外国人技能実習生の労働時間の上限と企業が気をつけるポイントを解説

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2017年より外国人技能実習機構が設立され、外国人がより良い環境で働くことができるよう努められています。労働基準関連法違反を犯さないために、外国人技能実習生を受け入れる企業においては、適切な労働時間管理をしましょう。今回は外国人技能実習生の労働時間の上限と、企業が注意するポイント、仮に外国人技能実習生が労働時間を超えてしまった場合の企業への罰則や対応について解説します。

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外国人技能実習制度の基礎知識

外国人技能実習制度とは

外国人技能実習制度は、開発途上国の人材を育成するための制度です。母国では取得困難な技能を日本の企業で習得してもらい、母国の経済発展に活かしてもらうことを目的としています。具体的には、日本の企業や個人事業主などの実習実施者と雇用関係を結び、最長5年の期間で技能の習得に励みます。
外国人技能実習制度は、1960年代後半頃に海外の現地法人などで行われていた研修制度を元として、1993年に制度化されました。制度の目的は実習制度が創設されてから一貫しており、基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整手段として行われてはならない」と定めています。

外国人技能実習生の受け入れ方式

外国人技能実習生の受け入れ方式には、企業単独型と団体監理型の2種類あります。一般的には、団体管理型で受け入れる企業が多いようです。

  • 企業単独型
  • 実習実施者が、海外の現地法人や合弁企業、取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式です。特徴として、監理団体を経由せず、企業が直接海外の支店や関連企業などから技能実習生を受け入れられることが挙げられます。

  • 団体監理型
  • 事業協同組合や商工会などの、営利を目的としない団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業の実習実施者が実習を行う方式です。海外の企業とのつながりを持たなくても、技能実習生の受け入れが可能です。また、入出国に関連する事務手続きや日本語講習実施など、監理団体のさまざまなサポートを受けられるというメリットもあります。

技能実習制度の区分

技能実習制度は、入国後の期間によって区分けされています。それぞれの区分から移行するためには、技能試験に合格しなければなりません。

  • 技能実習1号
  • 入国後1年目の方の技能習得活動を指す区分です。実習可能な対象職種に制限はありませんが、原則2ヶ月間は座学の講習を受けなければなりません。
    実習修了時に基礎級の学科・実技試験に合格し、入国管理局の審査を通過すると、技能実習2号の在留資格を得られます。

  • 技能実習2号
  • 入国後2・3年目の方の技能習熟活動を指す区分です。技能実習1号から2号への移行が認められている移行対象職種は、2021年3月16日時点で85職種156作業あります。
    技能実習2号から3号へと移行するためには、3級の技能試験に合格しなければなりません。なお、

  • 技能実習3号
  • 入国後4・5年目の方の技能熟達活動を指す区分です。技能実習2号から3号への移行が認められている移行対象職種は、2021年3月16日時点で77職種135作業あります。対象企業は、技能を習得させる能力が高い水準を満たしているとして、外国人技能実習機構から認定を受けた企業に限られています。
    技能実習3号修了までには、2級の技能試験に合格しなければなりません。

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外国人技能実習生の労働時間管理のポイント

労働関係法令を適用して考える

ほかの一般労働者と同じように、外国人技能実習生にも労働基準法・最低賃金法・雇用保険法などが適用されます。例えば、労働基準法第3条では、労働条件面での国籍による差別を禁止しており、「外国人だから」といった理由で、低い賃金で雇用することは許されません。外国人技能実習生を受け入れる企業は、適正な労働条件を確保するとともに、心身ともに健康で安心して働ける快適な職場環境を提供する必要があります。

残業する場合は36協定が必要

外国人技能実習生が法定労働時間を超えて残業する場合、36協定の締結が必要です。36協定とは、労働基準法36条にもとづく労使協定を指します。協定の締結後に所轄の労働基準監督署へ届け出なければ、企業は外国人技能実習生を含めた労働者に残業を命じてはいけません。法定労働時間は1⽇8時間・1週40時間以内と決められているため、この時間を超えた勤務が必要な場合は必ず事前に届け出ましょう。

労働時間の上限は守らなければならない

前述したように、残業を求める場合は36協定の締結が必要です。そのうえで、時間外の労働時間には上限が設けられているため注意が必要です。
時間外労働の上限は月45時間・年360時間とされており、臨時的な特別の理由がない限りはこの上限を超えてはいけません。例外として認められ得る理由としては、「決算業務」「ボーナス商戦に伴う業務の繁忙期」「納期の逼迫への対応」などが例として挙げられます。
なお、上記のような理由であっても、時間外労働では以下のルールを守らなければなりません。

  • 時間外労働が年720時間以内である
  • 時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満である
  • 時間外労働と休⽇労働の合計の2~6ヶ月平均がすべて80時間以内である
  • 時間外労働が⽉45時間を超えられるのは年6ヶ月までである

外国人技能実習生が労働時間を超えた場合

企業への罰則

36協定を締結せずに外国人技能実習生に時間外労働を行わせた場合や、時間外労働の上限を超過して働かせた場合は、企業は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる恐れがあります。不適切な労働時間管理は、外国人技能実習生の健康被害や生産性の低下につながるだけでなく、企業イメージにも悪影響を及ぼしかねないため、企業は軽視せずに対応しなければなりません。

企業の対策方法

技能実習生が適切な労働時間を超えて働くことのないように、企業はあらかじめ対策をとる必要があります。具体的には、以下のようなポイントに注意して労働時間を調整しましょう。

  • 自己申告制導入時には十分な説明を実施する
  • 技能実習生を受け入れる企業の業務形態によっては、勤怠システムでの管理が難しい場合もあります。そのような場合、自己申告による労働時間の把握を行うことがありますが、申告方法などの説明をする際は配慮が必要です。技能実習生のなかには、日本語を十分に理解できない方もいるかもしれません。母国語での補足など、実習生が十分に理解できるようなサポートを提供しましょう。

  • 法令違反がないかを定期的にチェックする
  • 技能実習生の実際の労働時間を把握しておくことも大切です。特に、先ほどご紹介したような自己申告制であれば、記録の確認だけで終わらせずに、現場の声を聞くなどして実態と乖離がないか確認しましょう。外国人技能実習生の労働時間が実際には長すぎることが判明した場合は、労働環境の改善や休暇取得を促すなど、できるだけ早く対応しましょう。

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まとめ

外国人技能実習生を受け入れる制度は、社会貢献性が高い制度として日本に定着しつつあります。企業にとっても、技術力の強化や人材不足の補填など、当該制度から恩恵を受けている面は少なくありません。今後も外国人技能実習制度を運用・発展させるにあたり、各企業が外国人技能実習生を受け入れる際は、適切な労働時間の管理を心掛けましょう。

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