ふるさとテレワークとは?コロナ禍で広がる新たな働き方について解説


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ふるさとテレワークとは、総務省が推奨する所属オフィスから離れた地方のサテライトオフィスなどにおいてテレワークにより都市部の仕事を行う働き方のことです。ふるさとテレワークが活性化することで、集中した都市部の人口を地方に流入させ、地方創生の実現に貢献させるという狙いがあります。今回はふるさとテレワークとはなにか、メリット・デメリット、ふるさとテレワークを成功させるための注意点、ふるさとテレワークの実例を紹介します。

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ふるさとテレワークが注目されている

コロナ禍による人口動態の変化

わが国では、政治・経済・文化などの、社会における資本・資源・活動が、東京都区部や、南関東に集中している状況にあります。この傾向は戦前から始まっており、特に、高度経済成長期やバブル期など、経済的な発展期には、地方から東京への人口流入は盛んになるようです。
近年でも、東京における転入超過の状況は相変わらず続いていましたが、コロナ禍をきっかけにこの状況に変化が起こっています。東京都の人口は、コロナ禍の最中であっても前年比増加を維持していたものの、増加幅は減少傾向にありました。その後、2021年3月1日時点には前年同月比で減少に転じており、現在まで減少率は拡大し続けているのです。これまで、国や各自治体による地方創生の取り組みをもってしても変えることのできなかった東京一極集中型の人口流入の動向が、今変わろうとしているのです。

ふるさとテレワークとは

このようななか、注目されているのがふるさとテレワークです。東京への人口流入状況が緩和されつつある現在は、人口減少に悩む地方の課題を解決するチャンスといえます。ふるさとテレワークによって、東京一極集中型による人口過密を防ぎ、地方活性化の実現が期待されているのです。
具体的には、地方自治体と地元企業が協力して都市部の企業を誘致し、地方にサテライトオフィスなどの拠点を設けてもらいます。テレワークができる環境が整えられているため、従業員は地方の良さを享受しながら、企業で働き続けられるという仕組みです。

ふるさとテレワークのメリット

  • 人材の確保
  • 少子高齢化により若い働き手が減っていくなか、近い将来、男女ともに40~50歳代が介護により離職するケースが増加すると予想されています。しかし、両親の住む地元で働き続ける環境が整っていれば、介護や看護と仕事を両立できる可能性が広がります。企業にとって重要な役割を担う40~50歳代の人材を失う心配がなくなるでしょう。また、2015年の男女共同参画白書によれば、働きたいのに働けずにいる女性は30~40歳前後に最も多く、全体では約303万人にも及ぶことが示されています。その理由の多くは、近くに働く場所がない、知識や能力に合った仕事がない、勤務時間や賃金の希望に合った仕事がない、といったものでした。都市部企業による、地方人材の登用の仕組みをつくることで、潜在的な人材の発掘にもつながるはずです。

  • ワークライフバランスの向上
  • 地方では、都市部ほど住宅価格が高くないため、通勤に便利な住まいを選びやすい傾向があります。通勤時間の負担がなくなることで、ストレス軽減やプライベートに充てられる時間が増加するでしょう。家族と一緒に過ごす時間が大切にできるなど、従業員のワークライフバランスの向上につながります。

  • 地方の活性化
  • 地方において雇用を創出するためには、企業を誘致する必要がありました。しかし、企業全体の引越しや支社の設立となると、大きなお金と時間がかかります。その点、ふるさとテレワークでは、個人の働く環境のみを整えれば良いため、自治体と企業双方の負担は最小限で済みます。また、Uターン希望者などが主な対象になるため、個人に対する誘致活動も必要ありません。

ふるさとテレワークのデメリット

  • セキュリティ対策
  • テレワーク全般にいえることですが、社外での業務となるため、社内システムへのアクセス制限など、セキュリティ対策はしっかりと行う必要があります。また、地方自治体が設置したコワーキングスペースなどで複数の企業が業務を行う場合もあるため、IT機器の管理だけではなく、覗き見対策や情報媒体の管理、保管方法などにも対策が必要でしょう。

  • コミュニケーション対策
  • 社内においては、従業員それぞれが遠く離れた場所で勤務するため、コミュニケーションが希薄になりがちです。Web会議ツールなどを使用して、コミュニケーションの機会を積極的につくりましょう。

ふるさとテレワーク成功のためのポイント

安定した通信環境の整備

地方においても、企業や地方自治体が設置したオフィススペースならば、インターネット回線に問題があることはないと思われますが、在宅勤務などの場合、通信環境が良くないと業務に支障が出る可能性があります。現在では、多くの企業で業務用に光回線を推奨していますが、場所によっては光回線が通っていなかったり、ほかの回線を利用していたりする場合もあるでしょう。地方で在宅勤務を行おうとする従業員には、インターネット回線や機器類を準備し、ストレスなく仕事をできる通信環境を整備する必要があります。

ICTツールの活用

テレワーク全般に起こりやすい問題として、従業員の孤独感や人事評価への不安、企業側の勤怠管理の難しさなどが挙げられます。ICTツールを活用し、これらの課題を解決しましょう。例えば、Web会議やチャットシステムなどのコミュニケーションツールによって部署内の連絡を密に行えば、お互いの業務の進捗状況を知ることができます。また、勤怠管理ツールでは、働き方に合った方法で出退勤を把握できるため、長時間勤務や中抜け時間なども管理することも可能です。

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ふるさとテレワークの成功事例

北海道ニセコ町

リゾート地として有名な北海道ニセコ町では、大正から昭和にかけてでんぷん製造が盛んにおこなわれていました。町では、当時の遺産であるでんぷん工場や倉庫を町の交流スペースとして整備する計画を進めていました。そのようななかで、担当者がふるさとテレワーク推進事業について知り、ニセコのリゾートで長期滞在をしてリモートワークを行う観光客が多いことに思い至ったことが、ふるさとテレワーク事業参入のきっかけです。
元倉庫の構造を活用し、開放感あふれるオフィススペース設立に成功しました。無料で使用できる専用のWi-Fiや複合機や、カフェも併設した交流スペースを設置し、2階は高速大容量のWi-Fiなどのインフラを整えた有料のワークスペースとしました。現在では、町民だけではなく一般企業のさまざまなイベントなども行われ、当初の目的通り豊かな交流の場となっています。

千葉県旭市

2016年度のふるさとテレワーク推進事業を活用し、千葉県旭市との共同事業として飯岡地区に「飯岡サテライトオフィス」を開設したのは、東京の茅場町に本社のある株式会社ネクステージです。ネクステージは総合システム開発会社ですが、東京で技術者の募集をしてもなかなか人が集まらないという課題を抱えていました。地方へ移住した人や移住する予定のある人が働く環境を整備することで、これらの課題を解決できないか施策を検討していました。そこで辿り着いたのが、ふるさとテレワーク事業による飯岡サテライトオフィスの設立です。オフィスは古民家を利用しており、サテライトオフィスに必要な設備を完備しています。例えばWeb会議のためのシステムや、本社とサテライトオフィスで情報を共有できるグループウェアを導入しています。VPNを導入するなど、セキュリティ対策にも万全を期しています。
旭市は、九十九里浜に面しているため、釣りやサーフィンなどを楽しめるほか、農地に適している土地でもあるため、野菜作りが楽しめます。豊かな余暇を過ごしながら働くことができるため、ワークライフバランスの向上にも効果的です。ゆくゆくは、地元企業との交流を深め、地方のIT化推進の拠点となりたいと考えているようです。

高知県土佐町

高知県では人口減少と高齢化が深刻な問題となっており、県も人材確保を最重要施策として掲げています。しかし、地域の努力だけで多くの雇用を生むことは難しく、テレワークを利用した雇用創出計画に乗り出しました。まず、すでに移住者を迎えることに成功していた嶺北と呼ばれる地域である、大豊町、土佐町、本山町、大川村の4町村に、官民一体となってテレワークのインフラ整備を推進しました。2016年度のふるさとテレワーク推進事業に採択されてからは、より一層、テレワークを活用した移住者の獲得に力を入れています。
土佐町では、廃校になった小学校を利用した「シェアオフィス相川」を設立しました。ITインフラも整っており、複数の企業が利用しています。そのうちの1社は、人材サービスや求人情報サイトの運営を手掛ける株式会社リブリッジです。人材不足の東京とは別に拠点を設けることで、多くの優秀な人材と出会えたため、ビジネスにおいても大きなメリットを感じています。

まとめ

ICT技術の発展を背景に、「良い条件の仕事に就くためには、都市部に住まなければならない」という常識は崩されつつあります。また、コロナ禍でテレワークが普及したことをきっかけに、東京に固執しなければならない理由は消滅しつつあるといって良いでしょう。多様な人材・働き方を認めていく現代においては、ふるさとテレワークは重要な選択肢の一つになるはずです。ふるさとテレワークの働き方を自社にあてはめ、享受できるメリットについて考えてみてはいかがでしょうか。

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