有給休暇の理由は“私用”でOK! 有給を申請するルールについて紹介

2020年11月9日

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有給休暇の取得義務化が始まっていますが、取得のルールは規定されていないため、企業ごとに申請方法や何日前までに申請するかといったルールを就業規則に定める必要があります。ルールを定める際には、労働者は有給休暇取得の際に理由を伝える義務がないことや企業は有給休暇取得自体を拒否できないことなどに留意しましょう。今回は、有給休暇の取得理由を伝える義務や一般的な取得理由、時季変更権の意味、有給休暇の申請方法について解説していきます。

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有休休暇の申請ルール

有給休暇とは、一言でいえば「給料をもらって会社を休める」制度で、一般には「有給」、「有休」、「年休」などと呼ばれています。労働基準法第39条に定められており、労働者の心身の疲労を回復して労働力を維持し、ゆとりある生活を実現することを目的に制定されました。
労働基準法では、企業が労働者に付与する有給休暇について、「業種、業態にかかわらず、また正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たしたすべての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければならない」と定めています。有給休暇は、すべての労働者に与えられた権利なのです。

有休休暇の日数

企業が労働者に付与しなければならない有給休暇の日数は、労働基準法によって厳格に定められています。通常の労働者の場合、雇用された日から継続して半年以上勤務していて全労働日の8割以上出勤していれば付与される日数は10日間です。以降、勤務年数が増えるごとに日数も増えていきます。週所定労働日が4日以下かつ週30時間未満の場合も同様に、半年以上の継続勤務かつ全労働日の8割以上の出勤で1~7日が付与されます。また働き方改革の一環として、2019年4月より、10日以上の有給休暇を付与されるすべての労働者に、年5日の有給休暇を取得させることが企業の義務となりました。

有給休暇の取得理由は私用でOK

有給休暇取得の理由を会社に伝える義務はありません。なぜなら、すでにご説明したように、休暇を取得するのは労働者に与えられた正当な権利だからです。もしも理由を聞かれたら、「私用のため」と答えるだけで問題ありません。労働基準法では、有給休暇を取得したことやその理由によって賃金の減額や欠勤扱いにする、人事評価を下げるなどの労働者に不利益となる扱いをしてはならないと定められています。
しかし、中には理由を聞いてくる上司もいることでしょう。ここでは、一般的に認められやすい有給休暇取得の理由をご紹介します。

  • 体調不良、通院のため
  • 体調不良や通院は誰にでもある仕方のないことです。すんなり認められることが多いでしょう。

  • 冠婚葬祭のため
  • 冠婚葬祭は、会社を休んででも出席するべきことといえます。

  • 親・子どもが関係する用事のため
  • 「遠方から親が来ている」、「子どもの病気」、「子どもの学校行事」など、自分のためではない用事は理解を得やすいでしょう。

  • 役所などでの行政手続きのため
  • 役所などは平日や土曜の午前中しか業務を行っていないことが多く、手続きに期限のあるものもあります。

  • 住んでいる地域での活動のため
  • マンションの管理組合や、町内会などでの草むしりや清掃などは平日に行われることも多く、生活に密接した集まりであるため欠席しづらいという事情があります。

有給休暇取得に理由は必要ありませんが、どうしても聞かれる場合には上記のような理由が一般的かつ有効です。ただし、当然ですが嘘の理由を伝えることは避けましょう。会社に対して虚偽の申告を行ったということで処分の対象になる可能性もあります。

有休休暇の申請方法

通常、有給休暇は当日いきなり取得できるものではなく、事前に申請して取得する、というルールになっている企業がほとんどです。就業規則をよく確認して申請しましょう。
有給休暇は「労働者が希望する時季に与えること」とされているため、基本的には希望する日に取得することができます。何日前までに、どんな形式で申請するかということは企業が自由に決めて良いことになっていますが、従業員が有給休暇を取りやすい状況にすることが条件です。極端に手間のかかる申請方法や、極端に早い申請期限を設定するなどという不合理な規定はできません。

有休休暇の申請期限

有給休暇申請についてのルール作りは各企業の裁量に任されています。そのため、申請期限も企業によって異なりますが、一般的には有給休暇を取得したい日の数日前までに申請することとされている場合が大半です。
これには後述する労働基準法に定められた「時季変更権」が関係しています。例えば当日いきなり有給休暇を取得したいといわれた場合、企業側には時季変更権を行使するかどうか判断する時間がなく、業務に著しい支障をきたしてしまう場合があります。そのため、有給休暇の事前申請を規定することが認められているのです。

有休休暇の取得期限

一定の条件を満たした労働者に付与される有給休暇ですが、これには請求権の時効があります。付与された有給休暇の時効は2年です。つまり、企業は1年目に取得できなかった有給休暇を翌年に繰り越して付与する必要があります。

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有休休暇の時季変更権とは

労働基準法は、企業側の権利として「時季変更権」を認めています。これは、申請された日に有給休暇を付与することで事業の正常な運営が妨げられると客観的に判断できる場合に、有給休暇取得の時季を変更することができる権利です。例えば、同じ日に多数の従業員が有給休暇取得を希望していて業務に支障が出る場合や、一時的に大量の注文があり人員が減ると納期に間に合わなくなる場合などが該当します。企業の規模や従業員の出勤状況、有給休暇を希望する従業員の仕事内容などによりさまざまなケースが考えられますが、ただ「忙しい時期だから」、「慢性的な人員不足だから」といった理由では簡単には認められません。

有給休暇の申請方法

口頭による申請

有給休暇の取得については、法律上は口頭で伝えるだけでも良いとされています。しかし、口頭では「言った言わない」、「聞いていない」などのトラブルが発生するリスクがあるため、就業規則に書式などを定めている企業が大半です。

申請書による申請

現在は、口頭でのトラブル防止や管理のしやすさのため、紙による申請書を採用している企業が一般的です。フォーマットは企業によって異なりますが、基本的には申請日や取得希望日、理由の記入欄があります。理由の欄は「私用のため」と記入すれば良いでしょう。企業側も理由欄を任意とするなどの配慮が必要です。

メールやチャットによる申請

デジタル化や環境対策・保存スペースなどの問題もあり、メールやチャットによる申請を認める企業も増えています。いずれの場合も、紙の申請書に書く内容と同じ内容が書かれていれば良いでしょう。ただし、メールやチャットの場合、多くのメッセージのなかに埋もれて見逃されてしまうことがあるため注意が必要です。また、IT技術の発展により、最近ではインターネットクラウドを利用した勤怠管理なども行われています。

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まとめ

本記事では、有給休暇の企業と労働者が守るべきルールについて解説しました。企業の規模や業務内容によって、それぞれに合った運用方法があります。企業は法律を守り有給休暇を取得しやすい制度を整え労働者はルールを守ってそれを利用することで、良好な労使関係を保つことができるでしょう。

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