社内ベンチャーとは、大企業などの既存の組織内で独立した新規事業を立ち上げる仕組みのことを指します。社内ベンチャーを活用することで、既存事業とは異なる収益源を確保できるため、企業全体の利益拡大やリスク分散につながります。一方で、新規事業には常に失敗のリスクが伴います。予想以上の市場の反応が得られない場合、時間や資金の無駄になり、企業全体の業績に悪影響を及ぼすことがあるため、社内ベンチャーを導入する際は慎重な準備が必要です。今回は、社内ベンチャーの意味、導入するメリットやデメリットなどについて解説します。
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社内ベンチャーとは
社内ベンチャーとは社内起業とも呼ばれており、新規事業の立ち上げのために同一の企業内に設置される独立した組織を指す言葉です。社内ベンチャーには母体企業があるため、既存事業で培ったノウハウを活用できる強みがあります。また、母体企業に属しながら別組織として動けるので、スピード感があるだけでなくリスクを抑えて新事業に取り組むことが可能です。
スタートアップとの違い
スタートアップとは新規事業を立ち上げる企業や個人を指す言葉です。母体企業を持つ社内ベンチャーとは異なり、スタートアップは既存の企業とは完全な別会社で資金や信用を一から獲得する必要があります。どちらも新しい事業を創出する点では共通していますが、組織の形態が大きく異なるので混同しないようにしましょう。
子会社との違い
子会社とは親会社が株式の50%超を保有している企業のことです。子会社は親会社の支配下にあり、管理をされている企業を指します。一方、社内ベンチャーは同一の企業内に設置される独立した組織です。社内ベンチャーの新規事業が軌道に乗った場合には、分社化して子会社として事業を継続するケースが目立ちます。新しい事業を展開する手段として活用される点は共通していますが、組織の位置付けが大きく異なるので注意しましょう。
社内ベンチャーのメリット・デメリット
メリット1:利益を拡大できる
社内ベンチャーで新規事業を立ち上げれば、企業の利益を拡大できる可能性が高まります。新規事業で新たな挑戦を推進できれば、新たなビジネスチャンスや顧客ニーズの変化に迅速に応えられるかもしれません。同時にライバル企業との差別化を図れれば、競争優位性を獲得することも可能です。また、既存事業との連携にも柔軟に対応できるので、新たな収益源の確保が十分に期待できます。
メリット2:リスク分散につながる
社内ベンチャーはリスク分散につながるメリットもあります。企業が既存事業だけに取り組んでいる場合だと、市場や社会の変化に柔軟に対応することは簡単ではありません。事業を多角化して幅広い収入源を確保しておかないと、状況によっては顧客離れの発生も想定されます。そこで、社内ベンチャーで新たな事業に参入できれば、事業ポートフォリオの多様化が可能です。既存事業だけに依存せずに済み、効果的にリスク分散できます。
メリット3:従業員のモチベーションが向上する
社内ベンチャーに取り組めば、従業員のモチベーション向上も期待できます。新規事業への挑戦は苦労や課題も多いですが、さまざまな経験を積んで人材の急激な成長を促すことが可能です。従来とは異なる環境と役割で新しい仕事に取り組めるので、従業員にとって新たな刺激となるだけでなく労働意欲も高まります。従業員のアイデアやチャレンジを応援できる環境を整備できれば、さらなるモチベーション向上につながるでしょう。
デメリット:新規事業は失敗する恐れがある
社内ベンチャーで立ち上げた新規事業は、失敗してしまうリスクがある点は留意しましょう。新規事業に挑戦するという性質から、失敗する可能性をゼロにすることはできません。もし、新規事業で失敗してしまうと、企業には大きな損失が発生する恐れがあります。また、新規事業の仕事がなくなればリストラの決断も迫られるため、企業イメージの悪化にもつながる危険性も考慮しなくてはなりません。
社内ベンチャーで注意したいポイント
明確な目標を定める
社内ベンチャーは以下のような明確な目標を定めてスタートさせましょう。
- 利益を拡大する
- 新規顧客を獲得する
- 既存事業を活性化する
- 企業文化を変革する
- 人材を育成する
こうした明確な目標が設定されていない状態だと、社内ベンチャーを立ち上げた仲間はどこを目指していいかわかりません。達成したい具体的な数値を設定するなど工夫して、チームが一丸となって動くための明確な目標を設定しましょう。
安心して挑戦できる環境を整える
社内ベンチャーで働く方が安心して挑戦できる環境を整えましょう。社内ベンチャーは母体企業内の独立した組織ですが、新事業は必ず成功するとは限りません。万が一、新しい取り組みが失敗した場合に備えて、セーフティーネットを準備しておく必要があります。セーフティーネットの具体例を以下にまとめてみました。
- 報酬を決めておく
- 事業が失敗した際の対応を考えておく
- サポートする人材を準備する
こうしたセーフティーネットの準備があると、社内ベンチャーのメンバーは安心して事業に取り組めます。社内ベンチャーで働く方の立場に立って、不安を解消できるセーフティーネットを用意しましょう。
段階的に資金を投入する
社内ベンチャーには段階的に資金を投入しましょう。社内ベンチャーの新規事業が軌道に乗るまでには時間が必要です。そのため、新規事業に最初から資金を投入し過ぎてしまうと、回収できない期間が長引いてしまいます。新規事業が失敗する可能性も考慮して、初期段階では最小限の資金で事業の検証を行いましょう。事業の進捗状況や市場の反応に応じて柔軟に資金を投入すれば、無駄な投資を防ぐ効果も期待できます。
まとめ
社内ベンチャーは母体企業内に新設されて、新しい事業やサービスを生み出せる組織です。母体企業の持つ人材・資金・技術などの資源を活用して、革新的なアイデアを形にできます。また、社内ベンチャーで新事業に成功できれば、企業に新しい風を吹き込んで組織全体の活性化にも貢献が可能です。企業で新規事業の立ち上げを検討されている方は、社内ベンチャーという選択肢も候補に入れてみてはいかがでしょうか。