労働基準法が定める夜勤の休憩・休日の考え方を解説します!

2020年6月8日


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労働基準法では、夜勤の労働時間や休日に関するルールについても詳細に定められています。特に、法定休日は午前0時から午後12時までを指す暦日で規定されていて、夜勤の場合には例外的な取り扱いが生じるので注意しましょう。
今回は、暦日の定義と夜勤における休憩・休日の考え方、賃金の計算方法、夜勤が制限される労働者の対象について解説していきます。

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暦日の定義

「暦日(れきじつ)」は暦上の1日を指します。労働基準法上では勤務時間の「1日」について特に取り決めがないため、原則「午前0時から午後12時までの24時間とする」との行政解釈がなされています。ただし日付を超えて勤務が2暦日にまたがる場合には、たとえ異なる暦日であっても「1勤務」として扱われ、始業日の労働としてカウントされます。例えば4月1日午後6時から翌朝6時までの勤務であれば始業時刻の属する4月1日の1勤務として取り扱い、12時間労働として処理されることになります。

夜勤中の休憩と休日の考え方

労働基準法第三十四条・第三十五条には夜勤中の休憩・休日に関する規定が定められています。休憩については「労働時間が6時間以上8時間以下であれば少なくとも45分間、8時間を超える場合には少なくとも1時間を労働時間の中で与えなければならない」とあり、この点は日勤・夜勤ともに同じです。
一方、休日については夜勤勤務者のみ「夜勤明け」の日があります。誤解されることの多い夜勤明けですが、この日を法定休日として翌日から労働者を出勤させることは認められていません。そのため夜勤勤務者は夜勤明けの翌日が法定休日となり、翌々日の午前0時から出勤が可能となります。

労働基準法における割増賃金について

夜勤勤務を検討する際には、労働基準法にある時間外労働・深夜労働・休日労働の定義を理解し、割増賃金に関してのルールを知っておく必要があります。

時間外労働の割増賃金

労働基準法で定めた法定労働時間は、原則として1日8時間・1週間40時間までの労働時間をいいます。法定労働時間を超えた労働を、労働基準法では「時間外労働」と定義しています。一般的には残業とよばれ、割増賃金の対象になります。時間外労働における賃金の割増率は25%です。

深夜労働の割増賃金

労働基準法で定めた「深夜労働」は、原則として午後10時から翌日午前5時までの間における労働のことをいいます。その時間帯の夜勤は割増賃金の対象となり、賃金の割増率は25%です。また夜勤で残業する場合、時間帯によっては時間外労働25%に深夜労働25%がプラスされ、50%の割増賃金となるので注意が必要です。

休日労働の割増賃金

労働基準法では、労働者に休日を1週間に1回あるいは4週間に4日以上与えるよう法定休日が定められています。この法定休日に労働すると「休日労働」となり、割増賃金の対象となります。休日労働における賃金の割増率は35%です。

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賃金の計算方法

賃金の計算方法に関する規定は、労働基準法第三十七条に明記されています。原則として午後10時から午前5時までの深夜労働については、通常労働時間の賃金計算額の25%以上の率で計算した「割増賃金」を使用者(雇用主)から労働者へ支払わなければなりません。
また、割増賃金は重複して発生することもあります。同法第三十二条が定めた法定労働を超える勤務を夜勤で行う場合には、25%+25%で合計50%以上、休日労働を夜勤で行う場合には35%+25%で合計60%以上の割増賃金を支払う必要があります。なお、割増賃金の基礎となる金額には、家族手当などの各種手当は含まれません。この点とあわせて、賃金の計算を行う際には最新の注意を払う必要があります。

夜勤に関する規定や制限

18歳以下の年少者に対する深夜労働の制限

労働基準法では、16歳以上18歳未満を「年少者」、15歳以下を「児童」と区分して労働に関する規定を設けています。
労働基準法第五十六条には「満15歳以下の児童は特例を除き、原則使用してはならない」、また同法六十一条には「16歳以上18歳未満の年少者については、原則午後10時から午前5時までの間使用してはならない」という規定があります。ただし、満16歳以上の男子に限り日勤・夜勤交替制での深夜労働が認められているほか、災害などの非常時には例外的に労働基準監督署の許可を得たうえでの労働も可能です。
このように、未成年者の労働に関しては、健康や福祉の確保といった観点からさまざまな制限が存在します。18歳未満の年少者を22時から翌朝5時の間に夜勤で働かせると、使用者には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。このため、多くの企業では面接時に身分証明書による年齢証明が求められます。

妊産婦の労働者への配慮義務

1999年の労働基準法改正により、雇用機会均等の観点から男女を問わず夜勤業務を行うことができるようになりました。しかし、使用者の妊産婦に対する配慮義務に関する記載は原則として残されています。
「妊産婦」は「妊娠中および産後1年以内の女性」を指し、同法第六十六条では「妊産婦の労働者が請求を行った場合、法定外労働・休日労働・深夜労働をさせてはならない」とする旨の規定が設けられています。また、妊産婦の女性を妊娠・出産・保育に有害となる業務へ従事させてはならず、休業に関しても配慮をしなければなりません。この「妊娠・出産・保育に有害となる業務」の具体例としては、重量物を取り扱う「倉庫内での搬入・搬出作業」などが挙げられます。
産前産後の休業に関しても規定があり、産前においては6週間(双子など多胎妊娠である場合には14週間)以内に出産する女性の休業請求が認められ、産後においては8週間を経過しない女性を就業させてはならないとの記載があります。ただし、産後6週間を経過した妊産婦が職場復帰を希望し、かつ医師が母体の健康上支障がないと認めた業務についてはこの限りではありません。

育児をしている労働者が夜勤の制限を請求した場合

1995年に制定された育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)第十九条には、「使用者(雇用主)は未就学児を養育する労働者が当該子を養育するために請求した場合、午後十時から午前五時までの深夜労働をさせてはならない」とする旨が記載されています。ただし、例えば深夜労働となる時間帯に家族や保育所などでの子どもの保育が可能な場合には、夜勤の制限を請求することはできません。また、こうした夜勤の免除請求を理由として、使用者が降格・解雇・雇止めといった取り扱いを労働者に対して行うことは、同法第二十条により禁じられています。
厚生労働大臣は、育児・介護休業法の規定に違反している使用者に対し、違反を是正するよう「勧告」を行います。この勧告を受けてもなお使用者が同法に従わなかった場合は、企業名が公表されます。さらに事実確認などの報告を求められて無視または虚偽の報告を行った場合には、20万円以下の罰金が課されることとなります。

家族介護を行う労働者が夜勤の制限を請求した場合

育児・介護休業法では、要介護状態にある家族の介護に関しても、育児規定から準用する形での規定が設けられています。「使用者(雇用主)は要介護状態にある家族の介護にあたる労働者が、家族を介護するために夜勤の制限を請求した場合、午後十時から午前五時までの深夜労働をさせてはならない」とする内容です。条件・罰則についても育児規定の準用となるため、例えば深夜労働となる時間帯に家族・介護職従事者による介護が行える場合においては、夜勤の制限を請求することはできません。
また、家族の介護を行う労働者が夜勤の免除請求を行ったことを理由に、使用者が降格・解雇・雇止めなどを行うことも、第二十条によって禁じられています。育児規定と同様に、厚生労働大臣による法違反是正の勧告が行われ、これが守られないときには企業名が公表されます。厚生労働大臣あるいは委任された各都道府県労働局長から、報告の求めを受けながら無視したり虚偽の報告を行ったりした場合にも、20万円以下の罰金が課されることとなります。

まとめ

コンビニエンスストアや飲食業界をはじめ、現代では24時間営業を行う企業が増えています。こうした流れの中で夜勤の勤怠管理を行うためには、暦日の数え方・賃金の計算方法・法律による規定など、多くの知識を駆使することが必要です。社員全員が健康に働ける環境を整備するように努め、健全な労務管理を目指しましょう。

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