【ケーススタディあり】労働時間に関するルールを徹底解説

2024年4月2日

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労働時間に関する基本制度

法定労働時間

労働者の働き方や労働時間は労働基準法によって厳しく定められています。例えば労働時間については原則1日8時間まで、かつ週40時間までを法定労働時間といい、それを超えて労働させてはならないと規定されています。そのほか休憩時間に関する規定や、残業時間に上限を設けた規制も遵守しなければなりません。こうした制度作りをはじめとして、国は労働者の心身の健康やワークライフバランスを確保するための取り組みを進めており、企業側にも長時間労働の削減に向けた努力が求められています。

36協定

1日8時間まで、週40時間までと定められている法定労働時間を超えて労働させたり、休日労働をさせたりする場合は、労働基準法第36条に基づいて労使協定を締結し、労働基準監督署に届出をする必要があります。これを「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」といいます(※1)。
労使間で協定を結ぶことによって時間外労働や休日労働が認められるようにする制度ですが、36協定を締結した場合でも、時間外労働の上限は月45時間まで、年360時間までと規制されています。これに違反すると罰金や懲役が科せられる可能性もあります。

※1:労働基準法第36条「36協定」の概要
・法定労働時間:原則1日8時間、週40時間まで
・36協定の締結・届出によって、時間外労働と休日労働が認められる
ただし時間外労働は月45時間・年360時間が上限
・上限を超えた時間外労働などの違反は、罰則の対象になる
・臨時的な特別な事情がある場合は時間外労働の上限が年720時間まで認められるが、その他の細かい規定があるので注意が必要(特別条項付きの36協定)

例外となる制度

変形労働時間制とみなし労働時間制

近年はリモートワークや副業を認める企業が増えるなど、働き方が多様になっています。ワークライフバランスを重視した働き方や業務の特殊性に対応するため、例外として1日8時間という法定労働時間に縛られず、柔軟に労働時間を調整できる制度があります。そのひとつである「変形労働時間制」は、飲食店や観光業など季節によって繁閑に差のある業種の場合、所定労働時間をあらかじめ調整できる制度です。労働者が自由に始業・就業時刻を決められることができる「フレックスタイム制」という制度もあります。また外回りが多い営業職や、システムエンジニア、クリエイターなどの専門職に対応する制度としては、実際の労働時間にかかわらず一定の時間を労働したとみなして賃金を支払う制度、「みなし労働時間制」や「裁量労働時間制」があります。
それぞれの制度の違いや適用条件については、次の項目で詳細に説明します。いずれも導入にあたってはあらかじめ就業規則や労使協定でルールを規定しておく必要がありますが、正しく運用すれば、残業の削減や生産性の向上、そして優秀な人材の確保につなげることができるでしょう。

労働時間に関する例外制度の種類

変形労働時間制とみなし労働時間制の主な種類は以下のようになっています。それぞれの詳細については、後述します。

変形労働時間制とみなし労働時間制の主な種類

変形労働時間制

繁閑に応じて労働時間を調整

季節によって繁閑の差がある業種において、業務量の変動に応じて週単位、月単位、年単位で労働時間を配分できるのが「変形労働時間制」です。労使協定を締結するか就業規則で定めることで、閑散期の労働時間を短くする代わりに、特定の日や週の所定労働時間を長くすることができます(※2)。一定期間を平均して週あたり40時間以内であれば、法定時間を超えても割増賃金の対象にならない制度です。適切に労働時間を配分することで、働く側にとっては健康管理や休暇の取得ができるようになり、企業にとっても残業代の削減が期待できます。一方で導入の手続きや勤怠管理が煩雑で、急な業務変更が難しいという側面もあります。飲食店や観光業のように繁忙期と閑散期で大きく差がある場合は、この制度を効果的に運用し、無駄のない働き方を目指しましょう。

※2:出退勤のタイミングを従業員に委ねることはできず、あらかじめ就業規則または労使協定に規定しておく必要があります

変形労働時間制の種類

変形労働時間制は、週単位、月単位、年単位働き方に合わせて、それぞれを選択する事ができます。これらの種類を上手く活用して、効率的な働き方を実現しましょう。

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種類 詳細
週単位 週40時間以内の範囲で、1日の上限が10時間。対象は常時使用する労働者数が30人未満の小売業、旅館、料理店、飲食店のみ
月単位 1ヶ月以内の週平均が法定労働時間(40時間)を超えない範囲で、特定の日や週で法定労働時間を超えることができる
年単位 1年以内の週平均が法定労働時間(40時間)を超えない範囲で、特定の日や週で法定労働時間を超えることができる(※3)

※3:ただし就業規則や労使協定で定めた所定労働時間を超える場合は、法定労働時間内であっても時間外労働とみなされ割増賃金の対象になります。

変形労働時間制のメリットとデメリット

変形労働時間制のメリットとデメリットを整理しましょう。
メリットとデメリットを比較しながら、それぞれの企業に合った方針を選択しましょう。

<変形労働時間制のメリット>

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変形労働時間制のメリット
  • 閑散期の残業時間を削減でき、休暇をとりやすくなる
  • メリハリのあるワークライフバランスを重視した働き方が目指せる
  • 繁忙期においても残業代の削減ができる
  • 必要な人員の見通しがたち、適切な人員確保ができる
  • 多様な働き方を推進する会社としてイメージアップにつながる

<変形労働時間制のデメリット>

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変形労働時間制のデメリット
  • 導入までの手続きが煩雑で、人事担当者の手間が増える
  • 勤怠管理が複雑になる
  • 繁忙期の労働時間が長くなる
  • 不公平感が生まれる場合がある
  • 所定労働時間をあらかじめ決める必要があり、急な業務変更が難しい

フレックスタイム制

出退勤を自由に決められるフレックスタイム制

フレックスタイム制とは、働く側が自由に始業時間と終業時間を決めて働くことができる制度です。一定期間(清算期間)にどれだけ働いてもらうかという総労働時間を就業規則と労使協定において事前に定め、その範囲内で働きます。1日の総労働時間のうちの一部を労働しなければならない時間(コアタイム)として決めることもできます。
この制度では、たとえば通勤ラッシュを避けて通勤したり、業務を中断して子どもの送り迎えをしたりするなど、労働者の個々の事情に合わせた働き方が可能になります。一方で勤務の実態が把握しづらくなるため、組織内の不平不満の原因になったり、コミュニケーション不足やトラブルが生じたりする恐れもあります。そうしたフレックスタイム制のデメリットも認識したうえで適切に運用できれば、仕事とプライベートのバランスを重視した多様な働き方が実現でき、優秀な人材確保にもつながります。

フレックスタイム制のメリットとデメリット

フレックスタイム制のメリットとデメリットを整理しましょう。
メリットとデメリットを比較しながら、それぞれの企業に合った方針を選択しましょう。

<フレックスタイム制のメリット>

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フレックスタイム制のメリット
  • 残業や休日出勤を削減できる
  • 業務効率がアップし、生産性の向上につながる
  • 従業員の疲労の削減、私生活との両立、ワークライフバランスを実現できる
  • 会社のイメージアップにつながる

<フレックスタイム制のデメリット>

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フレックスタイム制のデメリット
  • 従業員同士のコミュニケーション不足など、ルールを決めないとトラブルになりやすい
  • 自己管理が苦手な従業員には不向き、生産性の低下を招く可能性もある
  • 勤怠管理が難しくなり、従業員の負担や不満が増加するおそれもある

みなし労働時間制

実労働時間に関係なく評価する制度

外回りの営業職や専門職など労働時間の算定が難しい場合に、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた所定労働時間分を労働したものとみなす制度です。たとえば、1日の労働時間を8時間と定めた場合、実労働時間が6時間であっても10時間であっても8時間分の賃金が支払われます。
みなし労働時間制には大きく分けて、「事業場外みなし労働時間制」と「裁量労働制」の2種類があります。「事業場外みなし労働時間制」は、外回りや地方出張が多いなど、上司が正確な労働時間を把握することが難しい場合に適用されます。「裁量労働制」は働いた時間ではなく、仕事の成果や実績に対して賃金を支払う制度で、事業主は業務遂行の方法や時間配分を細かく管理せず、従業員にゆだねます。
また、裁量労働制が適用される業務は細かく規定されています。研究開発やシステム設計、記者、弁護士など専門性の高い20の業務が対象となる「専門業務型裁量労働制」と、プロジェクトの企画立案や調査、分析、経営計画の策定など、会社の中核的な業務が対象となる「企画業務型裁量労働制」の2種類に分かれます。いずれの制度も、所定労働時間にとらわれず自分のペースで業務に集中できるため、業務効率や生産性の向上が期待できますが、長時間労働につながらないよう注意が必要です。

みなし労働時間制のメリットとデメリット

<みなし労働時間制のメリット>

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みなし労働時間制のメリット
  • 業務の効率化、生産性の向上を期待できる
  • 多様な働き方が実現できる
  • 残業代が軽減できるほか、あらかじめ人件費が予測できる
  • 給与計算の負担が軽減される

<みなし労働時間制のデメリット>

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みなし労働時間制のデメリット
  • 勤怠管理が難しく、長時間労働になるリスクがある
  • 適用条件が厳密に規定されており、導入にあたっての手続きが煩雑(※4)
  • 時間外手当・割増賃金が発生する場合もある

※4:裁量労働制の必要な手続きを下記にまとめています。

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専門業務型裁量労働制 企画業務型裁量労働制
労使協定において、以下の事項を定め、労基署へ届出する必要があります。

  • その事業場で対象とする業務
  • みなし労働時間
  • 対象労働者の健康
  • 福祉確保措置
  • 対象労働者の苦情処理措置
事業場毎に労使委員会を設置し、以下の事項を決議(4/5以上の多数決)し、労基署へ届出する必要があります。

  • その事業場で対象とする業務・対象労働者の範囲
  • みなし労働時間
  • 対象労働者の健康
  • 福祉確保措置(6か月に1回労基署に定期報告)
  • 対象労働の苦情処理措置
  • 本人同意を得ること及び不同意の労働者に対する不利益取扱いの禁止等

ケーススタディ

10分前出勤は労働時間に含まれる?

始業時間の10分前に出勤した場合、それは労働時間として賃金の対象になるでしょうか。もし、事業主や上司からの指示で始業前の準備をするために始業時間よりも早く出勤しなければならない場合は、その時間も労働時間としてみなされます(※5)。また業務終了後に清掃などの後始末のために事業場に残った場合も、会社や上司の指示によるものであれば残業時間としてみなされ、賃金が支払わなければなりません。
※5:10分前出勤における法的評価
労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことをいいます。従って、使用者の指示により就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間は労働時間とみなされ、使用者はその時間に対して給料を支払わなければなりません。時間外労働(早出残業)の場合、時間外労働手当の対象になります。

着替え時間は労働時間に該当する?

始業時間より前に制服や作業服に着替えるため時間は、労働時間に含まれるのでしょうか?就業規則などで制服の着用が義務づけられている場合は、原則として着替えの時間も労働時間としてみなされます。業務上、必要のある着替えにもかかわらず、着替えの時間が労働時間に含まれていない場合は違法になる可能性があるので、注意が必要です(※6)。
※6:着替えの時間に関する過去の判例
平成12年の最高裁の判例では、使用者の指揮命令下に置かれている時間は労働時間に当たるとされ、会社が義務づけている制服に着替える時間は、業務開始の準備行為として労働時間にあたると判断されました。他にも近年、義務づけている制服に着替える時間に対して賃金を支払ってこなかった企業が、裁判所からの賠償命令や労基署からの是正勧告を受ける事例が多く発生しています。

12時間労働は違法?

原則としては、1日8時間以内と定められている法定労働時間を超えて長時間の労働をさせてはいけませんが、例外として、36協定を締結し労基署に届け出れば1日12時間の長時間労働をさせることができます。ただしその場合、1時間以上の休憩時間を確保し、時間外労働に対しては割増賃金を支払う必要があります。これらの条件をクリアすれば12時間労働は可能になりますが、労働者の健康やワークライフバランスを考慮して、できるだけ長時間労働にならない職場の環境作りが大切です(※7、※8)。
※7:休憩時間に関する規定
労働時間が1日6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも60分の休憩時間を与えなければならないと定められています(労働基準法第34条)
※8:12時間労働が違法になるケース
・36協定を結ばずに法定労働時間を超える12時間労働をさせた場合は罰則の対象
・36協定を結んでも休憩時間が1時間以下、あるいは適切な割増賃金が支払われていない場合は労働基準法違反

まとめ

この記事では、労働時間に関する基本的な制度である「法定労働時間」と「36協定」を踏まえたうえで、例外として認められている多様な働き方の制度について、それぞれの特徴やメリット、デメリットを詳細に解説しました。
今回紹介した変形労働時間制、フレックスタイム制、みなし労働時間制(裁量型労働制)は、労働者に一定の自由度を与える画期的な制度です。そのため近年、特に重要視されているワークライフバランスの実現を期待できます。一方で、勤務の実態とずれが生じたり、職場のコミュニケーション不足によるトラブルの原因になったりする恐れも含んでおり、導入には適切なルールの確立が重要になります。こうした制度の特徴を正しく理解し、それぞれの業種や業務の特性に合った制度を上手に取り入れることで、労働者と企業の双方にとってさらに魅力的な労働環境作りにつなげていきましょう。就業規則や雇用契約を変更する際には慎重な検討が必要です。法令順守の原則を常に念頭に入れながらも、柔軟性をもって働く環境をより良いものにするために一歩踏み出していただければ幸いです。

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