年次有給休暇の計画的付与制度を活用しましょう!

2016年12月8日

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働き方改革を進めるにあたっては、「休み方改革」にも積極的に取り組んでいく必要があります。休み方改革を実現する方策の一つとして、労使協定により計画的に休暇取得日を割り振ることのできる「年次有給休暇の計画的付与制度」に注目が集まっています。

今回は、年次有給休暇の計画的付与の意義や導入方法について解説します。

年次有給休暇の計画的付与制度とは

年次有給休暇の計画的付与制度とは、年次有給休暇のうち5日を超える分について、労使協定を結ぶことで計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度のことをいいます。

年次有給休暇は、雇入れの日から6ヶ月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して最低10日を付与しなければならないとされていますが、日本では職場への気兼ねなどから有給休暇取得率が低いという状況がありました。このような状況を踏まえ、1987年の労働基準法改正の際に、年次有給休暇の取得を促進する手段として年次有給休暇の計画的付与制度が設けられました。

年次有給休暇のうち、5日は個人が自由に取得できる日数として残しておく必要があることから、計画的付与の対象となるのは年次有給休暇のうち5日を超えた部分とされます。したがって、年次有給休暇の付与日数が10日の従業員は5日、20日の従業員は15日が計画的付与の対象となります。

なお、前年度取得されずに次年度に繰り越された年次有給休暇がある場合には、繰り越された日数を含めて5日を超える部分が計画的付与の対象となります。

年次有給休暇の計画的付与の効果

年次有給休暇の計画的付与制度を導入することで、労働者がためらいを感じずに有給休暇を取得できるようになるというメリットがあります。

厚生労働省の就労条件総合調査によると、2014年の1年間に企業が付与した年次有給休暇日数は労働者1人平均18.4日でしたが、そのうち労働者が取得した日数は8.8日と、有給休暇の取得率は47.6%にとどまっています。

一方、年次有給休暇の計画的付与制度を導入している企業は、導入していない企業よりも年次有給休暇の平均取得率が5.3%高くなっているという結果が出ており、計画的付与制度の導入は年次有給休暇の取得促進に有効であることがうかがえます。

有給休暇をしっかりと取得できる企業として社会から認知されることは、優秀な人材の確保や労働者の定着率の向上につながります。各企業においては、計画的付与等を活用しながら、有給休暇の取得を促進していくことが大切だといえます。

年次有給休暇の計画的付与制度の種類

年次有給休暇の計画的付与制度は、その方法によって、(1)企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方法、(2)班・グループ別の交替制付与方法、(3)年次有給休暇付与計画表による個人別付与方法、の3つに区分されます。計画的付与の実施にあたっては、これら3つの方法の中から、各企業の実態に応じた方法を選択します。

(1)企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方式

企業や事業場の全従業員に対して、同一の日に年次有給休暇を与える方法です。製造部門など、事業場全体の操業を停止して全従業員を休ませることのできる事業場で活用されることが多くなっています。
また、業界の閑散期やゴールデンウィーク・年末年始の連休前後など、顧客に影響が少ない期間に全社として連続休暇を長めに取る場合には、一斉付与方式が適しています。

(2)班・グループ別の交替制付与方式

流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業の場合は、班やグループ別に交替で年次有給休暇を付与する方式が考えられます。例えば、各部署に属する社員をA、Bの2グループに分けて、各グループの区分に応じて決められた日に休暇を取得します。

(3)年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式

個人別に年次有給休暇を付与する方式です。一斉付与と同様に、ゴールデンウィークや年末年始に休暇を取得するほか、誕生日や結婚記念日など、労働者の個人的な記念日に休暇を充てられるというように、柔軟性を持たせて休暇を取得することが可能です。

年次有給休暇の計画的付与制度の導入に必要な手続き

年次有給休暇の計画的付与制度を導入するためには、事前に就業規則に規定し、労使協定を締結することが必要です。

(1)就業規則の規定

年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合には、就業規則にその旨を定めておく必要があります。

(2)労使協定の締結

実際に年次有給休暇の計画的付与を行う場合には、労使間で書面による協定を締結する必要があります。労使協定で定める項目は以下のとおりです。

① 計画的付与の対象者(あるいは対象から除く者)
計画的付与の時季に育児休業などの休業に入ることが分かっている人や、定年などであらかじめ退職することが分かっている人については、計画的付与の対象から外しておきます。

② 対象となる年次有給休暇の日数
年次有給休暇のうち、5日を超える日数が計画的付与の対象となります。

③ 計画的付与の具体的方法

  • 事業場全体の休業による一斉付与の場合は、具体的な年次有給休暇の付与日を定めます。
  • 班別の交替制付与の場合は、班別の具体的な年次有給休暇の付与日を定めます。
  • 個人別付与方式の場合は、計画表を作成する時期やその手続きについて定めます。

④ 対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
事業場全体の休業による一斉付与方式をとる場合、5日を超える年次有給休暇を持たない労働者に対して、①特別休暇を設けて付与日数を増やす、もしくは②休業手当として平均賃金の60%を支払う、のいずれかの措置をとることが必要です。

⑤ 計画的付与日の変更
あらかじめ計画的付与日を変更することが予想される場合には、計画的付与日を変更する場合の手続きについて定めておきます。

年次有給休暇の取得が義務化される?

2015年4月、政府は「労働基準法等の一部を改正する法律案」を国会に提出しました。この法律案の中には年次有給休暇の取得促進についての規定も含まれており、「使用者は、年次有給休暇の日数が10日以上の労働者に対して、そのうちの5日について、毎年、時季を指定して与えなければならない」こととされていました。

結局、この法律案は国会で審議されず、成立していません。しかし、働き方改革が進められている現状において、年次有給休暇の取得促進に対する政府の姿勢は変わらないと考えられることから、将来的に年次有給休暇の取得が義務化される可能性は高いといえるでしょう。今のうちから、年次有給休暇の取得促進に積極的に取り組む必要があるといえます。

まとめ

年次有給休暇の取得を促進することは、労働者のモチベーションや労働生産性が向上するだけでなく、企業のイメージアップや優秀な人材の確保につながるなど、労働者にとっても企業にとっても大きなメリットをもたらします。

将来的に年次有給休暇の取得が義務化された時のためにも、今のうちから年次有給休暇の計画的付与制度を導入し、年次有給休暇の取得促進に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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