近年話題の労働CSRとは? 具体的な取り組み事例を紹介

2021年1月7日


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CSRとは企業が市民やステークホルダーに対して持つ社会的責任を意味し、環境保全活動やサステナビリティ、地域への貢献などがCSR活動の一環として行われます。近年では、労働に関する社会問題が増えてきていることもあり、労働についてのCSRへの意識が高まっています。企業にも従業員にも利点がある活動ですので、自主的に取り組み、取り組み内容を外部に発信するようにしましょう。今回は労働CSRの意味と意義、取り組むメリット、事例について解説していきます。

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労働CSRの概要

労働CSRとは

CSRとは「企業の社会的責任」(Corporate Social Responsibility)を意味します。本来企業は利潤を追求するためのものですが、組織的活動は社会にも大きな影響を与える可能性があります。そのため、企業はその活動において法律や環境を守りつつ、従業員や投資家、地域社会に対して責任ある行動をとり説明責任を果たす必要がある、という考え方です。
この記事で取り上げる労働CSRとは、人事・労働分野のCSRを指します。企業は従業員を雇うことで従業員の人生に直接関わり、その賃金水準や労働環境は過労死や少子化といった社会問題にも大きな影響を及ぼします。そのため、企業は人事・労働分野においても社会貢献の精神を持ち、説明責任を果たさなければならないといえるのです。
具体的には、労働CSRとして、人権に関わる差別問題やハラスメントへの適切な処置、コンプライアンスに関わる組織体制や社内規範の制定・遵守などが挙げられます。そのほかにも以下のような内容が労働CSRの領域です。

  • 人材育成
  • キャリア形成支援
  • 仕事と生活との調和
  • 従業員の社会貢献
  • 男女の均等推進
  • 高齢者雇用
  • 障害者雇用
  • 若年者雇用
  • 安全衛生
  • 従業員の健康
  • 社会報告書・CSRレポート

労働CSRの意義

かつては、人間は所得を増やし成長すれば幸福なのだと信じられていた時代があったかもしれません。その想いが経済成長を進め、現在の先進国が台頭しました。そして今、本当の豊かさの実現には「労働生活の充実」が必要であると、多くの先進国で課題となっています。
上記のような様々な労働に関連する問題は、多くの場合法律上にも具体的に規定があり、一見すると法律だけで十分に解決できる問題のようにも思えるかもしれません。しかし、実際に従業員を雇う企業が、法律や制度を超えた倫理性を持ってこのような問題に当たらなければ、労働にまつわる問題は解決しないでしょう。労働CSRはただ単にコンプライアンス(法令遵守)精神を高めるだけではなく、社会全体への影響を考え、従業員一人ひとりのかけがえのない個性や能力を守るための企業倫理の確立といえるのです。
多くの企業がこのような価値観を持つことによって、社会全体において、労働環境の改善や数々の社会問題の解決といった良い影響があるでしょう。それだけではなく、労働CSRを実施する企業自身においても投資家や消費者、求職者などから高い評価を受けることに繋がります。また、障害者や高齢者の雇用問題は、単独の企業だけではなく、NPOや地方公共団体との協力関係の構築に繋がり、社会が一体となって労働問題に関する意識を高めることができるでしょう。このように労働CSRは単に労働環境の改善を企業に義務付けるのではなく、企業自身やステークホルダー、地域社会全体での幸福追求を目指す活動なのです。

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労働CSRに取り組むメリット

企業のイメージアップ

労働CSRに取り組んでいる企業は「人を大切にしている企業」として、投資家や消費者、求職者からのイメージが良くなるでしょう。日本ではまず利益追求が優先され、CSRはその後に検討・実施されることが多いですが、労働CSRに関しては近年社会問題となっている長時間労働や少子化等の問題に対する企業としての姿勢を外部に発信することができるため、企業内外からの注目度は高いといえます。企業のイメージが高まれば、優秀な人材が集まり、投資家の評価も高まるだけでなく、企業ブランドの構築に繋がればシェアの維持・拡大にも繋がるでしょう。具体的なアピール手段としては、自社が取り組んでいる労働CSRを公式サイトに記載して積極的に発信する、という方法があり、近年多くの企業が実施しているところです。企業価値の向上に良い影響を与えるため、積極的に実施していくと良いでしょう。

従業員のモチベーションアップ

従業員の豊かな労働生活を守るため、柔軟な休暇・勤務制度の導入や、仕事と生活の調和を促進するサポート体制を構築することで、まずは従業員の退職を防ぎ定着率を上げる効果があるでしょう。さらにそれだけにとどまらず、従業員のモラルやモチベーションの向上にも効果があります。これらは従業員のやる気や仕事に対する満足度を高め、企業の展開するサービスや商品の品質向上にも繋がるでしょう。

従業員の健康が維持できる

企業は従業員の健康の保持に配慮する責任があります。一般的な業務上の安全衛生に関してはもちろん、近年増えている心の病についてもより一層の配慮が必要です。労働CSRを果たすうえで、この従業員のメンタルヘルスに関する事項は必ず考えなければならないものだといえるでしょう。たとえば、職業性ストレス簡易診断システムの導入などを実施することで、企業全体で従業員のメンタルヘルスに関する意識を強化できます。従業員の心身にストレスをかけない労働環境を構築すれば、心身の不調を原因とする休職者や退職者の減少に繋がるでしょう。仕事のストレスによる健康被害を未然に防止するためには、心と身体の両側面からサポートする体制の構築が重要です。

労働CSRの事例

「人材育成」の事例

教育事業や介護事業、語学事業を展開するA社は、従業員の資格等級を軸に、企業の戦略や方向性と一致するような研修を提供する「企業戦略に沿った人材育成」を実施しました。具体的には、ビジネス基礎力の強化や幹部人財のレベルアップ、現場の育成力・マネジメントの強化、重要視される能力の強化などを目的とした内容です。ビジネス基礎力の強化のために新設されたビジネスフレーム研修は1年で1,000~1,500人の受講枠を設定しており、講座総合満足度の平均は5点満点中4.4点という高さを誇っています。結果として、企業の求める人材や求める能力が明確化され、個人のスキルアップに対する意識改革に繋がりました。

「仕事と生活の調和」の事例

プレス金型設計や製作およびプレス加工などの事業を展開するB社は、社長自らが「家族優先」と常日頃から言い続けています。B社が設置している制度は以下のとおりです。

  • 育児休業制度
  • 介護休業制度
  • 育児短時間勤務制度
  • 介護時短勤務制度
  • 妊婦特別有給制度
  • 配偶者特別有給制度
  • 看護休暇制度

また、制度設置だけでなく、従業員の子どもが発熱した際にもすぐに早退できるような「休みやすい環境づくり」を目指す意識改革にも社内全体で取り組んでいます。小さな子を持つ従業員も安心して働ける環境を整備した結果、従業員のモラルやモチベーションが向上しました。

「高齢者雇用」の事例

工場設備などの「メンテナンス&エンジニアリングサービス」などの事業を展開するC社は、技術分野の仕事を中心に、働きたい意欲を持っている高齢者が「経験値」を活かして働ける企業です。60歳以上で入社し、70歳になると継続雇用か定年退職のどちらかを従業員自身が選択することができます。高齢の雇用者に昇給や退職金はないものの、病欠時の賃金保証や月給制、完全週休2日制などできる限り正社員と同等の待遇になることを目指しています。20代や60代の新入社員がチームに入り、そこに40代の中堅社員が加わり3世代が混在することで、若者の活力が高齢者に伝搬し、高齢者の優れた技術や豊富な経験が若者に伝搬していくという「循環システム」を確立しました。高齢者に雇用の機会を与えるだけでなく、若者にも技術を伝える職場づくりを実現しています。

まとめ

ここまで、労働に関する社会問題の解決策として注目されている労働CSRについてご紹介しました。企業活動は従業員や投資家、消費者、地方公共団体に支えられて初めて成り立ちます。まずは職場環境や従業員の健康管理を見直し、自社が取り組める労働CSRを模索してみましょう。

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