雇用契約を更新する場合のポイントは?

2022年2月4日


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厚生労働省は、労働基準法に基づき有期労働契約の締結や更新、雇止めに関する基準を定めています。有期雇用契約の契約期間が満了した労働者に対して雇用契約を更新する場合は、新たな雇用契約を結ぶ必要があります。今回は、雇用契約締結の際のポイント、更新の基準、更新の手続き、更新しない場合について解説していきます。

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雇用契約を正しく理解しよう

雇用契約とは、労働者が事業主のもと業務に従事し、事業主がその労働に対して報酬を支払うことを約束する契約です。雇用契約を締結した労働者は、社会保険や労働保険の加入、有給休暇の取得、使用者からの一方的な解雇の禁止など、労働基準法をはじめとしたさまざまな労働法の保護を受けることができるようになります。また、雇用契約の内容によってさまざまな雇用形態に分類され、働き方の特徴もそれぞれ異なります。

雇用形態とその特徴

世の中には、働き方によってさまざまな雇用形態が存在します。ここではそれぞれの雇用形態について解説します。

  • 正社員
  • 正社員は、長期雇用を前提に雇用契約を結ぶ雇用形態です。正規雇用とも呼ばれ、一般的に労働契約に期間の定めはありません。基本的にフルタイムで働き、事業運営上重要な役割を任されたり、大きな責任を担ったりすることも多いです。一方で、将来的な昇給や昇格が期待できるほか、特別な事情がない限りは雇用契約が終了する可能性も低いというメリットがあるでしょう。また、正社員に対して賞与・退職金・福利厚生などを充実させている企業も多いです。

  • 契約社員
  • 契約社員は、雇用期間の定めのある有期雇用契約を締結する雇用形態で、非正規雇用とも呼ばれます。基本的に企業に直接雇用されますが、あらかじめ期間を定めて雇用するため、契約更新は確約されません。企業にとっては、人員を必要な期間だけ補充したい場合にメリットが大きいでしょう。労働者側にとっても、転勤の義務や大きな責任を負わずに希望の職種で働けるという点でメリットがあります。

  • 派遣社員
  • 派遣社員は、勤務する企業から直接雇用されるのではなく、派遣会社と雇用契約を締結するという特徴があります。つまり、雇用主は派遣会社でありながら、派遣労働者に対しての指揮命令権を持っているのは派遣先企業ということです。雇用期間に関しても有期雇用派遣や無期雇用派遣などがあり、契約内容によってさまざまな働き方が考えられます。

  • パートタイマー・アルバイト
  • パートタイマーとアルバイトは、主に短時間労働に特化した雇用形態です。期間が定められた有期雇用契約のもと雇用されるのが基本で、企業の直接雇用です。一般に、パートタイマーは短時間で働く主婦層、アルバイトは学生やフリーターなどを指す場合が多いです。

有期雇用契約とはどんな働き方?

有期雇用契約とは、企業と労働者が6カ月間や1年間など労働期間の定めのある労働契約を結ぶ契約です。主に、以下のように呼称される雇用形態が該当します。

  • 契約社員
  • 嘱託社員
  • 派遣社員
  • パートタイマー
  • アルバイト

このように、非正規雇用の多くの雇用形態が有期雇用契約です。契約期間は最長でも3年と定められており、継続して同じ企業で働くためには契約の更新が必要です。契約期間が終了したタイミングで契約の更新がないことを「雇止め」と呼びます。ただし、有期雇用契約が5年を超えて更新された場合、労働者からの申込みにより無期労働契約に転換される無期転換ルールが定められています。

業務委託契約との違い

業務委託契約とは、請負契約や準委任契約などに代表される、企業が業務を外部に委託する際に締結される契約です。雇用契約とは明確な違いがあるため、ポイントを確認しておきましょう。                                                                                          
まず雇用契約では、労働者として労働基準法や労働契約法などの労働法上の保護が受けられます。雇用契約で生まれる労使間の主従関係で立場が弱くなりやすい労働者を法律が保護して、労使のパワーバランスを均衡にしているのです。
一方、業務委託契約を締結して働く人は、労働者ではなく事業主として扱われるため、労働法の保護は受けられません。完成した仕事に対して報酬が支払われる請負契約や、業務の遂行に対して報酬が支払われる準委任契約は、労使の関係ではなく事業者間の契約として扱われるのです。

社会保険どうなる?

社会保険の扱いについて整理しておきましょう。有期雇用契約で働いていても以下の条件を満たしていれば、社会保険の加入対象になります。

  • 雇用保険
  • 週20時間以上勤務する場合、正規雇用と非正規雇用ともに加入対象です。

  • 労働災害保険
  • すべての労働者が対象です。

  • 厚生年金、健康保険
  • 週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同じ事業所で同じ業務をおこなっている正社員など一般従業員の4分の3以上であれば加入要件を満たします。この労働時間の要件を満たしていなくても、以下の項目すべてを満たしていれば加入できます。

  1. 所定労働時間が週20時間以上
  2. 月額賃金88,000円以上
  3. 勤務期間が1年以上の見込み
  4. 従業員数501名以上の企業

※ただし学生は不可

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有期雇用契約の更新

更新手続きのポイント

有期雇用契約における更新手続きでは、労使間の合意のもとに新たな雇用契約を締結する必要があります。同じ労働条件の更新でも、新たな雇用契約書や労働条件通知書などを作成して、労働条件・契約期間・更新の有無・判断基準などを改めて明示しなければなりません。また、契約更新の面談は雇止めの可能性も考慮して、遅くとも契約期間満了の30日前には行うようにしましょう。

更新はしなければならない?

雇用契約の更新の可否は、以下の判断基準を考慮して判断されます。この判断基準は、雇用契約書・労働条件通知書・就業規則のなかで労働者に明示しておかなければなりません。また、契約締結後に更新の判断基準を変更した場合は、労働者に対して変更内容を速やかに周知する必要があります。契約の更新のために労働者が努力すべき内容をしっかりと提示しなければなりません。

  • 契約期間満了時の業務量
  • 従業員の勤務成績や態度
  • 従業員の能力
  • 企業の経営状況
  • 従事している業務の進捗状況

もし継続して雇用関係を更新しないと決定した場合は、有期雇用契約では契約期間が満了するとともに雇用契約も終了します。更新を行わない理由としては、契約の更新は行わないと契約締結で明記されている、事業を縮小する、業務遂行のための能力が不足しているなどが挙げられます。ただし、これまでに繰り返し契約更新が行われた経緯があり、実質的に無期契約となっている場合などは、雇止めが無効となる可能性があるので注意しましょう。

労働条件は変更しても良い?

企業は労働者との合意が取れれば、雇用契約の内容である労働条件を更新の際に途中変更することは可能です。ただし、労働者にとって不利益な変更は基本的には認められていません。労働条件の変更内容が合理的である場合も、労働者から個別に同意を取る必要があります。もしくは、労働者に十分に周知したうえで就業規則によって労働条件の変更を行う方法もあります。周知が不十分な労働条件の変更は、無効とみなされる可能性もあるため注意しましょう。

まとめ

従業員を継続して雇うことは、賃金や保険料の支払い、労働環境の整備など、企業にとってさまざまな義務や責任を負い続けるということです。事業がうまくいっている時期は良くても、そうでない時期に正社員を雇用し続けるのは、とても大変です。そのため、なるべく有期雇用契約で従業員を雇い、将来的な継続雇用を担保したくないと考える事業主も少なくないはずです。しかし、2013年労働契約法が改正され「無期転換ルール」が新設されたことにより、有期雇用労働者であっても簡単に雇止めはできなくなりました。無期と有期に関わらず、雇用契約の重みは増しているといえるでしょう。企業は従業員との雇用契約に誠実に向き合い、丁寧な手続きをしていかなければなりません。

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