副業の残業代はどうする?請求先や残業時間の計算方法を詳しく解説!

2022年5月17日


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最近では、収入アップを目的に、本業に加えて副業を始める人が増えています。企業が従業員の副業を許可することで、柔軟性のある働き方が推進できるでしょう。一方で、副業を含めた労働時間が法定労働時間を超えてしまう場合などには、どのように対応すれば良いのでしょうか。今回は、副業を含めた労働時間や残業代の考え方、本業先と副業先のどちらの会社が残業代を支払うのか、計算時の注意点について解説します。

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副業は労働時間になるの?

そもそも副業とは

副業とは、本業以外の仕事で収入を得ることを指します。副業にはさまざまな働き方が含まれ、兼業やサイドビジネスなどと呼ばれることもありますが、それぞれに明確な定義はありません。就業形態も、正社員、パート・アルバイト、会社役員、起業による自営業主などさまざまです。ただし、副業という場合は、本業よりも少ない労力・時間で収入を得る仕事を指すことが多いようです。一方、兼業や複業という場合は、本業と同等以上の労力を要し、ある程度大きな責任を担う傾向があります。
2018年、厚生労働省が公表する「モデル就業規則」が改定され、労働者の遵守事項における「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削除され、副業・兼業についての規定が新設されました。そのため、2018年は「副業元年」と呼ばれ、日本の経済社会が副業という働き方を容認し始めるきっかけになったといわれています。2020年には、副業・兼業に関するルールを明確化するため、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定しています。これによって、多くの企業が副業を認めるようになりました。

副業と労働時間の考え方を整理しよう

労働基準法第38条第1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定されています。この、「事業場を異にする場合」とは、異なる事業主のもとで働く場合も含まれると考えられており、副業や兼業の労働時間は本業の労働時間と通算しなくてはなりません。
労働基準法では、原則として、1日に8時間、1週間に40時間超えて雇用者を労働させてはいけません。副業によってこの時間がオーバーしてしまった場合、時間外労働となり、雇用主は従業員に対して1.25倍以上の割増賃金を支払うことが法的に定められています。

副業を含めて発生した残業代は誰が払う?

残業代を支払うのは、本業の雇用主、副業の雇用主どちらなのでしょうか。基本的に、時間外割増賃金は「後から雇用契約を締結した企業」が支払うこととされています。後から契約した企業は「従業員が別会社に勤めているのを知っている」という前提があるからです。そのため、例え後から雇用契約を結んだ企業が本業の扱いであっても、時間外割増賃金の支払い義務が発生します。

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副業を含めた残業代の考え方

先述した内容を踏まえて、先に契約していた会社をA社、後から契約した会社をB社として、残業代算出の考え方をみてみましょう。

後に契約した企業が残業代を支払うケース

従業員はA・B社合わせて10時間働いていますから、法定労働時間を引いて残業は2時間です。A社は先に雇用契約を締結したので、5時間の労働時間に対して割増賃金を支払う必要はありません。よって、A社の賃金の計算方法は時給に働いた時間を掛けるだけです。
一方、B社は後から契約したので残業代の支払義務が生じます。よって、B社は5時間の労働時間のうち、2時間分に対して割増賃金を支払わなくてはなりません。

先に契約した企業が残業代を支払うケース

例外的に、先に雇用契約を結んだ企業が割増賃金の支払い義務を負う場合もあります。それは、すでに従業員が法定労働時間に達していることを知りながら労働時間を延長した場合です。雇用契約を結んだ時期に関わらず、延長させた企業が残業代を支払わなければなりません。

副業を含めた残業代の算出の注意点

割増賃金の種類に気をつける

法定労働時間の超過に対して支払わなければならない割増賃金は、時間外・休日・深夜の3種類です。該当条件と割増率を表にすると以下のようになります。

種類 該当条件 割増率
時間手当 1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えたとき25%以上 25%以上
時間外労働の限度時間(1ヶ月45時間、1年間360時間など)を超えたとき25%以上 25%以上
1ヶ月の時間外労働が60時間を超えたとき大企業:50%以上 大企業:50%以上
中小企業:25%以上
(2023年から50%以上)
休日手当 法定休日(週1日)に勤務させたとき35%以上 35%以上
深夜手当 22時~5時までの間に勤務させたとき25%以上 25%以上

※月60時間越えの割増率は2023年の4月1日に大企業・中小企業ともに50%になるので注意しましょう。

労働時間が通算されないケースもある

実際に副業を始めようとすると、さまざまな仕事があることに気付きます。例えば、フリマアプリを活用した日用品の販売や、フリーランスとしての自由な活動など、必ずしも企業に所属する場合だけとは限りません。このような場合は、本業と副業で労働時間が通算されないので気を付けましょう。労働時間が通算されない副業には、労働基準法が適用されないケースと、労働時間規制が適用されないケースがあります。

  • 労働基準法が適用されないケース
  • 労働基準法で定める労働者は「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義されています。そのため、特定の企業に所属せずに働いている人は労働基準法の対象になりません。つまり、労働時間の管理などからも適用除外されているということです。具体例としては、フリーランスや起業者、共同経営者、顧問、理事、監事などの職種がこれに該当します。

  • 労働時間規制が適用されないケース
  • 労働基準法の対象者であっても、同法の第41条および41条の2に該当する人は労働時間、休憩および休日に関する規定の対象外となります。適用除外となるのは以下のいずれかに該当する労働者です。

  1. 管理監督者
  2. 林業を除く農林水産業に従事する労働者
  3. 監視業務等に従事し、労働基準監督署から許可を受けた労働者

これらの職種には、労働内容を時間で管理するのが難しいという共通点があります。そのため上記の職種で働いた時間は本業とは通算されません。ただし、企業は従業員の労働時間管理を全くしなくて良い訳ではありません。従業員の申告などから、長時間労働を避ける働きかけが必要です。

有給休暇を利用した副業の場合

休憩、休日、年次有給休暇は「労働する義務から完全に開放されている時間」といえます。そのため、本業が休みの時間に副業をしても労働時間として通算されることはありません。また、以下の場合を除いて、企業が労働時間以外の時間における従業員の副業・兼業を禁止又は制限することはできないとされています。

  • 労務提供上の支障がある場合
  • 業務上の秘密が漏洩する場合
  • 競業により自社の利益が害される場合
  • 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

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まとめ

副業といっても内容はさまざまなので、どのような副業ができるかは本業の事業形態や働き方にもよるでしょう。副業や兼業を容認する企業は増えていますが、働き方や職種によっては、競合他社との利益相反や秘密保持の問題など、トラブルが発生しがちな側面もあります。また、あとから雇用契約を結んだ企業に課せられる残業代の支払い義務についても、労使がしっかりと認識しておく必要があります。多様性のある働き方を実現するためにも、法律に則った適正な副業・兼業に関するルールをつくりましょう。

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