「くるみん認定」とは、女性の仕事と育児の両立をサポートの一定基準を満たした企業に対し、厚生労働大臣が「子育てサポート企業」として認める制度です。2022年4月には新たな認定の枠組みが創設され、現在では3つのくるみんマークがあります。くるみん制度には、育児の支援が手厚い企業であることをアピールできる以外にも様々なメリットがあるので、くるみん認定の取得をしてみませんか。今回はくるみん制度の概要、くるみんマークの種類、認定の基準、くるみん認定を受けるメリットを詳しく解説します。
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くるみん認定とは
くるみん認定とは子育てサポート企業に対して厚生労働大臣から受けられるお墨付きです。仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組んでいる企業を応援する制度として、くるみん認定は誕生しました。次世代育成支援対策推進法に基づいて実施されています。なお、くるみんという愛称には、赤ちゃんが大事に包まれる「おくるみ」と「会社ぐるみ」で仕事と子育ての両立支援に取り組もうという意味が込められています。
くるみんマークには種類がある
くるみん認定を受けると、くるみんマークの利用が可能です。くるみんマークにはいくつかの種類があるので、それぞれの違いを見ていきましょう。
- くるみんマーク
- トライくるみんマーク
- プラチナくるみんマーク
- プラスマーク
子育て支援など一定の基準を満たした企業に対して与えられる証です。マーク上部の年は最新の認定年、左右の星の数は認定を受けた回数が表記されます。
2022年4月1日、くるみんとプラチナくるみんの認定基準が引き上げられ、新たにトライくるみん認定が創設されました。なお、トライくるみんの認定基準は、改正される前のくるみん認定と同様です。指定された基準を満たすとトライくるみん認定のマークを表示できます。
プラチナくるみんは、より高い水準の取り組みを行った企業を対象にしています。高い基準の要件を満たすと、プラチナくるみん認定のマークを使用できます。
くるみんなどの認定を受けた企業のうち、不妊治療と仕事との両立に取り組む企業が一定の基準を満たすとプラス認定を受けられます。なお、プラス認定のマークには、くるみんプラス・プラチナくるみんプラス・トライくるみんプラスの3種類が存在します。
くるみん認定が誕生した背景
くるみん認定制度が設立された背景には、日本の深刻な少子化問題が挙げられます。日本の人口は2020年で1億2,571万人と減少しており、出生数も低い水準が続いています。背景としては婚姻数の減少だけでなく、子どもを産まない選択をする夫婦の増加も軽視できません。共働きが一般化している日本社会において、こうした少子化問題を解決するためには企業の取り組みが重要です。仕事と育児の両立がしやすい職場環境を増やすために、くるみん認定制度が誕生しました。
くるみん認定の基準をチェックしよう
くるみん認定の基準について
くるみん認定を受けるには、行動計画策定し目標を達成する必要があります。いくつかの基準のポイントは以下の通りです。なお、詳しいくるみん認定の基準については、厚生労働省のWebサイトも確認してください。
- 以下の(1)または(2)のいずれかを満たしていること。
- 男性の従業員のうち育児休業などを取得した方の割合が10%以上であること。
- 男性の従業員のうち、育児休業などを取得した方および企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した方の割合が合わせて20%以上であり、育児休業などを取得した方が1人以上いること。
- 計画期間に女性の従業員の育児休業などの取得率が75%以上であること。
- フルタイムの従業員などの法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること。
- 月平均の時間外労働が60時間以上の従業員がいないこと。
そのほかのくるみん認定の基準のポイント
くるみん認定の基準をベースとして、異なる主なポイントについてそれぞれ解説します。なお、くるみん認定と同様に詳しい基準については、厚生労働省のWebサイトを確認してください。
- トライくるみん
- プラチナくるみん認定
- プラス認定
トライくるみんの認定基準はくるみんと似ています。異なるポイントは以下の通りです。
1. 次の(1)または(2)のいずれかを満たしていること。
男性の従業員で育児休業などを取得した方の割合が7%以上であること。
男性の従業員で育児休業などを取得した方や育児目的の休暇制度を利用した方の割合が合計で15%以上、育児休業などを取得した方が1人以上いること。
プラチナくるみん認定は、くるみん認定よりも基準が厳しく設定されています。
1. 次の(1)または(2)のいずれかを満たしていること。
男性の従業員で育児休業などを取得した方の割合が 30% 以上であること。(2)男性の従業員で育児休業などを取得した方や育児目的の休暇制度を利用した方の割合が合計で50%以上、育児休業を取得した方が1人以上いること。
2. 次の(1)または(2)のいずれかを満たしていること。
(1)出産した女性の従業員のうち、子供の1歳の誕生日まで継続して在職している方の割合が90%以上であること。
(2)出産した女性の従業員や退職した出産予定であったが女性の従業員の合計数のうち、子供の1歳の誕生日まで継続して在職している方の割合が70%以上であること。
3. 育児休業や育児を行う女性の従業員が就業を継続し、能力向上やキャリア形成の支援のための取り組みの計画を策定し実施していること
プラス認定では不妊治療と仕事との両立に関する基準が追加で設定されています。
1. 次の(1)および(2)の制度を設けていること。
(1)不妊治療のための休暇制度
(2)不妊治療に利用できる制度(時間単位の年次有給休暇・所定外労働の制限・時差出勤・テレワークなど)
2. 不妊治療と仕事の両立に関する方針を策定し、措置内容を周知していること。
不妊治療と仕事の両立に関する研修や従業員の理解を促進する取り組みを実施していること。
3. 不妊治療を受ける従業員からの相談に応じる担当者を選任し、社内に周知していること。
くるみん認定には多くのメリットがある
企業イメージがアップする
くるみん認定を受ければ、子育てサポートを行っている企業であると認知され、イメージがアップします。子育てに理解のある、仕事と子育ての両立できるといった企業イメージの向上が期待できます。さらに、くるみん認定を受けると、企業の商品・広告・求人広告などにくるみんマークが提示可能です。子育てサポート企業であることを、さまざまな場面で効果的にアピールできます。例えば、取引先に対しても、優れた取り組みを実施している企業であると自然に伝えられます。
人材の定着率が向上する
くるみん認定を受けた企業であれば、多様な人材に働きやすい環境を提供できます。子育てに関するサポートが受けられる職場は、多くの従業員にとって安心できる環境です。特に、子育て中の方や育児と仕事を両立したいと考えている方にとっては大きな魅力です。出産や子育てで転職を考える従業員を減らせるので、突然の退職に頭を悩ませるリスクも軽減できます。さらに、求職者にとっても仕事と子育ての両立は大きなポイントなため、人材の確保も有利に進められます。
低利融資が受けられる
日本政策金融公庫から低利融資が受けられます。働き方改革推進支援資金を利用する場合、基準利率からの引き下げを受けることができます。働き方改革推進支援資金は、非正規雇用の方の待遇改善や、長時間労働の改善を実現するために設立されました。利率については、認定の種類・使途・返済期間・担保の有無などで異なります。加えて、金融情勢でも変動するため、あらかじめ確認するようにしましょう。
まとめ
多様な働き方が推進され、企業のあり方が見直されようとしています。昨今では新型コロナウイルスの影響もあり、テレワークなどの場所と時間に束縛されない働き方も一般的になりました。ほかにも、育児休暇や有給休暇の取得の推進など、従業員にとって働きやすい環境が広がりつつあります。仕事と家庭の両立を目指し、職場環境を改善しようと取り組む企業が増えています。くるみん認定はそうした企業の取り組みを応援する制度です。認定基準は細かく設定されていますが、条件を満たす企業はくるみんマークの取得を目指しましょう。