固定残業代、正しく運用できていますか?
 ―ルールや注意点を解説!

2016年12月7日

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一定時間分の残業代を定額で支払う「固定残業代」を採用する企業が多くなっています。固定残業代は、企業にとって事務処理の簡略化等のメリットがありますが、場合によっては残業代の未払いが発生したり、労働者の不利益となる違法な運用となってしまったりする可能性があるため、注意が必要です。

今回は、固定残業代のルールや、固定残業代を導入する際の注意点について解説します。

固定残業代とは

労働基準法では、使用者が時間外や休日、深夜に労働者を労働させた場合、割増賃金を支払わなければならないことを定めています。

しかし、企業によっては、時間外労働等の有無にかかわらず、一定時間分の時間外労働等についての割増賃金を定額で支払う制度を採用している場合もあり、ここで支払われる賃金のことを「固定残業代」といいます(「定額残業代」、「みなし残業代」などと表現される場合もあります)。

企業が固定残業代を採用する理由の一つとして、事務処理の簡略化が挙げられます。通常の場合、労働者一人一人の時間外労働時間を計算し、それに応じた割増賃金を計算して支給することが必要です。しかし、固定残業代の仕組みを導入することで、残業時間が一定時間に収まっている場合には割増賃金の計算をする必要がなくなるため、企業の事務処理の手間が大幅に削減できるというメリットがあります。

また、固定残業代の場合、実際の残業時間が固定残業時間より少なかった場合でも定額の残業代が支払われるため、その点では労働者にとってもメリットがあるといえます。

固定残業代を導入する際の注意点

固定残業代にはメリットもありますが、適切に運用を行わない場合、違法となってしまう可能性もあるため注意が必要です。実際に固定残業代を導入するにあたっては、以下のような点に留意しましょう。

固定残業時間の設定

1ヶ月あたりの固定残業時間の設定については、その設定が長時間労働を招くことのないよう注意する必要があります。

労働基準法では、労使間で時間外労働に関する協定(いわゆる36協定)を締結することで労働時間を延長させることができるとされていますが、その上限は原則として「1ヶ月45時間」「1年360時間」などと定められています。

このことを踏まえると、1ヶ月あたりの固定残業時間は30~45時間程度を目安として設定することが望ましいといえるでしょう。

固定残業代の額

固定残業代の時間あたりの金額が、時間外労働の割増賃金の規定に違反していないことも必要です。

労働基準法では、使用者が労働者に時間外労働をさせた場合には、法令で定める割合によって割増賃金を支払わなければならないとされており、時間外労働の割増賃金率は2割5分(時間外労働時間が月60時間以内の場合)となっています。

したがって、固定残業代の金額は、「固定残業時間数×通常の賃金時間額×1.25」を上回る金額で設定しなければなりません。

労働者への周知

固定残業代を導入する場合は、就業規則や雇用契約書、労働条件通知書において、下記の事項について明記する必要があります。

  • 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
  • 固定残業代を除外した基本給の額
  • 固定残業時間を超過した分については、通常の時間外労働と同じく割増賃金が支払われること

固定残業時間を超えて残業を行った場合

あらかじめ定めた固定残業時間を超えて残業を行った場合については、その超過分について、通常の時間外労働と同様に追加で割増賃金を支給しなければなりません。

固定残業代を採用していることを理由に追加の割増賃金を支払わないという取り扱いはできないため、注意が必要です。

なお、実際の残業時間数があらかじめ定めた固定残業時間数に満たない場合であっても、決められた額の固定残業代を支払う必要があります。

残業代未払いを防止しましょう

上で述べたとおり、固定残業代を採用している場合であっても、あらかじめ定めた固定残業時間を超過して残業を行った場合は、その部分について追加で割増賃金を支払わなければいけません。この支払いを怠ってしまうと、残業代の未払いとなってしまうため注意が必要です。

残業代の未払いを防止するためには、労働者の労働時間の把握が欠かせません。固定残業代を採用する場合であっても、勤怠管理システム等を使用して労働者の労働時間を適正に把握し、時間外労働時間があらかじめ定めた固定残業時間を上回っていないかを常に確認しておく必要があるといえます。

今後の法律改正に備え、今のうちから対策を講じましょう

2016年12月、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会は、厚生労働大臣に対して職業紹介等に関する制度の改正について建議を行いました。

この建議には、労働条件等の明示義務に係る明示事項について、「固定残業代に係る計算方法、固定残業代を除外した基本給の額等を明示しなければならないこと」を明確化すべきであるという内容が含まれています。 厚生労働省は、この建議を踏まえ、2017年の通常国会で職業安定法の改正案を提出する方針です。今後、固定残業代の計算方法等についての明示が義務化される可能性が高いといえますので、今のうちからきちんと対策を講じておくようにしましょう。

なお、若者雇用促進法の対処指針では、青少年が応募する可能性のある求人について、固定残業代に関する情報等を明示する必要があることが示されています。この指針はすでに適用されているので、こちらも注意するようにしましょう。

関連記事:【徹底解説】新卒者の求人には、固定残業代の表示が必要?|若者雇用促進法について
https://www.somu-lier.jp/column/youth-employment/

まとめ

固定残業代を導入する場合には、必要な要件を満たしたうえで、適切に運用することが大切です。しっかりとルールを守り、労働者の不利益になることのないよう注意しましょう。 固定残業代を採用している場合でも、実際の残業時間数が固定残業時間を上回った場合は追加で残業代を支払う必要があります。残業代の未払いを防止するためにも、勤怠管理システム等を用いて、しっかりと労働時間を管理するようにしましょう。

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