退職推奨とは?解雇との違いや注意点について解説

2024年1月9日

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退職推奨とは、企業側から退職してほしいと考えている従業員に対し退職を促し、従業員に退職について同意してもらい、退職届を提出して退職してもらうことを目指す活動です。解雇の場合、解雇予告手当の支払いや、損害賠償を求める訴訟などを起こされる可能性があります。一方退職推奨では、従業員が退職に合意しているので、解雇のリスクを負うことなく、円満に退社させることが可能になります。しかし、強制的に退職させることは退職強要に該当するので、従業員が退職を拒否した場合は深追いしないようにしましょう。

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退職勧奨の基礎知識

退職勧奨とは

退職勧奨は、会社が従業員に退職の話を持ちかけ、退職を勧めることです。会社と従業員が協議し、合意のもとで労働契約を終了する合意退職を目指す方法となります。この方法自体は違法ではありませんが、やり方によっては不法行為とみなされ損害賠償の問題が生じる点に注意しましょう。

協議を行う際は、会社が退職を提案する理由や従業員にとっての退職しないことのデメリット・退職することのメリットなどを提示することが一般的です。こうした提示をもとに協議し、従業員が退職に合意すれば、退職の手続きに進みます。なお、退職勧奨は基本的に会社都合として扱われます。

解雇との違い

解雇とは、会社からの申し出による一方的な労働契約の終了のことです。解雇するには、客観的に合理的であり、かつ社会的通念上相当と認められる理由がなければならないため、会社はいつでも自由に行えるわけではありません。会社は就業規則に解雇事由を明記しておくことと、少なくとも30日前に解雇を予告することが義務づけられています。

このように、解雇は従業員の意思とは関係なく会社が一方的に労働契約を終了しますが、退職勧奨は従業員の同意を得なければ辞めさせられないという点で異なります。合意は従業員の自由であり、その場ですぐに答える必要もなく、辞める意思がなければ応じないことも可能です。従業員が退職に応じた場合、会社は合理的な理由がなくても労働契約を終了できます。

退職勧奨を実施するための条件

法律上、退職勧奨を実施するための条件は設けられていません。ただし、以下の場合において実施することは違法となります

<男女雇用機会均等法>

  • 従業員の性別を理由とする場合
  • 女性従業員が結婚・妊娠・出産・産前産後休業をしたことなどを理由とする場合

育児・介護休業法

  • 育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、所定労働時間の短縮等の措置等、時間外労働の制限及び深夜業の制限について申し出たことや、育児・介護休業等を取得したことを理由とする場合

一般的に退職勧奨が行われるのは、以下の場合です。

  • 経営不振による人員削減を行う場合
  • 従業員の能力不足や勤務成績不良が著しい場合

退職勧奨の理由が従業員の勤怠不良の場合は、勤怠表を提示して説明すると本人の納得を得られやすいでしょう。従業員側に落ち度がある場合は、客観的な記録を提示すると円滑な協議を進めやすくなります。

退職勧奨のメリット・デメリット

メリット

退職勧奨のメリットは、解雇と比較して法的なリスクが小さいことです。解雇は従業員の同意を得ずに一方的に行うため、解雇理由に納得してもらえず「不当解雇」として裁判を起こされる可能性があります。不当解雇には明確な基準がなく、企業側が敗訴して多額の支払いを命じられるケースも少なくありません。また、解雇により従業員を辞めさせることは、逆恨みを招くリスクもあるのです。

この点、退職勧奨は、正しい手順を踏んで行えば、法的リスクやトラブルを抱える可能性を最小限に抑えられます。協議の結果、合意に至った場合、労働契約は終了し、後日、「正当な理由」の有無について問われることもありません。

デメリット

退職勧奨では従業員から退職の合意を得なければならないため、手間と時間がかかる点はデメリットとなります。正当な理由を提示したからといって従業員が合意してくれるとは限りません。退職勧奨を行ったことで、会社・上司と従業員との関係が悪化する可能性がある点も留意する必要があります。退職勧奨を行う際は、会社が退職を提案する理由を裏付ける定量的なデータや、より適したキャリア形成の可能性や、再就職支援、退職金の上乗せなど退職するメリットを提示し、慎重に協議を進めましょう。

退職勧奨を行う際の注意点

退職を強要しない

「辞めないなら減給する」「退職届を出さなかったら解雇する」といった発言によって退職を強要した場合、パワハラと見なされ、損害賠償を命じられるリスクがあります。強圧的な態度や発言は後々不利になるため慎みましょう。仮にその場で従業員が退職に応じたとしても、裁判所に不当解雇と判断されれば退職の合意が無効になります。

長時間多数回にわたる退職勧奨は避ける

従業員が退職の意思はないことを明確に示しているにもかかわらず、面談で長時間拘束したり、執拗に退職勧奨を繰り返したりした場合、違法となります。また、退職勧奨とあわせて、不利益な配置転換を行う、仕事を与えない、過剰なノルマを課すといった嫌がらせを行うことも違法です。退職勧奨後、業務に支障をきたさないためにやむを得ず配置転換や仕事内容の変更を行う場合は、誤解を与えないように十分に説明するようにしましょう。

 相手が録音をしている前提で話し合いをする

最近では、退職勧奨の協議の場にICレコーダーを持参する労働者が増えています。気がつかないうちに録音されていたということも少なくありません。相手が録音している前提で、詐欺や脅迫と受け取られかねない言動を慎んで冷静に話し合いを進めましょう。正当性を主張できるように会社側が協議の内容を録音しておくことも有効です。後日あるいはその場でトラブルになることを防ぐために、会社側の担当者は2名以上で同席するようにしましょう。

まとめ

今回は、退職勧奨の概要や会社側のメリット・デメリット、注意点について解説しました。退職勧奨を行うこと自体は違法ではありませんが、強要した場合や強要と判断される場合は違法となります。その場合、同意があったとしても、退職は無効となります。パワハラと見なされた場合は、損害賠償を命じられるリスクもあるのです。退職勧奨を行う際は、あらゆるリスクを想定して慎重に行いましょう。

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