リファレンスチェックとは、採用候補者の過去の職務経験や人柄を、前職の上司や同僚など第三者から確認する手法です。これにより、履歴書や面接だけでは把握しきれない情報を得られ、採用のミスマッチを防ぐ効果があります。実施の際は、候補者の同意を得て、推薦者への質問内容を事前に整理し、適切な方法で情報収集を行うことが重要です。ただし、個人情報の取り扱いには十分な配慮が求められます。今回は、リファレンスチェックを行う効果やポイントについて解説します。
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リファレンスチェックとは
リファレンスチェックとは身元照会という意味の言葉で、候補者の職務経験や人柄などを調べるために企業が実施する調査のことです。一般的には前職の同僚や友人など候補者をよく知る第三者に対してヒアリングを実施します。リファレンスチェックを実施するタイミングは企業によって異なりますが、最終面接の前後に実施する企業が多いようです。
前職調査との違い
前職調査はバックグラウンドチェックとも呼ばれ、候補者の経歴詐称や問題行動などがないかを調べる目的で実施される調査です。基本的に調査会社へ依頼して前職調査は実施され、経歴や勤怠状況だけでなく、退職理由・過去の問題行動・犯罪歴などについて詳しく調べます。一方、リファレンスチェックは候補者と企業がマッチしているかを調べるために実施する調査です。専門の調査会社に依頼するケースは少なく、企業の担当者が人柄や勤務状況などを中心にヒアリングします。
リファレンスチェックの主な質問内容
リファレンスチェックの主な質問内容は以下の通りです。
- 実績
- 勤務期間・役職・職務内容の確認
- 遅刻や欠勤の頻度
- コミュニケーションの印象
- 人柄
- スキル
- トラブル発生時の対応方法
勤務状況・勤務態度・コミュニケーション・職務能力に関連する情報を、リファレンスチェックで調査するケースが一般的です。候補者の経歴書や面接だけでは不十分な情報が、リファレンスチェックによって補足されます。
リファレンスチェックを実施する効果
採用のミスマッチを防げる
リファレンスチェックの効果としては、採用のミスマッチの防止が挙げられます。リファレンスチェックを実施すれば、第三者の評価という客観的な視点を判断基準に加えることが可能です。企業側としては判断材料が増えるので、より候補者に合ったポジションや働き方を提案できます。候補者としても具体的な提案に対して企業を選べるので、双方の納得感が上昇して採用の成功率をアップできる手法です。
採用を効率的に進められる
採用を効率的に進められる点も、リファレンスチェックを実施するメリットです。1人の候補者を理解する過程は簡単ではなく、採用までに時間と手間がかかるケースは珍しくありません。そこで、リファレンスチェックを実施すれば、候補者の能力や人柄をより深く多角的に把握できます。そうすると、面接の回数を減らしたり、性格検査を省いたり、採用プロセスの削減も可能です。
入社後の人材マネジメントに役立てられる
リファレンスチェックの結果は、入社後の人材マネジメントに役立てられます。例えば、人材の適切な人事配置や目標設定などに、リファレンスチェックで得られた情報の活用が可能です。まず、人材の強みや経験をリファレンスチェックで理解できれば、能力を最大限に発揮できる部門へ配属できます。さらに、人材の適性や能力に合わせてゴールを設定できれば、早期戦力化や生産性の向上も実現できます。
リファレンスチェックを成功させるポイント
候補者からの同意を得る
リファレンスチェックは必ず候補者からの同意を得てから実施しましょう。個人情報保護法の関係があり、候補者からの同意を得なければ前職や現職の企業は、リファレンスチェックのヒアリングに答えられません。候補者にリファレンスチェックについて理解してもらえるように、実施目的や質問内容、一連の流れなどをわかりやすく伝える必要があります。なお、丁寧に説明してもリファレンスチェックを拒否される場合もあるので、候補者側の事情を配慮して柔軟に対応しましょう。
個人情報の取り扱いに注意する
リファレンスチェックでは個人情報の取り扱いに注意しましょう。そもそも、個人情報とは特定の個人を識別できる氏名・生年月日・住所などの情報であり、リファレンスチェックでやり取りする内容も例外ではありません。この個人情報を取り扱う場合には個人情報保護法に従う必要があり、不正な取り扱いや漏洩が発生した場合には法的なリスクが生じます。そのため、社内で個人情報を厳重に取り扱う体制を整えてから、リファレンスチェックを実施しましょう。
チェックする範囲を明確にする
リファレンスチェックでは調査する範囲を明確にしましょう。リファレンスチェックでは候補者のプライバシーへ考慮して、不必要な個人情報への侵入を避けなければなりません。そのため、職務経験・スキル・勤務態度・人間関係の構築能力など、チェック項目を明確に設定することが大切です。また、不公平な判断や差別につながる情報は収集しないようにしましょう。
まとめ
採用選考のプロセスとして、リファレンスチェックを採用する企業が増えてきました。リファレンスチェックは採用のミスマッチ防止や効率化など、さまざまな効果が期待できます。候補者の見極めにおける精度を高めたいとお悩みの方は、リファレンスチェックの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
