見える化とは、企業活動において判断材料となる情報を誰もが客観的に認識でき、問題が発生してもすぐに解決できる環境を実現する取り組みのことを指します。企業において人手不足が深刻化している昨今では、企業活動を多角的な視点から分析し改善する取り組みが求められており、そのような中で生まれた取り組みが「見える化」です。また、見える化を実施する上で、可視化との違いを理解しておく必要があります。可視化とは、目に見えない情報を見える状態にする手段のことを指します。一方、見える化には可視化された情報を目にした人の行動を促す役割もあります。そのため、可視化の達成をゴールにしないように注意が必要です。
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見える化とは
見える化とは企業の日々の業務におけるオペレーション・プロセス・結果などの情報をチーム全員が把握して、早期に課題を見極めて迅速な対応に結び付ける取り組みのことを指します。見える化を実現できればトラブルを未然に防止できるだけでなく、業務の最適化にも役立てることが可能です。そもそも、見える化の発祥はトヨタ自動車の生産ラインの異常を発見するための表示板だといわれています。現在では生産現場だけでなく開発・営業・経営にいたるまで、企業のさまざまな場面で見える化が進められるようになりました。
可視化との違い
可視化とはそのままではわかりにくい情報を、目に見える状態にすることを指します。見える化とも共通する意味を持つ言葉ですが、可視化には情報を見ようとする意志が必要です。一方、見える化では意志とは関係なく見える状態にするという点で異なります。また、見える化では明らかになった情報をすべてのメンバーが認識でき、改善行動も行える状態でなければなりません。
見える化が求められる背景
見える化が求められる主な背景としては、以下が挙げられます。
- 少子高齢化
- ESG経営の普及
- 働き方改革の推進
- DXの推進
少子高齢化が影響して人手不足が深刻化している多くの企業では生産性向上は重要な課題です。限られたリソースで高い成果を出すためには、見える化といった取り組みが欠かせません。さらに、ESG経営の普及や働き方改革によって、企業経営における透明性も重視されるようになってきました。ITツールの導入で業務効率化を実現するだけでなく、情報の見える化を進める企業が広がっているのです。
見える化のメリット
問題を早期発見できる
業務の見える化を実現できれば、問題を早期発見できるようになります。業務の問題点や改善点を察知しやすくなるので、業務の停止や遅延が発生してもスムーズに対応が可能です。問題が明確になったタイミングで迅速に情報共有を行えるので、課題の早期解決に向けてチームでアクションを起こせます。また、見える化によって的確に問題の原因を把握できるので、問題の早期発見だけでなく再発防止の効果も期待できるのです。
業務効率化につながる
業務効率化にも見える化は有効です。業務の見える化は組織の業務量を適切に把握して、配分の最適化を実現します。特定の従業員に業務が偏ってしまう問題が削減されるので、納期の遅れや商品の質が低下する原因を取り除くことが可能です。効率的に仕事に取り組めるようになるので、結果として作業の質が向上してより良いサービスを提供できるようになります。
従業員の連携がスムーズになる
仕事を見える化すると業務の全体像がわかるので、従業員同士の相互理解を促すことが可能です。従業員は自分の担当以外の業務にも目を向けるようになるので、部署を越えたコミュニケーションが活発化します。仕事での連携がスムーズになって助け合えるだけでなく、新しいアイデアが生まれるなどビジネスチャンスも広がります。
見える化を進めるポイント
マニュアルを作成する
仕事の見える化にはマニュアル作成が欠かせません。マニュアル作成による主なメリットは以下の通りです。
- 属人的な業務を可視化できる
- 仕事の品質を標準化できる
- 抜けや漏れを防止できる
- 人材育成の工程を短縮できる
マニュアルが用意されていると仕事の進め方が見える化されるので、このようなさまざまな効果が期待できます。まずは、業務フローを整理してマニュアル作成をスタートしてみましょう。なお、マニュアルは作成後には定期的に見直しを行うことがポイントです。従業員にとって最新の情報を見える化できるように工夫しましょう。
ツールを活用する
見える化を効率的に進めるためには、ツールを有効に活用してみましょう。ツールで見える化を実現できる主な項目を以下にまとめてみました。
- 業務内容
- 進捗状況
- 経営状況
ツールを活用すれば過去に見える化したデータを蓄積して、管理や分析を効率的に実施できます。もちろん、見える化した情報はリアルタイムに確認できるので、迅速な経営判断などに役立てることが可能です。見える化を実現できるツールにはさまざまな種類がありますが、情報をカスタマイズして表示できるBIツールを導入する企業が増えています。
フレームワークを用いる
フレームワークの活用も見える化の推進におすすめです。見える化を行える代表的なフレームワークは以下の通りです。
- ロジックツリー:思考を樹木の枝のように展開して整理できる
- マトリクス:縦横の軸で簡潔に情報を整理できる
- バリューチェーン分析:事業活動を機能別に分類して分析できる
- バランス・スコアカード:4つの視点で指標を設けて企業を評価できる
多くの情報を整理する際には、このようなフレームワークを使用して見える化を進めてみましょう。
まとめ
見える化はさまざまな業種の企業や職場において、現在でも応用が繰り返されています。インターネットやスマートフォンなどのデジタル技術の革新とともに、今までは可視化できなかった情報の利活用が進展しているのです。最新の技術やフレームワークを活用すれば、業務において新しい視点が広がるかもしれません。職場の当たり前にしばられずに、改めて業務の見える化を考えてみてはいかがでしょうか。