人時生産性とは? 算出方法や向上させる方法を解説

2019年12月3日

イメージ

生産性の向上は、働き方改革で重点の置かれているポイントのひとつです。そんな生産性の評価基準の一種に「人時生産性」があり、粗利益額と労働時間から計算されます。勤怠管理を基に総労働時間を減らし、人時生産性を向上できるようにしましょう。今回は人時生産性の意味や目的、算出方法、向上させる方法について解説します。

労務管理に便利なクラウド型勤怠管理システムAKASHIの資料はこちら>>

なぜ生産性が注目されているのか

そもそも「生産性」とは、リソースの投入量(インプット量)に対する成果の産出量(アウトプット量)の割合を指します。戦後から長らく工場型の長時間の均一労働を基調としてきた日本でしたが、その限界が見えてくるにつれて働き方の改善が進められ、生産性にも目が向けられるようになってきました。とは言え、公益財団法人日本生産性本部が2017年に発表した「労働生産性の国際比較2017年版」によると、日本の労働生産性はOECD加盟国35か国中では第20位と低位に留まり、主要国(G7)では常に最下位という状況が続いています。政府としても、現状のままでは国際競争において敗北を期する可能性が高いため改善に尽力し始めており、こうした流れの中で多くの企業が少しでも生産性を向上させようと様々な対策を打ち出しています。

人時生産性とは

人時生産性は「にんじせいさんせい」と読み、従業員1人が1時間当たりにどれだけの粗利益を上げたかを表す指標です。この値が高ければ高いほど、その企業が短時間で大量の商品を製造できたり、高品質なサービスを提供できたり、大人数のクライアントと契約できたりするということを意味します。よって、人時生産性を向上させることは、企業の競争力を高める上で非常に重要になります。

労働生産性との違い

人時生産性と混同されやすい指標に「労働生産性」があります。労働生産性は、投入した労働量に対してどれだけ成果があるのかを表し、総労働量に対する従業員1人当たりの成果量で計られます。労働量や成果量が単位や基準により様々になるので、比較する際に条件を揃えることが必要です。それに対して、人時生産性は従業員1人が1時間当たりにどれだけ稼いだかという数値であり、より厳密な指標となります。

人時売上高との使い分け

人時生産性と同じ文脈で使用されることが多い指標に「人時売上高」があります。人時生産性は1人1時間あたりに生み出す粗利から算出されるのに対し、人時売上高は純粋な売上高から算出されるという点が特徴です。企業の収益性を比較する際に参照されるという点においては同様ですが、人時売上高には使い分けのポイントがあります。人時売上高は、総労働時間に対する売り上げの割合なので、同じ業種間での生産性を比較する際に有効な数値として用いられます。売上高なのでコストは度外視されていますが、企業の規模を捉える目的などで多く活用されています。

  • 人時売上高
  • 人時生産性と同じ文脈で使用されることが多い指標に、「人時売上高」があります。人時売上高は、従業員1人が1時間にどれだけの売上高を上げたかを表す値です。人時生産性と同様に、いかに企業がお金を獲得することに長けているかを比較する際によく参照されます。こちらは売上高なのでコストが度外視されていますが、企業の規模を捉える等の目的で多く活用されます。

  • 労働生産性

そして、しばしば混同されるため注意が必要な指標に「労働生産性」があります。労働生産性は、投入した労働量に対してどれだけ成果があるのかを表し、一般的には、総労働量に対する従業員1人当たりの成果量で計られます。労働量や成果量が単位や基準により様々になるので、比較する際にはまず条件を揃える必要があります。それに対して、人時生産性は従業員1人が最終的に1時間当たりにどれだけ稼いだかという数値であり、より厳密な指標と言えます。

人時生産性の算出方法

簡単にまとめれば、「従業員全員での粗利益高÷従業員の総労働時間」という計算式により、その企業全体における平均的な人時生産性が弾き出せます。もしそれぞれの項目について、従業員1人当たりの正確な値が算出できるならば、その従業員個別での生産性が高いか否か数値化できます。しかしながら、大規模工場での大人数による製造であったり、チームでの仕事であったりすると、個人毎の数値に分けることが必ずしも適切ではないので、企業全体での生産性がより注目されます。

具体例

ここで具体的な例として、競合のレストランであるA店とB店を比較してみましょう。どちらの店でも15人の従業員が働いているとして、それぞれ次の条件で検討します。

  • A店では15人の従業員が20時間勤務して、売上高が200万円、粗利益高が120万円
  • B店では15人の従業員が50時間勤務して、売上高が300万円、粗利益高が200万円

単純に売上高と粗利益高のみを見れば、B店の方に優位性があるように思えるかもしれません。しかし、上記の計算式に両店の条件を当てはめて人時生産性を計算してみると、
A店は「120万円÷300時間=4,000円」、他方のB店は「200万円÷750時間=約2,700円」となります。
このことから、A店の方がB店よりも人時生産性が高いので、より効率的で競争力の高い勤務体制であることが推定されます。人時生産性の高低は人件費を始めとする費用の増減でも察することができ、目先の粗利益等の変動に右往左往しないことが重要です。

人時生産性の向上の仕方

上記のとおり、人時生産性の計算式は「粗利益高÷総労働時間」ですので、人時生産性を向上させるためには、「粗利益高を増加させること」と「総労働時間を減少させこと」が大きな方針になります。どちらも同時に改善できればそれが最も良いですが、一般的にこの2つの目標を同時に達成することは容易でないので、まずはどちらかに絞った方が無難でしょう。その上で、さらにその目標をいくつかの要素や段階に分解します。その実際の工程は業種により大きく異なりますが、例えば、粗利益高を「売上」や「費用」といった次元に分解し、さらにその「売上」を店舗数や店舗規模等の要素に区分していく、といったことができます。こうして分解していった諸要素のうち、どこから手を付けていくかを選択していきましょう。下記では、一般的によく打たれる2つの効果的な施策を紹介します。

人員割り振りと勤務工程の改善

こちらは粗利益高の増加にも労働時間の減少にも寄与する対策です。まずは従業員の勤務姿勢を見直し、誰の生産性が高く誰が低いのか、誰は何が得意なのか、誰がどのような特性を持っていて潜在的には何が可能なのかなどを洗い出し、適材適所の配置を推進していきます。さらに、従業員の勤務体制は適切か、業務のやり方は正確なのか、その手順は本当に必要なのか、連携にロスやムダはないのかなどの点もチェックしましょう。

人件費の削減

こちらは粗利益高の増加に貢献する対策です。また、波及的に勤務人数や勤務時間を抑えることになり、総労働時間の減少にもつながります。ただし、人件費を削減するといっても、単純に給料を下げるのでは根本的解決にはなりません。ここでできることの例としては、AIやITシステムの導入による効率化や、人員整理による企業全体の人件費当たりの平均生産性上昇、評価制度の曖昧さ等が理由で過剰に支払っている給与がないかの調査といった方法による対応です。これらは上記の対策とも関連性が高いので、相乗効果が狙えるでしょう。

注意点

人時生産性の改善を進めるに当たり、根拠となる数値がそもそも正確でなければ、様々な処置をしても改善が見られず、それどころか根本的に間違った方向に進んでいたといったことすらありえます。まずは粗利益高が適切に算出されているか、総労働時間は詳細にカウントされているかといったことから確認しましょう。この部分が整っていないならば、人時生産性を向上させようとするよりも前に、自企業に合った勤怠管理システムの導入などから手を付けていく方が良いでしょう。

関連記事:

まとめ

人時生産性は長らく軽視されてきた指標ですが、競争がグローバル化した今、生産性の低さは命取りとなりえます。今まで通りの体制が今後も通じるはずだという思い込みは捨て、余裕のあるうちから次の手について考え始めておくことが重要です。

クラウド型勤怠管理システム「AKASHI」
勤怠管理システムを導入することで、効率的かつ確実に労働時間を管理することが可能となります。ソニービズネットワークス株式会社が提供するクラウド型勤怠管理システム「AKASHI」は、36協定設定、年休管理簿や労働時間の把握など、あらゆる法改正や複雑な就業ルールに対応する機能をフレキシブルに対応します。15年以上のノウハウを活かした充実のサポート体制で導入後も安心です。
今ならAKASHIのサービスを30日間無料でお試しいただける無料トライアルを実施していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

「AKASHI」の資料・事例集を
ダウンロード >
tag

勤怠管理システム
「AKASHI」

カンタン登録ですぐにお試し可能です

30日間無料 全機能を体験できます 無料トライアル 今すぐ試してみる 30日間無料 全機能を体験できます 無料トライアル 今すぐ試してみる

活用方法や事例をご紹介

資料・事例集をダウンロード

毎日開催中。まずは聞いてみる

個別オンラインデモ