残業削減に直結する、ノー残業デーのメリット・デメリットとは?

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ノー残業デーとは、残業をせず定時に仕事を終わらせる日を企業が設定する制度のことで、週に一回から月に一回程度実施されることが一般的です。残業削減に直接的な効果がある一方で、他の日の業務を圧迫するといったリスクもあります。従業員のニーズを鑑みた上で導入し、周知を徹底することで制度が形骸化してしまわないよう注意しましょう。今回は、ノー残業デーの意味や一般的な頻度と曜日、導入するメリット・デメリット、注意点について解説します。

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ノー残業デーの概要

ノー残業デーの目的

ノー残業デーは、戦後の高度経済成長期に社会問題となった「労働者の働きすぎ」を改善するために導入が始まったといわれています。また、近年ではうつ病や過労死などが増加し社会問題化しており、長時間労働の改善は労働者の心身の健康を守るための企業への課題となっています。
そこで国では、2010年施行の改正労働基準法において、月60時間以上の時間外労働の割増賃金率を25%以上から50%以上へ引き上げることを定めました。これは長時間勤務を改善することを目的とした施策です。ノー残業デーは、人件費の削減と業務の効率化により生産性を高めるための企業の方策の一つとして位置付けられています。
ノー残業デーのもう一つの目的は、従業員のワーク・ライフ・バランスの実現です。ノー残業デーを設けることで、従業員が趣味や地域活動、自己啓発、家族と過ごす時間などを得て、仕事と生活の調和がとれた充実した暮らしを実現できるようになることを目指しています。

ノー残業デーの実績

各企業は実際にどのようにノー残業デーに取り組んでいるのでしょうか。厚生労働省の企業へのアンケートによると、時間外労働削減のための取り組みとしてノー残業デーやノー残業ウィークを実施している企業は、60.3%と全体の半数以上に及んでいます。実際に、ノー残業デーやノー残業ウィークを実施した企業では、実施していない企業に比べて実際に実業務時間減少に効果が出ているとのことです。
ノー残業デーの設定頻度や曜日は企業によって異なりますが、週の真ん中である水曜日に週1日設定されることが一般的です。設定方法としては、シフトを組む際に設定したり、本人の希望を聞いて設定したりしている企業があるようです。

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ノー残業デーのメリット

企業へのメリット

  • コスト削減

ノー残業デーによって時間外労働が減少し、割増賃金の発生を抑え人件費の削減ができます。また、長時間勤務することによるオフィスの光熱費などのコストも削減も見込めます。

  • 業務の効率化

残業ができないとなると、定時に仕事を終わらせるために効率的な方法を考えなくてはなりません。そのため仕事に対する見直しが自然に行われ、業務効率が上がります。

  • 従業員のスキルアップ

時間的余裕が生まれることによって、語学や技術、資格取得など、スキルアップを望む従業員は学習時間を得ることができます。従業員がスキルアップすることで企業全体の生産性向上にもつながります。

  • 従業員のモチベーションアップ

ワーク・ライフ・バランスを実現することで、従業員は心身の健康を保つことができます。そのため自社への満足度も上がり、活き活きと仕事に取り組むようになるでしょう。

従業員へのメリット

  • 定時退社のしやすさ

定時で仕事が終わっても、他の従業員が仕事をしていると帰りにくい、ということは容易に想像できます。しかし、ノー残業デーならばそれを理由に帰ることができるため、こういった悩みは生まれません。ただし、全社一斉のノー残業デーではない場合、お互いのノー残業デーを把握することで帰りやすくするような工夫が必要です。

  • プライベートな時間の充実

残業のない日ができることによって、趣味や家族と過ごす時間など、プライベートの時間を充実させることができます。そのためオンとオフの切り替えがうまくいきストレスも減ることでしょう。仕事にもポジティブな気持ちで取り組むことができます。

  • スキルアップのための時間確保

時間に余裕ができると、スキルアップのために学習する時間がとれるようになります。資格や技術の習得を経ることで生産性が向上し、収入アップにつながる可能性もあります。

ノー残業デーのデメリット

企業へのデメリット

  • 顧客への対応

自社がノー残業デーを導入していても、顧客や取引先企業は導入していなかったり導入している曜日が違ったりするケースがあります。この場合、相手企業から急な対応を求められたときに対応できないという問題が発生します。問題解決の一つの方法は、自社にも相手企業にもメリットのある提案をして、顧客を巻き込んだ労働時間の工夫をすることです。

  • 社内業務の滞り

社内の部署によってノー残業デーが異なるケースでは、部署間の連携がうまくいかず業務が滞ってしまうことがあります。何かあった時に対処できる人がいない、ということも起こり得るでしょう。また、部署によってノー残業デーの導入に差が出てしまうと従業員の間に不満が広がることもあります。こういった懸念事項を踏まえた導入計画が必要です。

従業員へのデメリット

  • 別日の残業増加

定時で帰る日ができた結果、他の日に仕事が持ち越されその日の残業が増えてしまうというのでは、ノー残業デーを導入する意味がありません。ノー残業デーの意図を企業も従業員も理解して、業務の効率化を考えていくことが大切です。

  • 残業が減り、収入減少

ノー残業デーを導入して時間外労働が減ったとしても、業務の効率化が行われるわけでもなくサービス残業や仕事の持ち帰りが発生してしまってはなりません。これでは、従業員の負担が増えて収入は減ってしまうという状況が生じてしまいます。従業員の不満が高まれば離職にもつながるでしょう。そのため、ノー残業デーの導入とともに、業務の効率化を進めたりスキルアップしたりした従業員を評価し、収入アップにつなげるなどの工夫が必要です。

ノー残業デーを形骸化させないための注意点

徹底した周知を行う

ノー残業デーを軌道に乗せ効果を引き出すには、すべての従業員がその目的を理解することが必要です。形だけの制度にしないためにも、まずは徹底した周知が必要でしょう。例えば、目につく場所にポスターを貼ったり、当日朝礼などでアナウンスして知らせたりといった方法が考えられます。また、目的を共有するためには社内説明会を行うことも効果的です。

管理職が積極的に推進する

上司やリーダーが残業をしていると、部下は帰りづらいと感じるものです。管理職である上司やリーダーは、率先してノー残業デーを実施するようにしましょう。また、上司は部下の仕事の内容や進捗などの報告を受けて、次の日にまわすことのできる状況ならば定時退社をするように指示するなどの積極的な対応が必要となります。さらに、企業のトップがノー残業デーの目的などをはっきり示すことは従業員の理解につながるため重要です。

業務の状況に応じて柔軟性のある対応を行う

業務の状況によっては、その日のうちにどうしても終わらせなければならない場合もあるでしょう。そんな時に無理に定時退社をさせようとしても、従業員には不満やストレスが残ってしまいます。繁忙期や閑散期に配慮し、ノー残業デーの設定日を変えたり交代制にしたりして、柔軟な対応を行いましょう。例えば、従業員が自分で業務の状況に応じて定時退社日を設定できる制度を設けている企業もあるようです。

残業しないことを評価する

定時の勤務時間内に業務をこなすことのできる人材は、企業にとっては効率よく仕事のできる良い人材といえるでしょう。また、残業の少ない部署では、上司が部下に対して適切に仕事を割り振り、適切に業務の指示を行えていることが伺えます。こういった管理職を評価して人事考課に反映すれば、従業員全体の励みとなり、時間外労働の減少につながるでしょう。

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まとめ

ノー残業デー導入後の変化として多くの企業が挙げているのが、従業員の業務効率化への意識の変化です。企業はコスト削減や生産性向上を実現することができ、従業員はプライベートの充実やスキルアップを図ることができるなど、双方にとって良い効果があることが認められています。
まずは業務形態に合った方法を検討し、綿密な計画をたてて運用し、自社の発展につなげていきましょう。

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