フリーライダーとは、組織内で他者の成果に依存し、自身の業務を果たさない社員を指します。原因としては、評価制度の不備や職務の不明確さなどが挙げられます。このような社員の存在は、周囲のモチベーション低下や生産性の停滞、優秀な人材の離職を招く恐れがあります。対策としては、評価制度の見直しや研修の実施などが効果的です。今回は、フリーライダーの定義や原因、企業が取るべき対策について解説します。
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他者の成果に依存し自身の業務を果たさない社員
フリーライダーはその名の通り「ただ乗り」という意味もありますが、ビジネスの現場においては「給料泥棒」のように使われることもあります。具体的には、他人の成果を横取りしたり、他人に自身の仕事をおしつけて自らは何もこなさなかったりする社員のことを指します。フリーライダー本人の行動で生産性が下がるだけではなく、周囲の社員のモチベーション、信頼関係の低下など大きな影響をおよぼすと言われています。
ローパフォーマーやぶら下がり社員との違い
企業にとっては負担となっており、業務に積極的ではない社員を指す言葉として「ローパフォーマー」や「ぶら下がり社員」といった表現もあります。これらの言葉との大きな違いは、直接的にほかの社員に対して影響を与えるかどうかという点です。例えば「ローパフォーマー」は、企業が望むスキルや生産性に達していない社員のことを指す言葉で、「ミスを繰り返す」といった事例が問題となることがあります。また、「ぶら下がり社員」の場合、業務に対して消極的であり、必要以上に努力をしない社員のことを指します。結果としてどちらも企業にとって負担となる社員であることは変わりありませんが、フリーライダーのように直接的に他者に対して仕事を押し付けたり手柄を横取りしたりすることはありません。
フリーライダーが生まれる原因
かつて日本の企業では年功序列の仕組みが一般的であったため、フリーライダーのような存在であっても、同じ企業に長く在籍さえすれば昇進や一定の評価が得られるといったことが発生していました。近年になってからこのような存在が問題視されているのは、以前と比較して労働人口そのものが縮小し、多くの企業で人材不足が課題となっている点が挙げられます。極端に言ってしまうと、誰かが仕事をしなくても現場が回ってしまう環境では、フリーライダーと化す従業員が生まれやすい環境と言えるかもしれません。
フリーライダーが企業に及ぼす影響
組織の生産性が低下する
前述のとおり、フリーライダー化した社員は積極的に自身の業務をこなそうとしません。さらに、他の社員に業務を押し付けて負担をかけるケースもあります。すると、フリーライダー化している社員だけでなく、組織全体の業務に対する生産性や効率性が低下することが考えられます。
組織のチームワークが乱れる
フリーライダー化した社員が身近におり、直接的に迷惑をかけられた社員は彼らによくない印象を抱くことは間違いないでしょう。このように、悪い印象を与えてしまうフリーライダーの存在は、組織全体の不満やチームワーク性を悪化させる要因となります。また、「あの人がサボっているなら自分もちゃんと働くのをやめよう」と考える人が現れ、周囲の人間をフリーライダー化させてしまうことにもつながります。
優秀な社員の離職につながる
フリーライダーが放棄したり押し付けたりした仕事は、フリーライダー本人がやるべきものであっても、結局は誰かがこなさなければいけません。このような場合、負担がかかるのは優秀な社員であることが多く、業務の負担や不満を抱えた社員が離職を選んでしまうことが想定されます。優秀な社員が流出することで、さらに企業は生産性が低下する悪循環へと陥ることが想定されます。
フリーライダーを生まないための対策
仕事の内容や範囲を可視化する
まずは、フリーライダーとなっている社員を含め、社内の誰がどの仕事を担当しているのかを、わかりやすく確認・管理できる体制を整えることが重要です。業務の内容や担当者を把握できていないと、フリーライダー化した社員を見抜くことが難しく、気付いた頃には手遅れの状態になっているかもしれません。いち早くこれに気付くためには、作業日報などの仕組みで業務内容を報告してもらい、適正な業務プロセスであるかどうかを確認できるようにしましょう。
適切な評価制度を構築する
フリーライダー化する社員は、始めからモチベーションや気力がないわけではなく、適正に評価してもらえないなどの企業に対する不満がきっかけとなってしまうケースもあります。そのため、在籍する企業に不信感や不満を社員に抱かせないようにするためにも、評価制度はわかりやすく公平になるように努めましょう。また、適切な評価制度を整備することで、すでにフリーライダー化した社員の判断もつきやすくなります。
上司との面談を定期的に実施する
上司や経営層とのコミュニケーションが少なく、現場でどのような働き方がなされていないような企業は、フリーライダー化した社員が生まれやすい環境と言えるでしょう。上司が部下の働きぶりや課題・不満などを把握するためにも、定期的に面談やコミュニケーションをとる時間を作ることをおすすめします。企業にとって負担となる不当な働き方を防止するだけでなく、順当に働いている社員のモチベーションやエンゲージメントの向上にも期待できるでしょう。
まとめ
フリーライダーとなった社員は個人の問題だけではなく、周囲の社員や組織全体に影響をおよぼす可能性があります。早急に把握するためには、職場環境の把握や評価制度の改善など、これまでのプロセスを刷新・見直しすることが重要です。