みなし残業の上限は45時間?生じやすいトラブルに注意

2021年9月7日

NEW

イメージ

みなし残業時間制において、残業時間の上限は法律で規定されていませんが、36協定の45時間に抑えることがベターとされています。長時間のみなし残業時間を設定すると、トラブルを生じかねないため注意しましょう。今回は、みなし残業時間制度の基本的なルールや36協定によるみなし残業時間の上限、生じやすいトラブルについて解説します。

労務管理に便利なクラウド型勤怠管理システムAKASHIの資料はこちら>>

みなし残業制とは

みなし残業制とは、企業から支給される給与の中に、あらかじめ一定労働時間分の残業代を含ませておく制度であり、固定残業代制とも呼ばれています。

みなし残業制の働き方の例

たとえば、営業職など、1日の労働時間のうち大部分を、外回りなど社外で行う職種には、みなし残業制が適用されているケースがあります。みなし残業制では、あらかじめ一定時間分の残業代が給与に含まれています。仮にこの金額を5万円分としましょう。この場合、従業員が時間外労働をしたとしても、5万円まではすでに給与に含まれているため、残業代は追加されません。また、時間外労働を行わなかった月であっても、支給される給与額は5万円の残業代を含んだ額から減ることはありません。

みなし残業時間の上限

みなし残業時間の上限は、定められていません。ただし、36協定における一ヶ月の法定時間外労働時間の上限が45時間とされていることから、最大でも45時間が目安とされています。
36協定とは、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超える時間外労働を従業員に命じる場合に必要な労使協定です。36協定では、月45時間・年間360時間という法定時間外労働時間の上限が定められていますが、特別条項を付帯することで上限以上の労働をさせることも可能です。しかし、この特別条項は、特別な業務の繁忙などに応じた臨時的な措置としてのみ発動できるため、恒常的に適用させることはできません。そのため、みなし残業時間は45時間までと考えるのが適切でしょう。また、法定時間外労働における賃金の割増率は1.25倍以上、深夜残業は1.5倍以上と定められているため、みなし残業代は割増賃金を含ませた金額にすることも忘れてはいけません。

みなし残業の3つの種類

  • 事業場外みなし労働時間制
  • 事業場外みなし労働時間制は、従業員の業務が主に企業の外で行われる場合に適用されます。企業が従業員の労働時間を把握することが難しいため、あらかじめ決められた時間働いたとみなす制度です。

  • 専門業務型裁量労働制
  • 専門業務型裁量労働制は、業務の性質上、業務遂行の手段や時間配分などを従業員の裁量にゆだねる必要があるため、あらかじめ定めた時間を働いたものとみなす制度です。専門業務型裁量労働制の対象となる主な業務は以下のようなものが挙げられます。

  1. 研究職
  2. 情報処理システム関連職
  3. デザイナー
  4. プロデューサー
  5. 記者
  6. 弁護士
  7. 建築士
  8. 公認会計士
  9. 税理士
  • 企画業務型裁量労働制
  • 企画業務型裁量労働制とは、業務を進める方法や時間配分などを従業員に任せて、業務効率や生産性の向上を目指すための制度です。対象となる業務の条件は以下です。

  1. 事業の運営に関する事項についての業務であること
  2. 企画・立案・調査および分析の業務であること
  3. 当該業務の性質上、適切に仕事遂行するためには具体的な方法を従業員の裁量に任せる必要がある業務であること
  4. 当該業務の遂行手段および時間配分の決定などについて、管理者が具体的な指示をしないこととする業務であること

関連記事:

みなし残業制のメリット

【企業側のメリット】残業代の計算が楽になる

みなし残業制では、規定された一定時間までの残業代が一律で給与に加算されます。そのため、従業員ごとに残業代の計算を行う必要がありません。みなし残業制を導入することで、企業は給与計算に関する手間を削減できます。ただし、規定で定めたみなし残業時間を超過した分については、追加で残業代の支給が必要になるため、注意しましょう。また、時間外労働がほとんど行われない企業で、みなし残業制を導入すると、マイナスが大きくなるため、導入の判断は慎重に行いましょう。

【従業員側のメリット】残業がない月も給与が変わらない

従業員にとってのメリットは、時間外労働が少ない月でも給与が変わらないため、安定した収入が得られる点です。繁忙期と閑散期で収入の増減が抑えられるだけでなく、従業員にとっては、仕事を早く終わらせるほど得になるため、従業員の効率的な働き方を促すためにも効果がある制度といえるでしょう。

みなし残業で発生しやすいトラブル

実際の給与が最低賃金を下回っていた

みなし残業代が含まれていることで、本来の賃金額がわかりにくくなる場合があります。みなし残業制について、企業側が正しく認識していない場合、みなし残業代を除いた給与が、最低賃金を下回っていたというケースもあります。みなし残業代を設定する際は、最低賃金を下回らないようにしたうえで、割増賃金などを含めた金額にするようにしましょう。

残業が習慣化してしまう

みなし残業では、時間外労働の有無を問わず残業代が支給されますが、かえって時間外労働が習慣化してしまう恐れがあります。残業は必要に応じて行うものという認識を深め、「みなし残業代を支払っているのだから、もっと働かせても大丈夫」という考え方にならないよう、管理職に徹底しましょう。

募集広告での賃金表記が分かりにくい

みなし残業制を採用する企業は、従業員の募集広告に以下の3つの項目を明示しなければなりません。

  • 固定残業代を除いた基本給の金額
  • 固定残業代に関する労働時間数と金額などの計算方法
  • 固定残業時間を超える時間外労働・休日労働・深夜労働に対して割増賃金を追加で支払うことの説明
  • 正しい募集広告は以下のような表記です

  • 基本給(25万円)(固定残業手当を除く額)
  • 固定残業手当(時間外労働の有無にかかわらず、30時間分の時間外手当として6万円を支給)
  • 30時間を超える時間外労働の割増賃金は追加で支給
  • 賃金の条件が分かりにくい募集広告は、トラブルが発生する原因になりかねないので、みなし残業制の場合はとくに注意しましょう。

正しい労務管理が行われない

みなし残業制を導入しているからといって、企業は時間外労働に関する労務管理を怠って良い訳ではありません。企業が認識していないうちに、従業員の時間外労働が常態化し、みなし残業として規定された時間はとっくにオーバーしていたという事態にもなりかねません。みなし残業制であっても、従業員一人一人の日々の労働時間をしっかりと管理し、給与の不足がないかどうか確認することが大切です。また、時間外労働が常態化している場合は、業務量が多すぎるなど、現場のマネジメントに問題がある場合も少なくありません。従業員の健全な働き方を守るためにも、労務管理をきちんと行っていくようにしましょう。

関連記事:

まとめ

みなし残業制は、正しく運用すれば、企業と従業員の双方にとってメリットのある制度です。一方、時間外労働が常態化しやすく、みなし残業時間以上の時間外労働がサービス残業扱いされる場合があるなど、しっかりと運用しなければ、従業員の健全な労働環境を損なう可能性がある制度です。みなし残業制について正しく理解し、メリットの活かせる運用を心掛けましょう。

労務管理に便利なクラウド型勤怠管理システムAKASHIの資料はこちら>>
tag

勤怠管理システム
「AKASHI」

カンタン登録ですぐにお試し可能です