派遣と出向の違いとは?正しく理解してトラブルを回避しましょう

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同じ職場で働いている従業員であっても、本来の所属元は異なる場合が多々あります。代表的な例としては「派遣」と「出向」があるでしょう。しかし、この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。今回は派遣と出向について、それぞれの契約内容や両者の違い、それぞれの労働時間や給与の考え方、派遣や出向に関するトラブルを避けるためのポイントについて詳しく解説します。

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派遣と出向はどう違う?

派遣とは

派遣とは、派遣元企業に雇用された社員を他企業(派遣先企業)で働かせる雇用形態のことをいいます。
派遣社員は普段は派遣先企業のもとで働くことになりますが、雇用契約を結んでいるのは派遣元企業です。つまり派遣社員にとって、派遣先企業は仕事をするうえで業務に関する指示を受けるのみの関係です。そのため、給与の支払いや福利厚生、社会保険料の負担などは雇用契約を結んだ派遣元企業で行われます。

出向とは

出向とは、自社の社員を子会社やグループ会社などの自社と関連のある別の企業で働かせることをいいます。また、出向には「在籍出向」と「転籍出向」の2種類があり、その二つにも違いがあります。

  • 在籍出向
  • 在籍出向とは、社員が企業に在籍したまま別の企業(出向先企業)で勤務をする出向の形態です。出向した社員は、出向元の企業と雇用契約を結んでいますが、出向先企業とも一部の雇用契約を結ぶことになります。つまり社員と出向先企業、出向元企業のそれぞれに、二重の雇用契約が成立することになるのです。ただし、在籍出向は人材育成や業務提携などの目的で行われることから、一時的なものであることが多く、その目的が果たされると所属企業に戻る場合が多いです。

  • 転籍出向
  • 転籍出向とは、社員が自社との契約を解消し、別企業と新たに契約を結ぶ出向の形態のことをいいます。出向元の企業から離籍して出向先企業と新たに雇用契約を結ぶことになるため、実質的には別企業への転職ともいえるでしょう。

派遣と出向の違いをさらに比較しよう

雇用期間

  • 派遣の場合
  • 2015年の労働者派遣法改正により、派遣先企業において、同じ派遣社員を同じ職場や部署で3年間以上働かせることが原則的に禁止されました。3年経過後にも同じ派遣社員に働いてもらいたい場合は、直接に雇用するか部署を異動させなければなりません。また同法では、派遣の契約は最短で31日以上と定められています。

  • 出向の場合
  • 出向の場合、その出向期間は法的に定められてはいません。出向元企業の出向規定で定められた期間が出向の場合の雇用期間となります。出向期間を延長したり短縮したりすることもできますが、出向規定にあらかじめ期間の変更がある旨を明示しておく必要があり、注意が必要です。

労働時間

  • 派遣の場合
  • 派遣社員の就業条件は、派遣元企業と派遣先企業との間で交わされる労働者派遣契約で定められます。ここには労働時間や休憩時間、休日・休暇、有給休暇の取得などについて明記されているため、派遣先企業は労働者派遣契約の内容を守りながら派遣社員の日々の労働を管理する必要があります。状況によって就業条件を変更する必要がある場合には、派遣元企業と派遣先企業が十分に協議する必要があり、派遣先企業が派遣元企業の同意なく就業条件の変更をすることはできません。また、変形労働制や時間外・休日労働に関する協定(36協定)の締結・届出は派遣元企業が行います。

  • 出向の場合
  • 在籍出向の場合、就業条件は出向先企業のものが適用されるため、就業時間、休憩時間、休日休暇などの勤怠管理は出向先企業の規則に従います。有給休暇に関しては、在籍出向の場合、出向元企業で付与された有給休暇を取得できます。一方、転籍出向野場合では、出向元企業との雇用契約が終了しているため、転籍前に付与された有給休暇の取得はできません。

給与

  • 派遣の場合
  • 派遣社員は派遣先企業から業務の指示命令を受けて勤務しますが、雇用契約を交わしているのは派遣元企業です。従って、給与は派遣元企業から支払われることになります。まず、派遣先企業から派遣元企業に賃金が支払われ、その後、必要経費を差し引いた分が給与として派遣元企業から派遣社員に支払われる流れとなります。

  • 出向の場合
  • 在籍出向では、出向社員が出向元企業と出向先企業の両者で労働契約を結んでいるため、どちらが給与を支払っても法律上問題はありません。出向元企業と出向先企業が取り交わす出向契約において、どちらの企業が給与を支払うかを定めますが、給与水準は出向元企業に合わせるのが一般的です。一方、転籍出向では、雇用契約を結んでいるのが出向先企業のみとなるため、出向先企業から給与が支払われます。出向元企業よりも出向先企業の給与水準が低い場合は、給与も下がることが多いようです。

派遣や出向に関するトラブルを回避するポイントとは?

労働条件について確認しましょう

派遣社員も出向社員も、職場を共にする仲間でありながら、実際の所属が違う点では同様です。当然、自社の従業員と労働条件も異なるので、事前に労使間でよく確認をしておくことが大切です。例えば、業務が忙しい時期に派遣社員が本来の業務とは異なる業務を手伝ってくれる場合などは、つい受け入れてしまいがちですが、労働者派遣契約に違反している可能性があり、注意が必要です。派遣社員には労働者派遣契約に含まれていない業務はさせないようにすることで、トラブルの発生を回避しましょう。
また、在籍出向の場合も同様の注意が必要です。特に、時間外・休日労働に関するトラブルが発生しやすいので気を付けましょう。

偽装出向に気をつけましょう

労働者派遣はビジネスの一つであり、収益を目的に行われます。一方、出向は関係会社同士で雇用機会の確保や技術指導、人材開発ために行われることが多く、目的に違いがあります。
出向元企業と出向先企業に関係性が何も無く、単に労働力を供給するために出向が行われている場合や、出向先企業から出向元企業に対価が支払われている場合、複数企業などに繰り返し出向が行われている場合には、「実態は労働者派遣業であるにもかかわらず、出向の形で労働者を就業させている」偽装出向とみなされてしまう場合があります。
偽装出向とみなされないためには、出向が次の4つのいずれかの目的であること、かつ出向によって利益が発生していないことが必要です。

  • 主に関係会社(子会社・グループ会社)の雇用機会を確保するため
  • 企業グループ間の人事交流の一環
  • 経営指導や技術指導のため
  • 自社社員の人材開発やスキルアップなど職業能力開発のため

出向の形態で労働者を働かせる場合には、上記4つの目的のいずれかを満たしていることを念頭に置き、偽装出向とみなされないようにしましょう。

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まとめ

従業員を別企業の指揮命令下のもとで働かせるという点で派遣と出向は似ています。実際は全く異なる雇用形態ですが、雇用主や従業員本人がそれぞれの働き方を正確に認識していない場合も多く、そのため企業と従業員の間でトラブルが発生しやすくなっています。派遣や出向の雇用形態で従業員を働かせる場合には、両者の違いを正しく理解したうえで、法律に則って適切な運用をしましょう。

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