レジリエンスとは、「回復力」や「復元力」と訳される言葉で、困難にぶつかってもしなやかに対応し、乗り越える力のことを指します。ビジネス環境が著しく変化する現代において、レジリエンスを向上させ変化に柔軟に対応することが必要不可欠です。レジリエンスを向上させるためには、自己効力感を高める必要があります。自己効力感とは、「私は成功する、乗り越えられる」と捉え、自分に自信を持つ力のことを指します。この力により、自ら困難なミッションにチャレンジし、成功が生まれるのです。
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レジリエンスとは
レジリエンスとは回復力・復元力・弾力性などの意味を持つ言葉で、心理学においては精神的回復力を表す用語です。ビジネスにおいては困難やストレスに直面しても、速やかに立ち直って乗り越えられる力を指す言葉として使用されます。なお、レジリエンスは生まれつき決まるものではなく、後天的に鍛えることが可能です。従業員のレジリエンスを高めるために、さまざまな取り組みを行う企業が増えています。
メンタルヘルスやストレス耐性との違い
まず、メンタルヘルスとは心の健康を意味しており、ストレスの軽減や心の健康状態を維持するための予防を指す言葉です。次に、ストレス耐性とは発生したストレスに対して、どの程度耐えることができるかを表した力を示します。一方、レジリエンスは発生した心の状態に対する適応力や回復力を意味する言葉なので、混同しないように気をつけましょう。
ビジネスにおけるレジリエンスの重要性
ビジネスにおいてレジリエンスの重要性が高まっています。現代社会はVUCAと呼ばれる、予測が難しく変化の激しい時代です。既存の価値観や仕事の進め方などが通用しなくなる場面も目立ってきました。また、そうした変化でストレスが増えたことによって、従業員のメンタルヘルス不調の問題に直面している企業も少なくありません。このような時代において企業が事業を成長させるためには、変化に適応して困難を乗り越える力であるレジリエンスを高める取り組みが不可欠となっているのです。
レジリエンスを高めるメリット
社会環境の変化に強い企業になれる
レジリエンスを高めると社会環境の変化に強い企業になれます。企業のレジリエンスを高められれば、周囲の変化を迅速に察知して自社の事業や組織を適応させることが可能です。具体的には迅速な意思決定と行動を可能にする組織体制の構築や、変化に対応した新しい事業・商品・サービスの開発などを実施できるようになります。市場環境や顧客ニーズの変化を脅威と感じるのではなく、企業にとってのチャンスとして事業を進められるようになるのです。
従業員の心身の健康を維持しやすくなる
従業員の心身の健康を維持しやすくなる点もレジリエンスを高めるメリットです。レジリエンスの高い従業員は、ストレスを感じやすい状況でも冷静に対処できます。もし、困難な状況に直面したとしても、前向きに捉えて乗り越えられる特徴があるのです。そのため、レジリエンスを高められればストレスやプレッシャーによる精神的な不調を防いで、良好なメンタルヘルスの状態を維持できるようになります。
社内の人間関係改善を図れる
レジリエンスを向上させられれば、社内の人間関係の改善にも効果があります。レジリエンスが高い方の特徴は、ストレスへの高い対処能力を持っていることだけではありません。周囲への理解やサポートする意識にも優れている方が多いのです。そうしたレジリエンスの高い従業員が増えれば、社内のコミュニケーションの活性化やチームワークの強化など人間関係の改善につながる変化が期待できます。
レジリエンスの高め方
職場の心理的安全性を高める
レジリエンスを高めるためには、職場の心理的安全性を高めてみましょう。心理的安全性とは自分の意見や感情を安心して表現できる状態を指す言葉です。そのため、心理的安全性が高い職場では、誰もが安心して意見を出せるだけでなく、失敗を恐れずに新しいアイデアに挑戦することができます。また、困ったことがあれば周りの方に助けを求めやすい環境です。職場の心理的安全性が保たれていれば、従業員は困難な状況に直面しても適応していく力を身につけることができます。
従業員のレジリエンス力を強化する
従業員のレジリエンス力を強化する取り組みをスタートしてみましょう。代表的な手法を以下にまとめました。
- マニュアルの作成
- 研修の実施
- ワークショップの開催
まずは、担当者がレジリエンスについてよく理解することが大切です。レジリエンスの高い方の特徴や感情のコントロール方法などを学んで、具体的な強化方法について検討してください。なお、研修については社外の講師を活用することも有効です。
シナリオプランニングを実施する
シナリオプランニングの実施もレジリエンスを高めることに効果があります。シナリオプランニングとは将来起こる可能性のあるさまざまなシナリオを描き、それぞれの状況にどうやって備えるかを考える手法です。シナリオプランニングの実施によって想定外の事態への迅速な対応や最善の意思決定が可能になるなど、レジリエンスの向上が期待できます。なお、シナリオプランニングの進め方としては、自社の強み・弱み・機会・脅威を分析できるSWOT分析などの活用がおすすめです。
まとめ
現代社会は変化の激しいVUCA時代であり、個人にとっても企業にとってもレジリエンスはますます重要な要素です。組織のレジリエンスを高めれば社会環境の変化に強い企業になれるだけでなく、従業員の心身の健康を維持しやすくなります。解説した職場の心理的安全性の向上やシナリオプランニングの実施など、レジリエンスを高める取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。