エイジハラスメントとは、年齢に基づく差別や嫌がらせのことを指します。具体例として、年配者に対して仕事を任せない、重要なプロジェクトから外すなどが挙げられます。また、年齢を理由に採用を拒否したり、昇進の機会を与えなかったりすることもエイジハラスメントに該当します。エイジハラスメントが起きると、労働環境が悪化し労働生産性が低下するだけでなく、企業イメージにも悪影響を及ぼします。従業員がエイジハラスメントやその他の問題を安全に報告できる仕組みを整え、エイジハラスメントを解消しましょう。
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エイジハラスメントとは
年齢や世代を理由に差別や嫌がらせをすることをエイジハラスメントと言います。ドラマで取り上げられたことにより注目されるようになりました。そもそもハラスメントとは、相手の嫌がることをして不快感を与える行為全般のことを意味します。エイジハラスメントは、年齢に関係なく誰もが加害者・被害者になり得る点が特徴です。被害者は深く傷ついているにもかかわらず、加害者には自覚がないことも少なくありません。年齢や世代に関する発言をしている自覚がある場合、特に注意する必要があるでしょう。
エイジハラスメントの具体例
以下の言動がエイジハラスメントに該当します。
- 「若いのだからもっと頑張れ」「もう歳なのですから無理しないでください」といった年齢に応じた仕事の振り分け
若いから仕事量を増やしたり、高齢だからといって難しい仕事から外したりする場合、エイジハラスメントと判断されます。年齢によって健康状態や家庭の事情は異なるものの、年齢だけを理由に仕事を振り分けることは、相手に不快感を与える可能性があるため不適切でしょう。 - 「もう30歳なのだから早く結婚しないと」「20代のうちに子供は作った方がいいよ」といった年齢と結婚、年齢と子供の有無を結びつけたような発言
結婚や出産は性別との関りも大きいため、エイジハラスメントだけでなく、セクハラにも該当します。世間話やコミュニケーションの一環として話す人もいますが、不快感を抱く人が多いことや、ハラスメントに該当することを認識した方が良いでしょう。 - 「これだからゆとり世代は」「最近の若者はみんな根性がない」など、特定の世代のことを一括りにして評価するような言動
「団塊の世代」「ゆとり世代」「就職氷河期世代」といった世代に言及する場合、ネガティブな発言になったり、決めつけた言い方になったりしがちです。特定の世代を指す言葉だけでも相手の受け取り方によってエイジハラスメントに該当する可能性があることに留意しなければなりません。
エイジハラスメントの原因
エイジハラスメントが起こる原因として「ハラスメントに対する認識の甘さ」が挙げられます。加害者側は悪気がなくても、ハラスメントは「受け取る側がどう感じるか」によって判断されるものであることを認識しなければなりません。また、ハラスメントであることを注意したとしても、「この程度でハラスメントなんて」と捉えるケースも多いのです。後ほど詳しく解説しますが、企業がエイジハラスメントを始めとするハラスメントに関する周知・注意喚起を徹底する必要があります。職場全体でハラスメントをしない・させない環境づくりを行うことが重要です。
エイジハラスメントの問題点
労働生産性が低下する
エイジハラスメントが常態化している場合、従業員のモチベーションが低下し、労働生産性が低下します。コミュニケーションを図ることを避けるようになり、情報共有も困難になるでしょう。被害者本人だけでなく、エイジハラスメントを見聞きしている周囲の従業員にもストレスを与え、職場全体の労働生産性が低下することにも留意しなければなりません。
離職につながるリスクがある
企業がエイジハラスメントに対して適切な対策を講じず改善が期待できない場合、従業員が離職するリスクがあります。新規で従業員を採用してもすぐに離職してしまうという悪循環に陥る可能性もあるのです。エイジハラスメントを行っている従業員がいる限り、定着率の向上を図ることは困難でしょう。
企業イメージにも悪影響を及ぼす
社内でエイジハラスメントが起きていることがメディアで公表された場合、企業イメージに悪影響を及ぼします。最近では、SNSや口コミサイトに書き込まれてしまうことも少なくありません。顧客や取引先の耳に入れば、今後商品やサービスの購入や取引を控える可能性もあります。また、離職率が高いと、ハラスメントだけでなく労働環境そのものが悪いイメージがつき、採用活動にも影響を及ぼすことになるでしょう。
エイジハラスメントの解消方法
エイジハラスメントへの注意喚起を行う
「エイジハラスメント」という言葉自体知らない人も少なくありません。社内でハラスメントの定義やハラスメントを行った場合の罰則について周知しましょう。就業規則にも明記することが重要です。定期的にハラスメントに関する教育・研修を行う必要もあります。企業全体でハラスメントをしない・させない環境づくりを徹底することが重要です。
社内調査を実施する
ハラスメントの実態を把握するためには、アンケート調査の実施が効果的です。匿名性が高いことから、顕在化していない問題を発見しやすい特徴があります。ハラスメントを受けていても、被害者は声を上げられずに我慢したり、退職したりしてしまうことがほとんどのため、匿名で発言できる場を提供することが大切です。従業員からアンケート調査を定期的に実施すれば、ハラスメントの抑止力にもなるでしょう。
相談体制を整備する
アンケートに加え、従業員が安心して情報提供や相談できる体制を整備しましょう。電話やメール、面談などさまざまな方法で相談を受けられるようにします。より相談しやすくなるように匿名で通報ができるホットラインの設置も必要です。弁護士や社会保険労務士、臨床心理士などの専門家と連携すれば、ハラスメント対策を強化できます。ハラスメント問題に対するアドバイスを専門家から受けることで、適切な対応をとることが可能です。
まとめ
今回は、エイジハラスメントの概要や問題点、解消方法について解説しました。企業はハラスメントに関する正しい知識やハラスメントを行った場合の処罰をすべての従業員に周知し、予防を徹底することが大切です。社内調査を定期的に実施して現状を把握することに加え、相談体制の整備も求められます。可能であれば専門家の指示を仰いで、ハラスメント対策を講じましょう。