階層別研修とは、企業内の職位や役割に応じて異なる研修プログラムを提供することを指します。階層別研修の成功には、階層別研修体系図の活用が効果的です。 階層別研修体系図とは、組織内の異なる職階や役職に応じた研修プログラムを視覚的に表現した図のことです。各階層ごとに必要なスキルや知識が異なるため、それに応じた教育を行うことで、効率的に能力を高めることができます。しかし各従業員が異なる業務を抱えているため、決められた場所・時間で一斉に実施する階層別研修では、スケジュール調整が難しくなります。
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階層別研修とは
階層別研修とは、企業や組織における役職や役割に応じて異なる、最適な研修プログラムを提供することです。年齢や勤続年数、今までの経験によって社員を分類し、各階層に必要なスキルや知識を身に付けさせることを目的としています。なお、ビジネスシーンにおける階層とは、新入社員・若手社員・中堅社員・管理職といった立場や、ヤング層・ミドル層・シニア層などの世代を指すことが一般的です。英語では、「hierarchical training」「level-based training」「position-specific training」「job-level training」などと表現します。
階層別研修の実施目的
階層別研修を実施する目的は、会社が求める役割の理解と、必要とされるスキルや知識の習得の2つです。そもそも、階層によって会社が社員に求める役割は異なります。階層の変わった社員が階層別研修を受けることで、会社に求められる役割を理解することが1つ目の目的です。自身の役割を理解することで、会社が求めるパフォーマンスを十全に発揮できるようになります。二つ目の目的は、階層が上がることで新たに求められるようになったスキルや知識を身に付けることです。新たな階層で研修を受けることで、その階層に見合ったパフォーマンスを発揮できるようになります。
階層別研修の具体例
階層別研修は具体的に、新入社員研修・若手社員研修・中堅社員向けの研修・管理職研修などに分類できます。主に新卒者を対象に実施する新入社員研修は、会社のルールやビジネスマナーを学ぶことが目的です。入社して3~5年程度の社員を対象に実施する若手社員研修では、より実践的なスキルや知識を学びながら、後輩社員の指導方法などを習得します。組織の中核を担う中堅社員向けの研修は、リーダーに求められるマネジメント能力やリーダーシップを高めるのが目的です。課長や部長といった役職者を対象に実施する管理職研修では、組織管理手法やリスクマネジメント、コーチングなど、組織力を最大化するためのノウハウを実践的に学びます。
階層別研修のメリット・デメリット
メリット1:階層ごとに適切なスキルを習得できる
階層別研修を実施する1つ目のメリットは、階層ごとに適切なスキルを習得できることです。そもそも、階層ごとに必要とされるスキルや知識は異なります。組織の成果を最大化するには、階層ごとにスキルや知識を均一化することが重要です。階層別研修によって、その階層で求められるスキルや知識を満遍なく習得させることで、社員間のばらつきが少なくなり、効率的な組織運営を実現できます。また、階層別研修は同じ階層の社員が一堂に会して実施されるため、部署・部門を超えたスキルや知識の共有が期待できるのもメリットです。
メリット2:モチベーションが向上する
階層別研修を実施する2つ目のメリットは、社員のモチベーションが向上することです。階層別研修で会社から求められている役割が明確になると、自身のキャリアを主体的に捉えられるようになります。キャリアパスを具体的に思い描くことで仕事の意義が明確になった結果、業務に対するモチベーションが高まる社員も少なくありません。また、階層別研修で学んだスキルや知識を実践に活かし、成果を上げることで自信が身に付くケースもあります。同じ階層の社員が一堂に会して切磋琢磨する研修は、モチベーションの向上に効果的です。
メリット3:効率的に人材育成できる
階層別研修を実施する3つ目のメリットは、効率的に人材育成ができることです。階層別研修で各階層に求められるスキルや知識を体系的に習得させれば、人材の育成を効率化できます。従来の研修はセミナーの実施や講師の確保など、多額の費用がかかるケースも少なくありません。しかし、階層別研修はある程度内容が決まっているため、コストを抑えて研修を実施できます。階層ごとに内容を定型化することで、社員に身に付けさせるスキルや知識を均一化することも可能です。安定して社員を育成できるようになれば、事業の効率化と経営の安定化を実現できます。
デメリット:スケジュール調整に手間がかかる
一方、階層別研修のデメリットは、スケジュール調整に手間がかかることです。階層別研修は、同じ階層の社員が一堂に会して実施されます。そのため、社員のスケジュール調整が複雑になり、手間がかかるケースも少なくありません。例えば、現場を担う販売部門や営業部門、製造部門といった直接部門の社員は、その特性上研修に参加しにくい可能性があります。研修が過度な負担にならないよう、日程や時間割などを柔軟に設定し、参加しやすい環境を構築しましょう。eラーニングの活用など、参加者の負担を減らす工夫も効果的です。
階層別研修を成功させる秘訣
階層別研修体系図を活用する
階層別研修を効果的に実施するには、研修体系図を作成し、活用することがポイントです。研修体系図とは、研修の目的や目標、求める役割やスキル・知識、研修の内容などを、わかりやすく図にまとめたものを指します。計画性のない研修は継続性がないため、コストに見合った効果は得られません。また、研修の効果を最大化するには、実施後のフォローアップも重要です。研修体系図を作成しておけば、階層ごとに必要な研修やフォローアップの内容がひと目でわかります。
演習やディスカッションを取り入れる
演習やディスカッションを取り入れて、参加者が主体的に学べる環境を構築することも重要です。受動的な研修は学んだ内容が定着しにくく、高い効果は期待できません。参加者の主体的な学習を促すことで、研修内容の理解と定着を図ることが可能です。また、研修は学んで終わりではありません。学んだ内容を実践に活用できるよう、実技や実習も交えながら研修を進めることが大切です。効果を最大化するには、研修内容の体系的な構築が欠かせません。
研修の効果測定を実施する
研修を実施したら、効果を測定することも重要です。階層別研修は一度実施したら終わりではなく、毎年繰り返し実施することで、効果を発揮します。研修実施後に参加者の満足度や理解度を収集し、フィードバックをすることが大切です。研修内容をブラッシュアップし続けることで、より実情に則した、効果的な研修となります。また、PDCAを回し、経営環境やニーズの変化に合わせて、研修内容を定期的に見直すことも大切です。内容を見直す際は、測定結果の分析だけでなく、自社の現状と課題を明確化する必要があります。
まとめ
今回は階層別研修について解説しました。階層別研修とは、役職や役割に応じて異なる、最適な研修プログラムを提供することを指します。階層ごとに求められる役割の理解とスキル・知識の習得が、階層別研修の目的です。モチベーションの向上や人材育成の効率化といったメリットがある一方、スケジュール調整に手間がかかるというデメリットがあります。研修内容を体系化し、効果測定を実施してブラッシュアップし続けることも重要です。