シェアドリーダーシップとは、従業員全員がリーダーシップを発揮している状態のことです。シェアドリーダーシップを取り入れることによって、従業員一人ひとりが自主的に行動するため全体としての生産性がアップします。しかし、明確な責任者が存在しないシェアドリーダーシップでは、トラブルが発生した際の責任の所在が分かりづらくなり、組織としての信頼を失う可能性もあります。
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メンバー全員がリーダーシップを発揮している状態
シェアドリーダーシップとは、役職にかかわらずメンバー全員がリーダーシップを発揮している状態のことです。「共有型リーダーシップ」と呼ばれることもあります。全員がリーダーの役割を果たしつつ、必要に応じてフォロワーとなり、個々が主体的に目標達成に向かうのです。仕事内容やチームの状況に応じて臨機応変に担う役割を入れ替えます。なお、シェアドリーダーシップを採用するとしても、全体のリーダーを不在とするのではなく、役職としてのリーダーを設けることが望ましいでしょう。
従来のリーダーシップとの違い
従来は、カリスマ性のあるリーダー1人にメンバーが頼る「カリスマ型リーダーシップ」が一般的でした。「トップダウン型」とも呼ばれ、指示がチーム全体に伝わりやすく、チームを短期間で成長させられる点が特徴です。対して、シェアドリーダーシップは、職場や個々のチーム、会社に所属する全員がリーダーシップを発揮できます。従来のリーダーシップは、指示が一方通行でメンバーが特定のリーダーに依存しやすいというデメリットがありました。しかし、シェアドリーダーシップは、双方向に意見を交わして個々が主体性を持って目標達成に向かうことが可能です。
シェアドリーダーシップが注目を集める背景
シェアドリーダーシップが注目されるようになった背景には、VUCA(ブーカ)時代の到来が挙げられます。 VUCAとは「Volatility(変動性)」「 Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」これら4つの英単語の頭文字を取った造語で、変化が激しく将来の予測が困難な時代を表す言葉です。このような時代の変化に伴い、1人のリーダーによる適切な意思決定が困難になりました。そして、チームに属するメンバー全員がリーダーシップを発揮できることで、緊急時でも迅速かつ柔軟な意思決定が期待できるシェアドリーダーシップが注目を集めるようになったのです。
シェアドリーダーシップのメリット
生産性が向上する
シェアドリーダーシップの実践によって、メンバーの苦手分野をメンバー同士で補い合えます。その結果、チーム全体のパフォーマンスが最大化され、生産性が向上するのです。メンバーの長所を活かした仕事の割り振りがしやすくなることで仕事への自信がつき、個々の満足度にも良い影響を与えるでしょう。役職を問わず意見を出し合えるため、組織全体の風通しが良くなることも期待できます。役職としてリーダーを任命される前にリーダーとしての役割を体験することで、人材育成も可能です。
イノベーションにつながる
リーダーシップが共有されると、メンバー同士での意見交換が活発化し、イノベーションの促進につながります。従来は個々で役割分担をし、自分の担当ではない分野に対して意見を出す機会がありませんでした。 その点、シェアドリーダーシップでは多角的な視点からの意見や考え方がもたらされるため、柔軟なアイディアが生まれやすくなります。チームの中で新しい価値観を共有し議論することで、組織全体のイノベーションにつながるのです。
モチベーションが向上しやすい
メンバーそれぞれがリーダーシップを持つことで、モチベーションが向上しやすくなります。 従来のリーダーシップのようにリーダーの命令にただ従うのではなく、主体性を持って仕事に取り組むことが可能です。メンバーは自分なりに創意工夫しながら仕事に望めるようになるでしょう。モチベーションの向上によって、メンタルヘルスの不調による離職や休職の削減も期待できます。
シェアドリーダーシップのデメリット
組織のまとまりがなくなる恐れがある
目標を共有せずにシェアドリーダーシップを導入してしまうと、組織のまとまりがなくなる恐れがあります。チームの目指すべき方向性をすり合わせてからプロジェクトを進めることが重要です。また、各個人の能力が高かったり、自己主張が強かったりする場合は、まとめる役割としてのリーダーを設ける必要があるでしょう。意見がまとまらず、なかなか合意に至らない場合の対策を事前に講じておくことを推奨します。
経験の浅いメンバーにはフォローが必要
経験の浅いメンバーはリーダーシップを発揮することが難しいため、周囲のサポートやフォローが必要です。リーダー経験のない人が担当することで、上手くまとまらずシェアドリーダーシップのメリットを得られない場合もあるでしょう。シェアドリーダーシップを適切に活用するためには、メンバー同士がお互いに支え合える体制を構築することも求められます。
責任の所在がみえにくくなる
明確な責任者が存在しないシェアドリーダーシップでは、トラブルが発生した際に責任の所在がみえにくくなります。責任の所在が明確でないと、組織としての信頼を失う可能性もあるのです。案件ごとに責任の所在を決定する基準を検討し、対応が必要になったときに備えて組織の仕組みを整えておきましょう。
まとめ
今回は、シェアドリーダーシップの概要やメリット・デメリットについて解説しました。メンバー全員がリーダーシップを発揮できるシェアドリーダーシップを導入することで、生産性やイノベーション力、モチベーションの向上が期待できます。一方で、組織のまとまりがなくなるおそれや、責任の所在がみえにくくなるといったデメリットもあります。経験の浅いメンバーには周囲のサポートやフォローが求められるでしょう。シェアドリーダーシップを効果的に活用するためにも、役職としてリーダーを配置する、責任の範囲を決めておくなど仕組みを整えておくことが大切です。