2030年問題とは、高齢化に伴う人口の減少により2030年ごろに表面化が予想される社会問題の総称のことを指します。2030年問題が企業に与える影響の一つとして、人件費の高騰が挙げられます。働き手が不足し、人材獲得競争が激化すると、企業は人材を獲得するために、これまで以上に良い雇用条件を提供するようになり、人件費が高騰します。そこで企業は、働き方改革や副業の推進といった、応募してくる人材へのアピールとなるような施策を講じ、人手不足を解消しましょう。
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2030年問題とは
2030年問題とは日本が抱える少子高齢化がさらに進み、2030年頃に顕在化すると考えられているさまざまな社会問題の総称のことです。例えば、多くの企業は労働力不足や人材獲得の競争激化、人件費上昇などの課題に直面すると懸念されています。参考までに内閣府が公表した「令和5年版高齢社会白書」によれば、2022年10月時点で65歳以上の高齢化率は29.0%という結果が出ました。深刻な2030年問題に企業が対処するためには、適切な対策を立案して実行していく必要があるのです。
2025年問題との違い
2025年問題とは第一次ベビーブームで生まれた団塊の世代が、75歳以上の後期高齢者となることで生じる社会的な課題のことです。2025年には国民の約5人に1人が後期高齢者、約3人に1人が65歳以上の高齢者という超高齢化社会になると予測されています。そうすると、医療費や介護費のさらなる増加が想定されており、大きな社会問題になるとされているのです。2030年問題も2025年問題のように高齢化が深く関わりますが、より広い範囲の問題に焦点が当てられている点に違いがあるので気をつけましょう。
2040年問題との違い
2040年問題とは日本の人口減少と少子高齢化がさらに進行することで、2040年頃に顕著に表面化する多様な問題のことです。2040年には団塊ジュニア世代が65歳を迎え、総人口に占める高齢者の割合が過去最大の約35%に達すると試算されています。こうした高齢者人口の増加と少子化による労働力人口の急減が同時進行で起こると想定されており、日本経済や社会保障の維持が危険視されているのです。2030年問題がより深刻な状況になると2040年問題に発展すると覚えておきましょう。
2030年問題による企業への影響
人材獲得競争が激化する
まず、2030年問題によって人材獲得競争がさらに激化すると想定されます。今後、少子高齢化が進むと、労働力人口がさらに減少する可能性があるとお伝えしました。一方、企業は成長を続けていくために、優れた人材を必要としています。そのため、人材不足が深刻化するに比例して、企業間で優秀な人材の奪い合いが激しくなると考えられているのです。そうした状況で人材を確保するためには、優れた労働環境の整備などの対策が必要とされています。
人件費が高騰する
次に、2030年問題によって人手不足が企業で広がると、人件費も高騰していくと懸念されています。働き手が減少を続けるなかで安定して労働力を確保するためには、以下のような取り組みが必要です。
- 高賃金での雇用
- 手厚い福利厚生
- 魅力的なキャリアパス
こうした取り組みに伴って、人件費が上昇して企業の経営コストが増加する恐れがあります。人材の需給バランスの大きな変化に対応するために、企業はより高いコストを支払わざるを得ない状況に追い込まれつつあるのです。
経営状況が悪化する恐れがある
さらに、2030年問題に対処できないと、経営状況が悪化してしまう恐れも軽視できません。業務効率化や職場環境の改善などの対応が遅れていると、既存の業務に支障が出てしまいます。個々の従業員の負担を増やしながらカバーしていても、限度を超えれば商品やサービスの質の低下につながりかねません。また、ベテランの従業員のノウハウを継承する若い世代も不足しているので、企業の力はどんどんと低下してしまいかねないのです。
2030年問題への対策
働き方改革や副業を推進する
働き方改革や副業を推進してみましょう。減少していく働き手に自社の魅力をアピールするためには、多様な働き方ができる環境を整えなくてはなりません。具体的には、テレワーク・フレックスタイム制・時短勤務・副業などを取り入れ、従業員ごとの都合や状況に応じて柔軟に働ける職場が求められます。こうした働き方改革を推進できれば、働き手はライフスタイルの変化にも柔軟に対応できるだけでなく、ワークライフバランスも充実させることが可能です。
リスキリングを実施する
リスキリングを実施して、既存の従業員の力を最大限に発揮させましょう。リスキリングとは技術革新やビジネスモデルの変化に対応していくために、業務で必要とされる新しい知識やスキルを学ぶ取り組みを指します。人材不足の解消のために人材を新たに採用することは簡単ではありません。そこで、リスキリングによって既に働いている方の能力を向上させられれば企業の成長を継続できるだけでなく、従業員の満足度やエンゲージメントアップにも効果があります。
デジタル技術を活用する
デジタル技術を活用して人材不足による生産性低下を補えないか検討してみましょう。デジタル技術の仕事での活用例を以下にまとめてみました。
- デジタル化でペーパーレスを実現する
- RPAで業務を自動化する
- AIに電話を自動応答してもらう
- BIでレポートを作成する
- クラウドで勤怠管理を実施する
このほかにも、さまざまなデジタル技術が誕生しています。デジタル技術を仕事に活用できれば、限られた従業員数でも高いパフォーマンスを発揮することが可能です。変化を恐れずに積極的に新しいデジタル技術を試してみましょう。
まとめ
私たちの社会は2030年問題に代表されるように、対策が急がれる課題を抱えています。特に、労働力不足への対応は避けては通れない問題であり、多くの企業で解決策が模索されている最中です。今までと同じ方法では通用しないケースも散見されており、事業を存続させるために新しい挑戦をスタートさせる企業も増えてきました。2030年問題に対応するために働き方改革やDXの推進など、できる取り組みから始めてみてはいかがでしょうか。