過去に認められなかった過労死が認定されることもある?労災認定の基準について詳しく解説します

2022年9月5日


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2021年9月に改正された労災認定基準をもとに、過去認められなかった過労死の決定を取り消す事例がありました。現在の基準では過労死ラインを下回る労働時間であっても、心身への負荷が大きい要因があれば過労死と認定される可能性があります。労災認定いかんにかかわらず、企業が、過労死が起こらないよう対策をとることは非常に重要ですが、その対策を考える上でも、労災認定される基準はしっかり把握しましょう。今回は、労災認定の基準、労災と認められない場合、過労死防止の対策を詳しく解説します。

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労災認定の基準を確認しよう

そもそも労災とは労働災害の略で、業務中や通勤中に発生した従業員の負傷・疾病・死亡などを指します。労災保険制度はそうした従業員の傷病などに対して必要な保険給付を行い、社会復帰を促進するために設立されました。企業は一人でも従業員を雇っている場合、労災保険に入らなければなりません。まずは、2021年9月に改正された労災認定基準について詳しく見ていきましょう。

改正された脳・心臓疾患の労災認定基準のポイント

2021年9月に脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されました。働き方が多様化や職場環境の変化に対応するため、労災認定基準が見直されました。改正における主な4つのポイントは以下の通りです。

  • 労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
  • 改正前は発症前1ヶ月間に100時間、または2~6ヶ月間平均で月80時間以上という時間外労働の労災の前提条件が設けられていました。改正後は近しい時間外労働を行った場合には、労働時間以外の負荷要因も考慮して労災が判断されるようになりました。

  • 労働時間以外の負荷要因を見直し
  • 勤務間インターバルが短い勤務や身体的負荷を伴う業務など、労働時間以外の負荷要因が追加されました。

  • 業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化
  • 業務と発症との関連性が強いと判断できる具体例が提示されました。例えば、発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯におよぶ時間外労働を行うなど、過度の長時間労働が認められる場合などが例示されています。

  • 認定基準の対象疾病に「重篤な心不全」を追加
  • 改正前、心不全は心停止に含まれていました。心不全は心停止とは異なる病態のため、改正後は新たな対象疾病として重篤な心不全が追加されました。

事故による怪我や死亡の労災認定基準

事故による怪我や死亡については、業務遂行性と業務起因性の両面から判断がされます。業務遂行性とは、被災労働者が企業の支配下にある状態を指します。従業員が勤務先で仕事に従事している場合だけでなく、出張の際の移動時間なども対象です。次に、業務起因性とは仕事が原因で怪我や病気が生じたケースです。例えば、社内施設の不備が原因で怪我をすれば、業務起因性が認められます。業務遂行性と業務起因性の2つを満たせば、労災が認定されます。

精神障害の労災認定基準

精神疾患で労災が認定されるのは、原則として以下の3つの要件をすべて満たす場合です。

  • 発症前おおむね6ヶ月以内に業務による強いストレスを受けたこと
  • うつ病やストレス反応など労災認定の対象となる精神疾患と診断されたこと
  • 業務外のストレスや個体側要因により発症したとは言えないこと

業務による強いストレスとは、長時間労働・パワハラ・いじめなどの具体的な出来事を指します。業務外のストレスは、離婚・重い病気・家族の死亡などが具体例です。3つの要件が細かくチェックされ、労災認定が行われます。

脳・心臓疾患の労災認定基準

脳や心臓疾患の代表例は、脳出血・くも膜下出血・脳梗塞・心筋梗塞・重篤な心不全などが挙げられます。2021年9月に脳・心臓疾患の労災認定基準は改正され、以下の場合に労災と認定されます。

  • 長期間の過重業務があった場合
  • 短期間の過重業務があった場合
  • 発症直前に異常な出来事があった場合

発症直前の異常な出来事の例としては、重大な人身事故への関与、負荷の高い対人トラブルなどが該当します。

労災と認められないケースについて

自然災害の場合

地震や台風など天災地変によって被災した場合は、原則として労災とは認められません。ただし、建物の立地条件や作業条件など、天災地変の災害を受けやすい理由がある場合は例外として扱われます。例えば、崖下を運行するバスの運転手が、地震による落石で災害をしたケースは労災と認められています。また、東日本大震災では仕事中に避難を余儀なくされ、津波で怪我をした場合などにも労災が適用されています。

意図的な災害の場合

危険性を認識しているのに、わざと行った行為に起因する怪我などは労災と認定されません。例えば、事故の可能性を認識していながら安全を逸脱した行動をして外傷ができても、労災の対象外です。怪我などのリスクが明白な行為は、意図的な災害であると判断される可能性が高まります。企業から提示されている作業の手順や、職場での基本的なルールの遵守が労災認定のベースになります。

業務とは関係のない行為の場合

勤務中であっても、仕事とは関係のない行為で怪我などが生じたケースも労災の対象外です。例えば、個人的な買い物でコンビニに行く途中で、転倒して骨折しても労災は認められません。業務中のいたずらに起因する怪我も同様に労災としては扱われません。仕事中に怪我などをしてしまった場合は、業務との関連性を振り返って考える必要があります。

過労死防止の対策を徹底しよう

適正な労働時間管理を行う

過労死防止の対策として、適正な労働時間管理の実施は欠かせません。働き方改革で労働安全衛生法が改正され、2019年4月より労働時間の客観的な把握が義務化されました。法令で定められている1日8時間、週に40時間という法定労働時間を遵守するための徹底的な管理が求められます。また、時間外労働を実施する際も計画性が求められています。36協定の締結を忘れずに行い、時間外労働の上限を超えないように注意が必要です。

メンタルヘルス対策を充実させる

メンタルヘルス対策の積極的な推進が大切です。すべての従業員が心身ともに健康で仕事ができるように、企業は労働環境を構築しなければなりません。具体的には、未然防止・早期発見・復帰支援の観点から、対策を充実させましょう。例えば、長時間労働の職場環境の改善や、定期的なストレスチェックの実施などが推奨されています。ほかにも、リワークプログラムの受講を休職者に促す企業も目立ちます。メンタルヘルスケアの体制を整えて、従業員へ適切に教育や情報提供を行いましょう。

ハラスメントを防止する

2022年4月よりパワーハラスメント防止措置が、中小企業でも義務化されました。職場のハラスメントは以下のように定義されています。

  • 優越的な関係を背景とした言動
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  • 労働者の就業環境が害されるもの

例えば、暴行や傷害などの身体的な攻撃、脅迫や侮辱などの精神的な攻撃はハラスメントです。ほかにも、人間関係からの切り離しや、プライベートに過度に踏み込むプライバシーの侵害もハラスメントに該当します。企業はハラスメントの予防だけでなく、再発防止策も徹底しなければなりません。

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まとめ

勤務中の病気や怪我や通勤中の交通事故など、労災の発生が報告されています。近年では長時間労働やストレス性の精神疾患による過労死なども、労災として認定を受けるようになりました。脳・心臓疾患の労災認定基準も、労働環境の変化に対応するため2021年9月に改正されました。企業としては労災の認定基準をよく理解したうえで、未然に防ぐ取り組みが求められます。仕事環境の改善や安全行動の徹底を促進して、誰もが働きやすい職場を構築しましょう。

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