万が一の自然災害に備えて、勤怠管理のルールを決めましょう!

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企業には従業員の安全を確保する「安全配慮義務」があるため、自然災害などの非常時に出社すべきかどうかの判断を下さなくてはなりません。こうした状況下での勤怠管理、出社判断、給与の有無などは企業が独自に定めることができ、就業規則に明記しておく必要があります。今回は、自然災害が起こった際の労働時間の取り扱いや、給与の処理、災害に備えて準備すべき実務について解説していきます。

安全配慮義務とは

安全配慮義務は労働契約法第5条によって定められた規定で、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働ができるよう、必要な配慮をするものとする」という内容になっています。たとえ企業が労働契約で定めていなかろうと従業員の安全に配慮する義務は生じますので、これを蔑ろにすれば法律違反となり、従業員から損害賠償等を求められることもありえます。機材や備品の管理からITシステムまで、業務を遂行する上で必要になる全てのものに関わりますので、日ごろから注意してきましょう。

勤怠管理と就業規則とは

従業員の安全を確保するためには、その行動を適切に管理する必要があります。その際に主な役割を担うのが、勤怠管理と就業規則です。

  • 勤怠管理

勤怠管理とは、従業員の勤務状況を把握することです。勤務開始から勤務終了まで、休憩時間、有給の取得の有無、時間外労働やみなし労働といった総労働量に関する管理を行いますが、近年では電子媒体やIT、勤怠管理システムといったツールによる効率化が図られています。なお、勤怠管理も安全配慮義務と同様に取り組みが強制されるもので、労働基準法第108条に「使用者は、事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省命令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない」と明記されています。

  • 就業規則

就業規則とは、その企業において就業員が就業する上での規則をまとめたものです。始業の仕方、終業の仕方、勤務の仕方、手続き、取り決め等を全般的に扱い、就業員が迷うことなく業務を遂行できる環境を整えるという役割も担います。安全配慮義務や勤怠管理が強制であるのに対して、こちらには条件があり、「常時10人以上の就業員が就業している」企業に限り作成が義務になります。とは言え、就業規則は企業の様々な面における活動を円滑に行うために就業員と企業双方にとって重要なものですので、自然災害のような非常時への対応を前もって決めておくという意味でも、企業の規模に関係なく用意しておく方が好ましいでしょう。

労働時間の取り扱い

自然災害の発生時、またはその発生が見込まれる際には、「従業員を出社させて通常通りに就業させるのか、させないのか」の判断がまず必要になります。通常通りに就業させる場合は、普段と同じような勤務がなされたとして労働時間も正常に扱われますが、安全配慮義務に注意しないと法律違反になりますので、慎重に判断する必要があります。通常通りに就業させない場合は、「出社してもらい可能な範囲で就業させるのか、出社させずに完全に就業させないのか」の選択をします。この際に、「企業側の落ち度があっての変更なのか、不可抗力による変更なのか」を必ず明確にしておきます。上記のような流れで判断を行い、労働時間の計算は従業員が実際に勤務した時間をそのまま扱います。そして、この上で活用できる制度に時間外労働があります。

  • 災害時等の時間外労働

労働基準法の諸項に基づき、緊急で不可抗力な災害等が発生した場合、企業は時間外労働や休日労働を従業員に課すことができます。これは事前に行政官庁に許可を得る必要がありますが、非常時は事後に速やかに届け出ることを条件に、許可に先んじて活用することが認められています。この例外措置によって対応した際は、出社させた分とは別に時間外労働や休日労働の労働時間として計上しましょう。

給与の処理

基本的な流れは労働時間の計算と変わりませんが、給与計算においては、「企業側の落ち度があっての変更なのか、不可抗力による変更なのか」が重要になります。もし企業の落ち度で従業員の就業を取りやめさせたのであれば、条件によっては、企業は従業員の労働時間分以上の給与を支払う必要が生じますが、不可抗力であれば労働時間分を支払うだけで済みます。

企業の落ち度が理由で就業させない場合

この際は、「出社させたか、させなかったか」「労働があったか、なかったか」にかかわらず、労働基準法26条により「使用者の責めに帰すべき事由」による休業について、企業は従業員に対して休業手当として平均賃金の100分の60以上を支払うことが義務付けられています。もし部分的に労働させたとして平均賃金の100分の60の値に満たない勤務だったとしても、必ず100分の60以上の給与を支払うことになります。

不可抗力が理由で就業させない場合

ここで言う不可抗力とは、企業の活動外から発生した事象で、企業が通常通りに最大限の注意を払っても回避することができない状況を指します。具体的には、交通機関の運転見合わせによって出社が不可能になることなどが挙げられます。

  • 交通機関の危険等を理由に出社も労働もさせない場合

不可抗力とみなせるので、基本的には給与を支払う必要はありません。ただし、出社させたものの帰宅困難で早退させた、交通機関の安全を優先して遅刻しての出社としたといった場合は、その企業の状況から支払いの必要性を随時判断する必要があります。もし就業不可能な状況で帰宅させたなどであれば支払い義務は生じませんが、従業員により対応がまちまちになってしまって出社が困難でない者もいたり、勤務も曖昧な状態であったりしたならば、休業と告知したとしても支払う方が無難でしょう。

災害に備えて準備すべき実務

こうした災害への対応は企業毎に定めることですので、裏を返せば、準備をしておく責任は企業の側が負うことになります。安全配慮義務を怠ったなどと言われることのないよう、日頃から用意しておく必要があります。

就業規則と取り決めの整備

災害が生じた場合に備えて、まずは就業規則とそれを補う取り決めを作成しておきます。災害時の休暇取得制度を定めておく、テレワークの活用など柔軟な勤務形態を整備して非常時にも業務が回せるようにしておくといった就業体制に関わることはもちろん、誰の判断を仰ぐのか、勤怠管理はどう扱うのか、連絡網はどうしておくのかといった細かい手順面の取り決めも重要です。

個別の災害に対応するための認識共有

上記を踏まえ、実際に災害が来た際の行動を円滑にするための指示が必要になります。以下のような事項を明確にし、社内に周知しましょう。

  • 何を出社の判断基準とするのか(何時間前の天気予報なのか、どの列車の運行状況なのか等)
  • 遅刻や早退はどのような場合に認められ、その際の証明手段は何か
  • 企業は何をもって休業の命令を下すのか
  • 災害を蒙ってしまった場合はどのように対応し、誰に伝え、どこに行くのか
  • 応急セットや備蓄食料といった備品の保管場所

まとめ

激甚な自然災害が毎年のように起きている昨今では、必要な対応を怠る企業は非難を浴びせられる可能性が高くなっています。いつ来るかわからない事柄についてリソースを割くのは面倒で、特に就業規則の整備等は煩雑なので忌避感を覚える人もいるかもしれませんが、非常に重要なことですので時間を作ってでも取り組みましょう。

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