転職前に有給休暇をまとめて取得する社員への対応とは

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転職前に有給休暇をまとめて取得する際、双方の企業で二重就労が許可されていれば有給休暇の期間中に転職先で働くことができます。ただ、その場合に気をつけなければならないのが、雇用保険の二重加入ができないという点です。就業規則違反によるトラブルが生じる可能性もあるため、社員の転職時にしっかりと伝えておきましょう。今回は、有給休暇消化中の二重就労の取り扱いや社会保険の適用条件、就業規則の注意点、国民健康保険の加入について解説します。

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有給休暇消化中の二重就労の取り扱い

有給消化中に転職先で働くことは二重就労にあたる

二重就労とは本業に加えてほかの業務にも従事することを指します。企業を退職する際、残っている有給休暇をすべて消化してから退職するケースがありますが、有給消化している間は企業に所属していることになります。そのため、有給消化中に転職先で働くことは二重就労に該当するので注意が必要です。
しかし、兼業自体は法律で禁止されているものではないため、企業さえ許可していれば問題ありません。最近では、労働者の働き方の多様性が尊重されていることや、インターネット環境があれば行える仕事が増加したことにより、以前よりも気軽に兼業ができるようになりました。このような変化に合わせ、二重就労を許可する企業も増加傾向にあります。

在籍企業と転職先の就業規則を確認する

有給消化中に転職先で働き始めることを禁止する法律はありません。しかし、企業によっては、就労規則で二重就労を禁止している場合があるため、トラブルを避けるためには注意が必要です。ただし、就労規則の二重就労禁止の規定に違反したとしても、二重就労をすることで企業に大きな不利益を与えない限りは、懲戒処分などに処することは不適当であるとされています。一般的に、有給消化期間に入る前に引継ぎなどを済ませ、最終出勤日を設定している場合が多いため、有給消化中に転職先で働いても、大きな迷惑をかけるケースは少ないと考えられます。また、仮になんらかの処分があったとしても、退職が決まっている企業でのことなので、それほどダメージは無いと考えることもできるでしょう。
とはいっても、退職後すぐに企業と縁が切れるわけではなく、給与の支払いや社会保険の切り替えなどでしばらくは関係が続くことを考えると、就業規則には従い、穏便に退職できるようにした方が良いかもしれません。

在籍企業と転職先に申請をする

有給消化中に転職先で働こうとする場合は、両方の企業にその旨を伝えましょう。兼業しているか、そうでないかで、社会保険の手続きに変更が生じるためです。また、退職する企業だけでなく、転職先に対しても、有給消化中に入社することと、正確な退職日を事前に伝えなくてはなりません。

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社会保険の適用条件

社会保険の資格喪失日は退職日の翌日

社会保険の資格を喪失する日は、企業を退職するという事実があった日の翌日です。例えば、5月20日が退職日の場合は、5月21日が資格喪失日です。保険料の徴収は資格喪失日を含む月の前月までなので、このケースでは資格喪失月は5月になり、保険料徴収は4月までのため、5月分の社会保険料は徴収されません。一方で5月31日に退職する場合は、6月1日が資格喪失日、6月が資格喪失月です。この場合、5月分の社会保険料は徴収されます。そのため、月末に退職した場合は、退職月の前月と退職月の2か月分の保険料を退職月の給与から控除されることになります。ただし、同じ月に別の企業に転職する場合は、その月の保険料は転職先の企業で支払うことになるため、最後の月の支払いについては退職した企業に返還してもらうことができます。

健康保険と厚生年金は二重加入できる

健康保険と厚生年金は「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上」の労働者は加入しなければなりません。そのため、退職する企業と転職先の企業でどちらも基準を満たす場合は、それぞれの企業での加入が必要になります。このように、有給消化中の転職は、健康保険と厚生年金については二重加入をしなければいけない可能性があります。二重加入した場合、保険料の支払いも二重になるため、よく検討しましょう。

雇用保険は二重加入できない

雇用保険は二重加入できません。複数の雇用関係がある場合、生計を維持するために必要な主たる収入を受ける企業のみ雇用保険に加入できます。有給消化中に転職先で働く場合は、退職日を待たずに雇用保険の資格喪失手続きが必要なため、必ず申告しましょう。

国民健康保険の加入

国民健康保険の加入が必要な場合

転職するまでにブランクがある方は国民健康保険に加入しましょう。国民健康保険への加入手続きは退職した日の翌日から14日以内に行う必要があります。手続きには前職の企業を退職したという事実がわかるものが必要で、健康保険の資格喪失連絡票などを提出します。また、退職後に自営業や、農業・漁業などを営む場合、パートやアルバイトで職場の健康保険などに加入していない場合も国民健康保険への加入が必要です。

これまでの健康保険を継続できる場合

これまでの健康保険の任意継続を選択することもできます。任意継続は転職前の企業で加入していた健康保険を最長で2年間継続できる制度です。加入には2つ条件があり、一つ目は退職日以前に2カ月以上の継続した被保険者期間があること、二つ目は退職日の翌日から20日以内に手続きをすることです。
注意点としては、任意継続被保険者の保険料には、事業主負担がなくなりますので、一般的には高くなります。また、2年の間に、就職して健康保険などの被保険者となったときは任意継続の資格を喪失しますが、それまでは国民健康保険への切り替えや家族の扶養に入ることはできません。

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まとめ

退職前に、有給休暇をまとめて取得するケースはよく見られます。すでに次の仕事が決まっている場合は、退職日を待たずに新しい職場で働きたいと思うこともあるでしょう。しかし、有給消化中とはいえ、企業に在籍していることには変わりません。そのため、転職先で働くことは二重就労に該当するという意識を持つ必要があります。二重就労が許可されるケースもありますが、その場合は社会保険の切り替えに注意しましょう。労働条件によっては社会保険の二重加入になり、保険料の支払いの負担が重くなることも考えられます。退職する企業がこのような忠告までしてくれる可能性は低いので、自身できちんと認識することが必要でしょう。

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