就業管理と勤怠管理の違いとは?具体的な業務について解説

2021年8月3日

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就業管理とは、従業員の勤怠や出欠勤、休暇取得などの状況を把握し、法令と就業規則が遵守されているかを確認する作業を指します。就業管理は、勤怠管理とよく似ていますが、勤怠管理が労働時間の管理に留まるのに対し、より幅広い範囲をカバーするのが就業管理です。従業員の健康問題や労務トラブルを避けるために重要な取り組みといえるでしょう。今回は、就業管理の意味や勤怠管理との違い、就業管理の目的、具体的な業務と方法について解説していきます。

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適正な就業管理の実施

就業管理とは

雇用主には、従業員の労働時間や休日・休暇などのルールを適切に定め、従業員が健康的に働く環境を整える義務があります。2019年4月に施行された「働き方改革関連法」においても、この点が強調されており、残業の削減、同一労働同一賃金、高度プロフェッショナル制度などの実施が、企業に対して強く求められるようになりました。このような従業員の働き方を総括的に管理していくことを「就業管理」と呼びます。就業管理は、勤怠管理とほぼ同義として扱われることもあり、実際使い方に大きな区別はありません。ただし、就業管理の目的は「法令に沿って従業員の労働衛生を守ること」とされています。そのため、労働時間の管理をする勤怠管理は、就業管理のなかに含まれているということができるでしょう。

勤怠管理との違い

勤怠管理とは、「企業が適正に従業員の労働時間を管理すること」を意味します。すべての企業に共通する勤怠管理の方法はなく、業種や企業規模ごとに最も適した管理方法を定める必要があります。勤怠管理の目的である「労働時間の管理」は、単に「1日何時間働いたか」だけを把握すれば良い訳ではありません。労働日ごとに、各従業員の始業・終業時刻、勤務時間を詳細に記録・管理・保管することが重要です。また、休憩時間や欠勤、遅刻、早退、有給休暇の取得状況などもしっかりと把握しなければなりません。

就業管理が重要視される背景

就業管理が重要視される背景には、近年の労働基準法の厳格化の流れや、企業により厳しい管理体制の構築が求められている状況があります。勤怠管理が適切に行われ、従業員の労働時間が管理されている企業でも、担当者に労働基準法などの知識が無ければ、所定労働時間をオーバーしている従業員や、年次有給休暇を取得していない従業員を見逃してしまう可能性があります。このようなケースは、現時点では問題が発生していなくても、後になって訴訟問題や労働災害に繋がりかねない、重大な法令違反です。そのため、勤怠管理によって把握した従業員の労働状況が、労働基準法で定められた範囲内に収まっているか、従業員の健康に配慮した働き方ができているかどうか、などを管理するのが就業管理の役割なのです。
上記のような、1日の労働時間や年次有給休暇などの基本的な事項は、労務担当者ならすでによく知っているかもしれません。しかし、フレックスタイム制や変形労働時間制を採用している企業では、管理は複雑になり、知っておかなければならない知識も増えるでしょう。こういった企業では就業管理の業務はより重要になるため、高度な管理能力が必要になるのです。

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就業管理の業務

労働時間の管理

勤怠管理における労働時間の管理は、おもに給与計算の根拠として行われます。就業管理でも同様に労働時間を管理しますが、就業管理の場合は、その労働時間が労働基準法を遵守できているかという点を重視します。たとえば、一般的な労働者の労働時間は1日8時間までとされていますが、変形労働時間制などを採用している企業では、8時間をオーバーしている日があるからといって必ずしも違法という訳ではありません。一方で、制度がうまく運用されていないと、清算期間全体では働き過ぎになっている場合もあります。このように日々の勤怠管理だけではわからない部分を、就業管理業務で管理していきます。

休日・休暇・休業の管理

使用者が従業員に対して、少なくとも週1日与えなければならない休日を「法定休日」、法定休日以外に与えるその他の休日を「所定休日」といいます。所定休日か法定休日かによって、従業員が休日労働した場合に支払う割増賃金の計算方法が異なるため、このような給与計算が正しく行われているか確認するのも就業管理業務の一つです。また、「年次有給休暇」の管理も重要です。2019年より、使用者は10日以上の有給休暇が付与される全ての従業員に対し、毎年5日間、時季を指定して有給休暇を取得させることが義務付けられました。つまり、従業員が年次有給休暇を取得できない状況は違法として扱われるということです。有給休暇が法令通りに取得できているかどうかも、大切な就業管理業務です。

就業規則の徹底

従業員が10人以上いる企業では就業規則の調整が義務付けられていますが、就業規則をつくったものの、内容が社内に周知されていない場合は少なくありません。就業規則を社内に共有することは、思わぬ社内のトラブルや、マナー違反の防止に繋がります。また、就業規則に則った健全な企業運営は、従業員の健康的な働き方にも寄与するため、就業規則の周知や、見直し、修正なども就業管理業務になります。

就業管理の方法

就業管理システムを活用

近年では、勤怠管理システムが多くの企業で活用されていますが、労働状況の法令遵守に特化した、「就業管理システム」が注目されています。従業員の労働状況を「見える化」し、残業時間や有給休暇取得のアラート機能などもあるため、働き方の課題や、改善のための施策検討に役立てることができます。

就業規則について周知

就業規則を従業員に周知し、自社における働き方の基本的なルールを共有しましょう。労働基準法では、「使用者は、就業規則を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けることで、労働者に周知させなければならない」としています。これを現代の方法に置き換えると、社内の共用デスクトップからアクセスできるようにしたり、従業員全員に電子データで送ったりする方法が適切でしょう。

就業規則の見直し

就業規則は、法改正や社会環境の変化、運用上の不具合などが発生した際に、定期的に改定を行うことが大切です。コロナ禍の影響で、急遽テレワークを導入することになった企業のなかには、急いで就業規則の改定を行ったケースも少なくないでしょう。このように、社内ルールの根拠である就業規則をしっかりと管理することで、健全な労働環境を守ることができるのです。

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まとめ

法律違反や労働災害は、企業運営において重大なマイナスポイントになります。これらは、企業と管理者の日頃の遵法意識やモラルが大きく関係しています。つまり、すべてにおいて「就業管理」の可否に集約されるといっても過言ではありません。勤怠管理と同義に扱われることもある就業管理ですが、従業員の健康的な働き方と、企業の健全な運営を水際で守る重要な業務としての認識を深めましょう。

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