欠勤控除とは? 知らないと困る、欠勤控除の計算方法をマスターしましょう

2020年7月8日

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欠勤控除とは、「ノーワーク・ノーペイ」の原則にしたがって、欠勤時の賃金を給与から差し引く制度のことです。欠勤控除の計算には、平均労働日数や諸手当の有無、勤務形態や給与形態など様々な要素が絡んでくるため注意が必要です。今回は欠勤の定義や欠勤控除の意味、計算方法、欠勤時の残業代の取り扱いについて解説していきます。

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欠勤とは

欠勤とは、勤務をしなければならない日に仕事を休むことです。契約における労働提供義務の不履行にあたるため、基本的に賃金は支払われません。これに対して有給休暇は労働者の権利として年に何日間か与えられているもので、仕事を休んでも賃金が発生します。

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欠勤控除とは

「ノーワーク・ノーペイ」の原則

労働契約法第6条には「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者および使用者が合意することによって成立する」とあります。また、民法第624条には「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない」とあります。このような条文を根拠としつつ判例を積み重ねることにより、我が国では「ノーワーク・ノーペイ」の原則が広く認められてきました。

欠勤控除の概要

「ノーワーク・ノーペイ」の原則に基づき、基本的には会社を休むとその分の賃金が給与から差し引かれます。ただし、会社都合の休業や有給休暇の場合はこの例外です。
運用にあたっては、労働時間と賃金は就業規則に必ず記載しなければならない事項であるという定めが労働基準法にあるため、就業規則に記載する必要があります。記載する際には、欠勤控除についてどのようなルールを設けるか、計算方法も含めて各企業の判断で明記しなければなりません。
なお、労働者が無断欠勤を繰り返した場合は、欠勤控除の他に「減給」を行うことができます。減給金額には上限があり、1日あたりの平均賃金の半額を超えない範囲で設定しなければなりません。

欠勤控除の計算方法

前提知識:休日と休暇の違い

休日とは、雇用契約を結ぶときに雇用者が労働者に与える、働く義務がない日のことです。法定休日とは労働基準法第35条の「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない」という文言を根拠とする、雇用者が最低限与えなければならない休日のことです。現在多くの会社が週休二日制を採用していますが、これは法定休日に法定外休日を加えた休日制度となります。労働基準法第32条に「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」という規定があり、1日8時間労働で5日働くとこの上限に達することが週休二日制の一つの根拠となっています。
休暇は休日とは異なり、労働契約上は働く義務があったとしても、雇用者側や労働者側の都合、もしくは法律の要請によって働かなくても労働契約を破ってはいないことになる日のことです。法律が要請する法定休暇としては年次有給休暇や産前産後休業などが、それ以外の法定外休暇としては夏季休暇や冬期休暇、慶弔休暇などがあります。

勤務形態や給与形態によって異なる

欠勤控除の取り扱いは勤務形態や給与形態によって異なります。「完全月給制」の場合、欠勤しても給与は全額支払われます。「日給制」の場合、出勤日数に日給を掛けた金額が支給されるので欠勤控除はありません。これは「時給制」の場合も同じです。「月給制」や「年俸制」の場合、事前の取り決めに応じて控除額が決定します。以下ではもっとも一般的な場合である「月給制」の場合について、欠勤控除の計算方法の概要を解説します。

月給制の場合は所定労働日数を用いるのが一般的

月給制の場合、特段の定めがなければ1日あたりの給与を算出したうえで、欠勤日数分を全体の給与から差し引いて欠勤控除額を求めるのが一般的です。そのためには社員が働くべき日が何日あるかという「所定労働日数」を算出する必要があります。まずは1年の日数から休日を引いて「年間所定労働日数」を算出し、これを12で割って「月間平均所定労働日数」を求めます。月給を月間平均所定労働日数で割ることで、1日あたりの給与が求まります。

月給を月間平均所定労働日数で割ることで、1日あたりの給与が求まります。

月給制の場合の欠勤控除の計算方法

  • 月給÷月の所定労働日数×欠勤日数
  • 例えば、月給が30万円で、月の所定労働日数が20日である際に4回欠勤した場合の計算式は、「30万円÷20日×4日=6万円」となります。

遅刻・早退控除の計算方法

  • 月給÷月の所定労働時間×欠勤時間
  • 例えば、月給が30万円で、月の所定労働時間が160時間である際に1時間の遅刻があった場合、計算式は「30万円÷160時間×1時間=1,875円」となります。

控除対象となる手当を決定する

企業が社員に支払う給与は、基本給・割増賃金手当で構成されています。割増賃金はいわゆる残業代などが該当し、手当は「家族手当」「通勤手当」「役付手当」「技能・資格手当」「精勤手当」などが含まれます。諸手当を欠勤控除の対象にすることを禁止する法令はないため、前項の方法で欠勤控除額を算出する際は、どの手当を控除の対象とするかを就業規則(賃金規定)の中であらかじめ定めておく必要があります。各企業の判断に委ねられますが、通勤手当など業務と直結する手当は控除の対象とし、家族手当など業務と直結しない手当は控除の対象としないのが一般的です。

欠勤時の残業代の取り扱い

残業や休日出勤をした社員が同じ月に欠勤した場合、残業や休日出勤を欠勤と相殺するこことはできません。残業や休日出勤をした場合、欠勤の有無にかかわらず、残業や休日出勤の労働時間に法律で定められた割増率以上の割増率を掛けた金額を支払う必要があります。ただし、「みなし残業」はこの例外です。「みなし残業」とは、あらかじめ月の残業時間を見積もっておき、その分の残業代を固定して支払う制度です。就業規則で定めることにより、みなし残業代は欠勤控除の対象とすることができます。ただし、月のトータルでの残業時間に対してあらかじめ支払うみなし残業代と、賃金を日割りで控除する欠勤控除を合算すると複雑になるため、みなし残業代を欠勤控除の対象としない会社も多くあるのが現状です。

まとめ

この記事では欠勤控除の意味や計算方法について解説しました。欠勤控除の計算方法を明確に定めた法令はなく、労働基準法などの規定に反しない範囲で、就業規則の中で自由に定めることができます。この機会に、欠勤控除について就業規則の中で具体的な計算方法とともに明記しましょう。欠勤控除のルール作成時にこの記事が参考になれば幸いです。

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