役員に有給休暇はあるのか?役員の働き方を解説します

2021年11月10日

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企業の役員は、一般の従業員とは全く異なる立場にいます。会社法で規定されている「役員」は、企業と雇用関係にある訳ではなく、委任契約を締結しているからです。この記事では、役員の働き方と役員に対する勤怠管理の必要性、また有給休暇の取り扱いについて詳しく解説します。

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役員としての働き方

役員とは

役員とは、企業の業務執行や監督を行う幹部職員を意味します。ここでは、会社法で役員として定義されている、「取締役」「会計参与」「監査役」の役割についてそれぞれ解説します。

  • 取締役
  • 取締役とは、企業の業務執行に関する意思決定を行う役員です。会社法第348条では、「取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社の業務を執行する」と定められています。一般に、株式会社には最低1名以上の取締役の設置が必要であり、取締役会を設置する場合は最低3名の取締役を設置しなくてはなりません。

  • 会計参与
  • 会計参与とは、取締役と共同して貸借対照表・損益計算書・事業報告書などの計算書類を作成する役目を担う役員です。会計参与は会計の専門家であり、役割を担えるのは税理士・税理士法人・公認会計士・監査法人のいずれかに限られます。

  • 監査役
  • 監査役とは、取締役や会計参与の職務執行を監査する役員です。法律や規則に反することのない、健全で適正な企業経営を守るのが、監査役の主な役割です。例えば、取締役が法令や定款に対する違反行為を行っていないか、会計書類が各種規則や規定に基づいて正しく処理されているかをチェックします。

役員の働き方

取締役は、一般の従業員のように雇用契約ではなく、委任契約を締結します。委任契約については、民法第643条において、「法律行為を相手方に委託し、相手がこれを承諾することで成立する」と定められています。取締役であれば、企業から経営に関連する専門業務を依頼されて働いている立場になるでしょう。雇用契約を締結している場合は、使用者の指揮や命令に従って仕事を遂行しますが、委任契約で自らの判断のもと、独立して業務を行います。委任契約に基づいて、企業の経営の維持や向上に力を尽くすことが、役員の役割です。

役員の勤怠管理の必要性

登記簿上で登記されている役員は経営者側であるため、一般の従業員のように労働基準法が適用されません。また、就業規則も適用されないため、勤怠管理は不要とされます。そのため、労働基準法で定められている労働時間や残業時間の上限はなく、労働時間中の休憩時間付与も必要ありません。勤務時間も9時~18時などと定める必要はなく、必要に応じて24時間体制で業務に応じる必要があります。委任契約によって引き受けた企業の任務を自己の裁量で遂行することが求められるのです。

役員の有給休暇の取り扱い

役員に有給休暇は付与されない

役員には労働基準法や就業規則が適用されないため、労働基準法上の制度である有給休暇は付与されません。有給休暇については、労働基準法第39条において、「業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければならない。」と定められています。委任契約で働く役員は、ここでいう「労働者」には該当しないため、区別して考えましょう。

使用人兼務役員の場合

使用人兼務役員とは、部長や課長のように企業の使用人としての地位があり、常時使用人としての職務に従事する方を指します。例えば、取締役営業部長や取締役工場長などといった役職の方は、使用人兼務役員に該当する可能性があります。
使用人兼務役員の有給休暇については、労働基準法では規定されていません。ただし、労働基準局長による通達461号によると、「法人の重役で、業務執行権または代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける場合は、 その限りにおいて労働基準法第9条に規定する労働者である。」としています。つまり、使用人兼務役員であっても、勤務実態として労働者の要素が強い場合は労働者とみなし、有給休暇を付与する必要があると考えられます。

役員を退任して従業員になった場合

企業の事情などにより、役員を退任して従業員に戻るケースも考えられます。この場合は、従業員の身分になったときから労働基準法と就業規則が適用されるので、有給休暇も付与されます。有給休暇の付与日数を考える際に役員就任勤務期間を通算するかどうかは判断が分かれる部分ですが、労働基準法の解釈においては、付与日数が多い分には問題はありません。トラブルを回避するためにも、あらかじめ規定を作っておくようにしましょう。

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役員のルールは役員規程で定められる

役員規程の必要性

役員の責任や任期、報酬などを明確にするため役員規程を作成できます。ただし、役員規程に法律上の作成義務はありません。また、従業員用の就業規則のように労働基準監督署へ届出を行う必要もありません。企業規模の拡大によって、オーナーと経営者が一致しなくなった場合、使用人兼務役員が存在する場合、社外から取締役を招いている場合などは、役員規程を作成している企業が多いようです。

役員規程で必要な項目

役員規程で一般的に必要とされる項目を以下にまとめてみました。一般社員と役員で何が異なるのかを明確にできるように作成しましょう。

  • 役員の定義
  • 役員の就任と選任
  • 役員の解任と退任
  • 役員の任期
  • 役員退任後の地位と身分
  • 役員の人事評価
  • 役員の職務
  • 禁止事項
  • 勤務体系
  • 賃金の取り扱い

まとめ

「なぜこんなに役員報酬が高いのか」「なぜ役員は出勤する日としない日があるのか」など、役員と一般従業員の違いについて、疑問に思う人も多いのではないでしょうか。これらの違いは、役員として委任契約に基づく働き方に由来していることを覚えておきましょう。ほかにも、使用人兼務役員など役職名に「役員」と付いていても、実質的に従業員と同じような立場の方もいるので、混同しないように整理することが大切です。

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