣があります。在籍型出向と労働者派遣はどこが異なるのでしょうか。
まず、労働者派遣では、従業員は派遣元企業と雇用契約を締結します。そして、派遣先企業の指揮命令下で働くのです。一見、在籍型出向と似ていますが、労働者派遣の場合は派遣先企業と従業員との間に雇用契約が存在しません。在籍型出向は、出向元企業と出向先企業との間で出向契約を締結しており、従業員は出向先企業とも雇用契約を締結しているのです。労働者派遣と在籍型出向のどちらに該当するか判断に迷った場合は、派遣先や出向先と従業員の契約の有無を確認しましょう。

在籍型出向の契約内容について学ぼう

企業が従業員に対し、在籍型出向を命じることができるのは、以下の2つの条件いずれかに該当する場合です。

  • 労働者の「個別的な同意」を得ている場合
  • 出向先での賃金・労働条件、出向の期間、復帰の仕方などが就業規則や労働協約などによって労働者の利益に配慮して整備されている場合

ただし、出向を行うにあたっては、その必要性や出向期間中の労働条件などについて、労使間の話し合いが不可欠です。労働契約法第14条においても、「出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。」と定めています。そのため、いくら事業縮小の事情があったとしても、企業側の都合のみによって出向を命じることはできません。
また、在籍型出向では、出向元企業と出向先企業それぞれが従業員に対して使用者としての責任を負います。時間外労働や各種手当の負担に関しては、トラブルが発生しないように、企業同士がよく話し合って出向契約の内容を決めましょう。契約内容で記載が必要な項目には以下が挙げられます。

  • 出向期間
  • 職務内容・職位・勤務場所
  • 就業時間と休憩時間
  • 休日と休暇
  • 各種手当の負担
  • 出張旅費の支給方法
  • 社会保険と労働保険の負担
  • 福利厚生の取扱い
  • 勤務状況の報告・管理方法
  • 人事考課の項目
  • 守秘義務
  • 損害の賠償責任の帰属
  • 途中解約する場合の取り決め

社会保険と労働保険はどうなる?

一般に社会保険料を負担するのは、直接給与を支払う企業とされています。出向した従業員の給与をどちらの企業が負担するべきかについて、明確な決まりはありません。そのため、どちらか一方の企業が支払うケースや、出向元と出向先双方で支払うケースなどがあります。一方、労災保険に関しては、従業員が実際に勤務する出向先企業に適用されるので気を付けましょう。また、雇用保険の場合、被保険者資格を得られるのは主たる給与を支払う企業だけです。給与を出向元と出向先双方で負担している場合は、大きな金額を支払っている企業の方に雇用保険の加入義務があると考えましょう。

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在籍型出向のメリットとデメリット

メリット

在籍型出向制度を活用することで、出向元企業は従業員の雇用を維持しながら、⼈件費などの費用を抑えることが可能です。同時に、従業員にほかの企業での就業経験を積ませることができるので、能⼒や技能向上も図れます。出向先企業にとっても、必要な⼈材を確保できるため、求人や採用にかかる費用の低減につながるでしょう。それだけでなく、他社の従業員の勤務姿勢や能力を直に見ることで、現場の学びにもつながるはずです。

デメリット

一方、在籍型出向のデメリットとして大きなものには、出向する従業員への負担がかかることが挙げられます。新たな環境で仕事を覚え、慣れていくにあたって、ストレスを感じてしまう人もいるかもしれません。また、コロナ禍における打開策とはいえ、自分が望んだ業務と違う業務に携わることに不満を感じる人もいるでしょう。必要に応じてフォローアップをするなど、従業員に対するケアを心がけましょう。また、出向してきた従業員はいずれ出向元企業に戻ってしまいます。もし優秀な従業員に出会えても、出向先企業にとっては長期的な戦力としては見込めないこともデメリットといえるでしょう。

まとめ

在籍型出向は、これまでもグループ企業間や、異業種間で行われてきました。籍を元の企業に残しながら、ほかの企業で経験を積めるため、従業員のキャリア形成にもつながる制度です。ただし、グループ企業間の出向のように、あまり環境の変わらない状況を除いて、出向は、従業員に対し、これまでと違う職場環境や業務への対応を要求するものです。そのため、従業員の負担を考慮し、個別に同意を得る必要があります。在籍型出向のメリット・デメリットを良く理解し、固い信頼のもと実施することが大切でしょう。

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