バランススコアカード(BSC)とは、財務的な視点だけでなく、顧客・業務プロセス・学習と成長の3つの視点を含んだ業績評価手法のことを指します。まず財務の視点とは、株主、従業員やサプライヤーなどの利害関係者に対してどのような行動をして財務的に応えるかという視点です。続いて顧客の視点とは、顧客に対する行動に着目した視点です。財務視点・顧客視点の評価を向上させるために、社内の業務プロセスをどのように構築するかというのが業務プロセスの視点です。そして最後の視点が、経営戦略実現のために組織と人材の変化対応力や学習能力をどのように成長させるのかといった、学習と成長の視点です。BSCを設定し活用することで、これまで財務視点でのみ評価されていた業績や戦略を4つの視点から分析することができるため、企業のビジョンや業績をさらに可視化することが可能になります。
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バランススコアカード(BSC)とは
バランススコアカード(BSC)は多角的な視点から企業の業績や経営戦略を評価するフレームワークのことです。財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4つの視点から業績評価することで、財務的指標中心の業績管理手法の弱点を補う手法として誕生しました。これらの4つの視点はそれぞれが独立している訳ではありません。互いに影響を与え合いながら企業のビジョンと戦略の成功のために運用されます。バランススコアカードを有効に活用できれば、目標達成に向けて強化が必要な視点を客観的に判断することが可能です。
バランススコアカードが誕生した背景
バランススコアカードはコンサルティング会社社長のD・P・ノートン氏と、ハーバード大学教授のR・S・キャプラン氏によって提唱されました。バランススコアカードが生まれた背景には、高度化に伴って複雑化するアメリカのビジネス環境が挙げられます。こうした予測困難で先が見えない状況はVUCAと呼ばれ、日本でも叫ばれるようになりました。従来の財務指標中心の業績評価ではVUCAに対応しきれないため、バランススコアカードの活用が世界中で広がったのです。
バランススコアカードの4つの視点
財務
財務は企業の収益性・効率性・成長性などを評価する視点です。財務視点の主な評価指標の例を以下にまとめてみました。
- 売上高
- 営業利益
- 純利益
- 株主資本利益率
こうした財務の観点から評価することで、企業は収益性の向上・コスト削減・資産の有効活用などを実現できます。
顧客
企業が顧客に対してどのように行動すべきかを示す視点です。顧客の視点の主な評価指標は以下の通りです。
- 顧客満足度
- ブランド認知率
- 新規顧客獲得率
- リピート率
これらの評価指標は将来の収益に影響を与える要素です。新規顧客を獲得して市場シェアを拡大するためには、顧客視点を重視した取り組みを実施しましょう。
業務プロセス
業務プロセスは、企業のオペレーションの効率性・品質・イノベーションなどを評価する視点です。業務プロセスの視点の主な評価指標は以下の通りです。
- 人員稼働率
- クレーム件数
- 不良品率
- コスト削減率
優れた業務プロセスの確立はコスト削減や顧客満足度向上に貢献するだけでなく、イノベーション創出や競争優位性の確保にも重要なポイントです。
成長と学習
学習と成長は、企業の従業員の能力開発・組織の文化・情報システムなどを評価する視点です。成長と学習の視点の主な評価指標は以下の通りです。
- 従業員満足度
- 離職率
- イノベーション創出件数
- 情報システム利用率
成長と学習は中長期的な視点であるため、企業の将来性を可視化するために重要なポイントです。
バランススコアカードのメリット
ビジョンと戦略が明確になる
バランススコアカードを導入すれば、企業のビジョンと戦略を明確にできます。まず、バランススコアカードを作成する過程で、経営者や従業員が企業の目指すべき将来像であるビジョンを共有して理解を深めることが可能です。加えて、バランススコアカードの4つの視点に基づいて、具体的な戦略を策定することができます。ビジョンと戦略が明確になれば、共通の目標に向けて効率的に行動することが可能です。
継続的に経営改善できる
バランススコアカードを活用すれば継続的な経営改善も実施できます。バランススコアカードは一度きりの使用を想定しておらず、実践や検証を重ねながら継続的な活用が可能です。また、多角的な視点によって評価分析できるので、定期的に見直すことでタイムリーな経営改善を実施できます。もし、設定した指標を達成できない場合には、今の戦略や計画を修正して経営改善を図りましょう。
従業員の意識改革を進められる
バランススコアカードを導入して従業員の意識改革を推進しましょう。バランススコアカードを活用することで、従業員は企業の戦略やビジョンなどへの理解を深められます。バランススコアカードがあることで自身の業績がどのように組織全体の成長に寄与しているかを、明確に把握できるようになるのです。これにより、従業員は各々の業務においても企業戦略に関わっている意識を持てるようになり、組織の目標達成に向けて協力して行動できるようになります。
まとめ
バランススコアカードの4つの視点から、業績評価を進める企業が増えています。先行きが不透明なVUCA時代で生き残るためには、財務面だけでなく多角的な視点による分析が欠かせません。継続的な経営改善や従業員の意識改革を推進するためにも、バランススコアカードを活用してみてはいかがでしょうか。