労働基準法の定める休日のルールとは?さまざまな休日の定義や考え方について解説

2020年7月2日

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労働基準法によると、使用者は労働者に対して最低週に1回または4週間に4回の休日を設けることを義務付けています。このルールに照らし合わせると、年間休日の最低ラインは1日8時間勤務の場合で105日と計算されますが、120日程度の年間休日が一般的とされています。今回は、労働基準法における休日のルールや年間休日の最低ライン、労働時間が短い場合の休日数、違反した場合の罰則について解説していきます。

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労働基準法における休日のルール

労働基準法では休憩などと同様に休日・休暇に関する規定が盛り込まれています。ここではそれぞれの用語の意味を踏まえて、休日出勤時の割増賃金について理解しましょう。

休日と休暇

使用者である企業には労働者に一定の休日を与える義務があります。「仕事を休める日」という意味では休日と休暇は同じもののようにも思えますが、実は法的な扱いはそれぞれで異なります。
労働基準法は原則「毎週1日」または「4週間を通じて4日間」以上の休日を設けるよう定めています。これを「法定休日」と呼びますが、規定された法定休日はあくまでも最低限度のラインです。労働時間管理との兼ね合いもあり、実際にはこれに加え独自の「法定外休日」を設けることが通例となっています。
一方、休暇は「本来働かなければならない日の中で労働を免除される日」を指します。法律上は「年次有給休暇」「生理休暇」などの規定があり、多くの企業では労働者の申請により仕事を休む権利を行使する形で適用されています。

法定休暇と特別休暇

休暇には、法令が根拠となっている「法定休暇」と就業規則により企業が独自で定める「特別休暇」の2種類があります。例えば「年次有給休暇」は法定休暇であり、「有給」とあるとおり給与の支給義務が発生する休暇です。一方、「育児休暇」「介護休暇」「生理休暇」などは労働基準法に根拠があるものの企業が給与を支給する義務を負っているわけではなく、給与支給の有無は各企業の規定によるというのが実情です。
特別休暇も給与支給の有無は企業ごとに異なりますが、「リフレッシュ休暇」「結婚休暇」「バースデー休暇」など、主に労働者の仕事に対するモチベーションや企業イメージ向上を目的として設けられるという点で異なります。企業によっては「アニバーサリー休暇」「失恋休暇」など、珍しい特別休暇を設けている企業も存在します。こうした福利厚生によって競合企業との差別化を図ることで、優秀な人材の獲得・離職率低下を実現することもできるでしょう。

振替休日と代休

「振替休日」と「代休」はいずれも休日出勤に関わる制度です。具体的には、事前手続きによってあらかじめ休日だった日を出勤日とし、代わりに他の出勤日を休日へと振り替えることを振替休日といいます。これに対し、休日出勤が実施された後から代わりに休みを与えるものが代休です。
両者は一見すると同じもののようにも思えますが、賃金率が大きく変わってきます。振替休日の場合は通常の出勤日と同様に扱われるため、使用者である企業は労働者に対して割増賃金を支払う必要はありません。しかし後者では後から代休を与えたとしても「手続きなしに元々休日であった日に働かせた」という事実は変わらないため、その日が法定休日であった場合には割増賃金を支払うことになります。

休日出勤時の割増賃金

企業が就業規則に規定した休日に労働者を働かせることを「休日出勤」と呼びます。つまり平日を出勤日、土日・祝日を休日と規定している場合であれば、土日・祝日に働いた日を休日出勤として扱うことになります。しかし同じ休日出勤でも、企業が独自に定める「法定外休日」と、必ず与えなければならない「法定休日」とで賃金率が異なる点に注意が必要です。
労働基準法上の使用者にあたる企業では、就業規則で労働者の休日に関して規定がなされています。なかでも週に複数の休日がある場合には、どの日が法定休日にあたるのかを就業規則によって指定されているのが通例です。
法定外休日の休日出勤では、その日の賃金は通常の出勤日と同様の賃金率で計算されます。しかし指定された法定休日に休日出勤を行った場合には、通常の1.35倍の賃金率で計算された割増賃金で給与を支払わなければなりません。また法定休日に休日出勤を行った場合には、同じ週のいずれかの日で休日を振り替えるか、休日数が「4週間を通じて4日間」となるよう代休での調整が必要です。

法定休日や時間外の労働には36協定の締結が必要

法定休日に従業員を労働させる場合、36協定の締結と管轄の労働基準監督署へ届出を行わなくてはなりません。そもそも36協定とは「時間外労働・休日労働に関する協定届」が正式名称ですが、労働基準法第36条に関する取り決めなので36協定と呼ばれています。
労働基準法では「1日8時間・1週40時間以内」という法定労働時間が定められており、この時間を超過して発生する残業や休日出勤には、例外としてのルールである36協定の締結が必要です。なお、法定休日に労働させる場合も同様で、毎週少なくても週に1回、4週間に4回以上の休みを与えなければなりません。
もし、36協定を締結せずに残業や休日出勤を行ってしまうと、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科される恐れがあります。時間外労働の発生や休日出勤が想定される場合には、忘れずに36協定を締結しましょう。

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年間休日の最低ライン

年間休日は「毎週1日」または「4週間を通じて4日間」が最低ラインです。労働基準法で定められた「法定休日」がこれにあたり1日8時間勤務の場合で105日となりますが、多くの企業が週休2日制を採用して年間休日を120日前後としています。
計算上の最低ラインと実態とが15日も異なる大きな要因は、労働基準法第36条による労働時間規制です。「1日8時間・週40時間まで」とする法定労働時間を超えて労働者を働かせないように調整するとなると、雇用契約上の所定労働時間が1日8時間である場合には、週5日の労働で上限の40時間へ到達してしまいます。このため企業は独自に「法定外休日」を設け、労働者の労働時間管理をする形で年間休日数を増やしているのです。

労働時間が短い場合の休日数

労働基準法第35条の規定である「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」「前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない」に照らし合わせれば、毎週1回の「法定休日」を与えていれば法律を遵守しているということになります。つまり1日の労働時間が短い場合には独自に「法定外休日」を設ける必要がなくなるため、年間休日数は少なくなります。
1年は約52週間で法定休日は「毎週1回」で構わないので、最低限度の年間休日数は52日ということになります。仮に労働者の所定労働時間が1日6時間30分であった場合、6日間勤務したとしても週の労働時間は39時間です。労働基準法第36条にある「1日8時間・週40時間まで」とする法定労働時間の範囲内となるため、残りの1日を法定休日として労働者へ与えていれば罰則の対象とはなりません。

違反した場合の罰則

「法定休日」を労働者へ与えずに働かせ「法定休日の付与義務違反」を認定された企業には、労働基準法第119条に規定されている「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課されます。「時間外・休日及び深夜の割増賃金支払い義務」に違反した場合も同様です。
労働基準法遵守の基本は「管理者・現場リーダーに対する労働基準法禁止行為の周知徹底」です。そのためには、「どんな行為が法に触れてしまうのか」「法の範囲内で業務を効率的に回していくためにはどのような施策が可能なのか」といった点を常日頃から具体的に分かりやすく指導しておく必要があります。
また、仮に労働基準監督官による調査を受けたとしても、自社の労務管理改善の好機とポジティブに捉えましょう。それまでは気づかなかった不備を発見したり、より働きやすい職場環境実現の新たなきっかけとなったりする可能性も十分にあり得ます。立入調査へ積極的に協力するとともに、労務管理改善に関するアドバイスを能動的に得ていく姿勢を示すことが何より大切です。

労働基準法の法改正について

労働基準法の法改正についても整理しておきましょう。
労働基準法は改正が定期的に行われており、昨今では働き方改革の推進を実現するために内容が見直されました。法改正の内容ですが、既に対応が必要な項目と、これから施行される項目に分けられます。なお、既に2019年に施行された労働基準法の改正内容は以下の通りです。

  • 時間外労働に上限設定
  • 有給休暇が年5日の取得義務化
  • 高度プロフェッショナル制度創設
  • フレックスタイム制の労働時間の清算期間変更

次に、2023年4月から施行となる改正内容ですが、中小企業の場合でも時間外労働が60時間以上であれば割増率が50%となります。今までは中小企業は猶予の対象とされていましたが、2023年4月からは大企業と同じ扱いに変更されるので注意しましょう。

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まとめ

労働基準法第35条では、使用者は労働者に対して最低「毎週1回」または「4週間に4回」の「法定休日」を与えなければならないとしています。この規定によれば、年間休日の最低ラインは1日8時間労働の場合で105日と計算されますが、労働時間管理との兼ね合いもあり多くの企業では「法定外休日」を独自に設け、年間休日数を120日前後としています。法の定めに基づいた労務管理を適切に行うことで職場環境改善・生産性向上を促し、より働きやすい職場環境の整備を進めていきましょう。

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