キャリアブレイクとは、自己成長やリフレッシュを目的に仕事を一時的に離れる期間のことを指します。休職は病気や介護などやむを得ない理由で離れるのに対し、キャリアブレイクが積極的なキャリアアップを目的にしています。リカレント教育や柔軟な働き方へのニーズが高まる中、キャリアブレイクは注目を浴びています。企業にとっては、社員のリフレッシュやスキル向上を通じた長期的な戦力強化が期待できます。今回は、キャリアブレイクと休職の違い、注目されている理由やメリットなどについて解説します。
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キャリアブレイクとは
キャリアブレイクとは現在の仕事から一定期間離れて、自らのキャリアを改めて考える期間を指す言葉です。英語のキャリア（経歴・職業）とブレイク（中断・休憩）から派生して生まれた言葉で、現在の仕事を一休みして働き方や人生を再構築するための準備期間だと捉えられています。将来のキャリアにプラスとなる時間を過ごせるだけでなく、仕事とプライベートのバランスを整えられる貴重な機会として、日本でもキャリアブレイクに関心が集まるようになりました。
休職との違い
休職とは従業員側の個人的な事情によって、雇用契約を維持したまま企業から労働の義務を免除される状態を指す言葉です。休職の理由としては病気や怪我などの療養・グループ企業への出向・留学・ボランティアなどが挙げられます。一方、キャリアブレイクは仕事から離れて休みを取得していますが、将来を考えたうえでの前向きな準備期間という意味で使用される言葉です。キャリアブレイクのために休職を選択する方が多くいらっしゃいます。休職とキャリアブレイクは関連ある言葉ですが、混同して使用しないように気をつけましょう。
キャリアブレイクを選択する主な目的
キャリアブレイクを選択する主な目的を以下にまとめてみました。
- 家族との時間を優先したい
- メンタルヘルスやウェルビーイングに集中したい
- 海外旅行に行きたい
- 海外で働きたい
- リスキリングに取り組みたい
- 資格を取得したい
このようにスキルアップ・学び直し・リフレッシュなど、キャリアブレイクを選択する理由は人によってさまざまです。人生や働き方を見直すきっかけとして、キャリアブレイクで長期休みを取得する方が増えています。
キャリアブレイクが注目される理由
リカレント教育の推進が広がっている
キャリアブレイクに関心が高まる理由としては、リカレント教育の広がりが挙げられます。リカレント教育とは学校教育から離れても生涯を通じて学び続け、必要に応じて就労と学習を交互に繰り返す取り組みを指す言葉です。このリカレント教育では得られた知識やスキルを、仕事やキャリアで生かすことを目的としています。従業員がリカレント教育でスキルアップできれば生産性の向上も期待できるため、キャリアブレイクの主な取得理由の一つとして注目されるようになりました。
ワークライフバランスが必要とされている
ワークライフバランスが必要とされている点も、キャリアブレイクが注目される理由の一つです。ワークライフバランスとは仕事と生活を調和させることであり、現代の労働者が働くうえで重視するポイントとして挙げられます。特に、ストレスや負担が大きい職場環境では、心身のリフレッシュや家族との時間を求める声も少なくありません。ワークライフバランスを重視して個人の幸福や持続可能な働き方を実現するための方法として、キャリアブレイクが選ばれるケースが目立つようになりました。
キャリア自律の必要性が高まっている
キャリア自律の必要性の高まりも、キャリアブレイクが広がる背景として挙げられます。キャリア自律とは個人が主体的に自身のキャリアを形成する取り組みのことです。労働市場の変化や終身雇用の崩壊などの影響により、企業に任せずに自らでキャリアを設計する重要性が再認識されるようになりました。自らのキャリア構築や関連する学習には時間が必要となるため、キャリアブレイクを活用する方が増えています。
キャリアブレイクのメリット
新たな働き方を提示できる
キャリアブレイクを企業が認めれば、従業員に新たな働き方を提示できます。キャリアブレイクは多くの従業員にとって大きな可能性です。企業側が提示するキャリアの道を進むだけではなく、自分自身の考えに従って人生や働き方を見直す時間を確保できます。また、キャリアブレイクを経験した人材が社内で活躍すれば、継続して働き続ける以外にも自己実現に向けたさまざまな道があると会社の内外に示すことが可能です。
従業員のモチベーションを高められる
従業員のモチベーションを高められる点もキャリアブレイクのメリットです。キャリアブレイクは従業員に新しい刺激を与えて、自己啓発やスキル習得などの意欲を高めるきっかけとして機能します。キャリアブレイクを経験した従業員が新たな知見を共有すれば、企業全体の学習意欲の向上も期待できるでしょう。
多様な人材の確保につながる
キャリアブレイクの取得が企業で浸透すれば、多様な人材の確保につながります。キャリアブレイクを取得した従業員は、海外留学・ボランティア・リスキリングなど多様な経験をすることが可能です。そうした方に対して企業が活躍の場を用意できれば、これまでとは異なる能力を発揮する人材に出会える可能性が高まります。
まとめ
キャリアブレイクはリカレント教育の推進やワークライフバランスの広がりなどを背景に、日本でも浸透するようになってきました。キャリアブレイクを取得すれば仕事から離れて自分の時間を確保できるので、自らのキャリアを改めて考えられます。休みの間の過ごし方も人それぞれで、結果として従業員のモチベーションを高めることも可能です。従業員の働き方や成長にお悩みの方は、キャリアブレイクという選択肢について改めて考えてみてはいかがでしょうか。
