2020年4月から中小企業にも時間外労働の上限規制が適用されます!

2020年1月15日

イメージ

2020年4月より、中小企業に対する時間外労働の上限規制が適用されます。法律で定められた法定労働時間の1日8時間・週40時間の範囲を超える場合には、36協定の締結が必要です。さらに、36協定を結んでいても時間外労働の上限は月45時間、年360時間までとなっており、これを超えた場合には罰則が設けられています。今回は、時間外労働の上限の詳細や、特別条項の概要、違反した際の罰則、4月1日をまたぐ期間の36協定を結んでいる場合の対応について解説していきます。

労務管理に便利なクラウド型勤怠管理システムAKASHIの資料はこちら>>

中小企業に対しても時間外労働の上限規制が適用

今回の時間外労働の上限規制は、働き方改革の一環として、長時間労働を是正して労働者それぞれがワークライフバランスを保って働けるようにすることを目的とするものです。大企業に対しては2019年4月からすでに適用されていましたが、中小企業に関しては、その影響の大きさから適用を1年遅らせる猶予措置が取られていました。この猶予期間が終わる2020年4月からは、中小企業に対しても適用が開始されるため、各企業はそれに合わせた対応を求められます。

旧制度における時間外労働の規制

この上限規制が施行される前から、時間外労働に関する規制はありました。そもそも、原則として法定時間外労働は違法なものとなります。法定労働時間とは1日8時間・1週40時間を上限とする労働時間の規制のことで、本来、この範囲を超えて労働者を働かせることは違法となります。
しかし、労働者と使用者の間で労使協定を結び、労働基準監督署長へ届け出ることで、合法的に労働者に法定時間外労働や法定休日の勤務をさせることが可能となります。この労使協定は、労働基準法第36条の規定を根拠としていることから、一般に36(サブロク)協定と呼ばれます。36協定によって認められる時間外労働は、厚生労働大臣の告示によって上限の基準となる時間が月45時間・年360時間と定められていました。しかし、この上限を超えることによる罰則はなく、実質的には36協定を結びさえすれば労働時間を無制限に延長することができました。というのは、36協定には「特別条項」という制度があるからです。繁忙期など、臨時的に時間外労働の限度を超える必要性が見込まれる場合には、特別条項付きの36協定を締結することで、働者にどこまでも時間外労働をさせることが可能となっていました。

新たな時間外労働の上限規制

今回の法改正により、月45時間・年360時間という時間外労働の上限が、大臣告示による基準から法律による原則へと格上げされました。特別の事情がなければこれを超えることは違法となり、罰則が科されます。さらに、今回の改正内容は36協定の特別条項にメスを入れたものとなっています。特別の事情があって、特別条項付きの36協定に労働者と使用者が合意する場合でも、以下のルールを全て守らなければならなくなりました。

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 1年を通して常に時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 1年を通して常に時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度

なお、特別条項の有無にかかわらず、時間外労働と休日労働の合計については、1年を通して常に月100時間未満かつ2~6か月平均が全て80時間以内でなくてはなりません。また、使用者はたとえ36協定の範囲内で労働者を働かせる場合であっても、労働者に対する安全配慮義務を負うことを理解しなければなりません。

関連記事:

上限規制の例外

先述の通り、この規制は中小企業への適用は1年間猶予されていましたが、2020年4月からは中小企業にも適用されます。ただし、以下の事業については2024年3月31日まで上限規制が猶予され、業種によってはその後も特別な扱いがされる見込みです。

  • 建設業
  • 自動車を運転する業務
  • 医師

上記の業種に加え、新技術・新商品等の研究開発業務には上限規制の適用はされません。ただし、今回の法改正によって労働安全衛生法も合わせて改正されており、新技術・新商品等の研究開発業務については、医師の面接指導をしなければならない労働時間が設定されました。具体的には、1週間当たり40時間を超えて労働した時間が月100時間を超えた労働者に対して、使用者は医師の面接指導を提供しなければなりません。なお、医師の面接指導を提供しない場合は、使用者は罰則を受けることになります。

上限規制による罰則

使用者への罰則は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となっています。今回の法改正はこのように罰則を設けて、上限規制の実効性を高めようとしています。

上限規制施行前と施行後にまたがる期間の36協定を締結している場合

大企業では2019年3月31日を、中小企業では2020年3月31日をまたぐ形で36協定を締結している場合は、上限規制施行前と施行後のどちらも含む期間の36協定を締結していることとなります。36協定は初めの日から1年間有効となりますので、上限規制施行日を過ぎても、協定の有効期間内は新たな上限規制が適用されません。
たとえば中小企業が2020年3月30日に36協定を定めた場合、2021年3月29日まではこの36協定が新たな上限規制の影響を受けることはありません。しかし2020年3月30日からは、新たな上限規制に則って36協定を締結しなければならず、それを守らなければ罰則を受けることになります。
したがって、中小企業が2020年4月1日の段階で新基準を満たした36協定を定めていない場合であっても、現行の36協定が締結されて発効してから1年過ぎるまでは新たに36協定を結び直す必要はありません。

関連記事:

まとめ

大企業には2019年4月1日からすでに適用されていた時間外労働の上限規制が、2020年4月1日からは一部の例外を除きついに全ての中小企業に適用されるようになります。今回の法改正は、働き方改革をより現実的なものとするために、上限規制を守らない使用者への刑罰規定が加えられています。使用者と労働者の双方が法律を理解した上で、お互いよく話し合って労働時間のルールづくりを社内で進めていくことが望ましいでしょう。

「AKASHI」の資料・事例集を
ダウンロード >
tag

勤怠管理システム
「AKASHI」

カンタン登録ですぐにお試し可能です

30日間無料 全機能を体験できます 無料トライアル 今すぐ試してみる 30日間無料 全機能を体験できます 無料トライアル 今すぐ試してみる

活用方法や事例をご紹介

資料・事例集をダウンロード

毎日開催中。まずは聞いてみる

個別オンラインデモ