法定内残業と法定外残業の違いは?法定内残業と法定外残業の違いを正しく理解し、適切な残業代の支払いを行いましょう

2022年11月21日

イメージ

残業には法定内残業と法定外残業の2種類があります。しかし、その違いを正しく理解できていますでしょうか?残業代の未払いが社会的な問題になるなか、法定内残業と法定外残業の違いを適切に理解し、正しい残業代の支払いを行うことが必要です。今回は、法定内残業と法定外残業の概要と違い、それぞれの割増率、法定内残業と法定外残業における残業代の計算方法について詳しく解説します。

労務管理に便利なクラウド型勤怠管理システムAKASHIの資料はこちら>>

法定内残業と法定外残業はどんなもの?

法定内残業とは

法定内残業とは、会社の就業規則や労働契約などで規定された所定労働時間を超過しているものの、法定労働時間の範囲内で働いた時間です。所定労働時間は各会社が独自に規定するもので、始業から終業までの時間から休憩時間を引くことで算出可能です。法定労働時間は1日8時間かつ1週40時間までを限度として定めています。ただし例外があり、特例措置対象事業所や繁閑の差が激しい業種では1日8時間を超えることもあります。

法定外残業についても確認しよう

法定外残業とは、1日8時間かつ1週40時間が原則の法定労働時間を超えて働いた残業時間です。実際の労働時間から法定労働時間を引いた時間が法定外残業時間となり、労働基準法によって会社から従業員に対し割増賃金を支払うことが規定されています。なお労働基準法では残業という言葉は用いられず、法定労働時間を超えた分は時間外労働といいます。

法定内残業と法定外残業の具体例

残業についていくつかの例を見てみましょう。勤務時間が9:00~17:00、休憩時間が12:00~13:00の条件で働いている人の場合は以下のとおりです。

  • 9:00から17:00まで働いた場合
  • 所定・法定いずれの労働時間も超過していないため、どちらの残業も発生せず残業代の支給は不要です。

  • 18:00まで働いた場合
  • 所定労働時間を超過しているが法定労働時間を超過していないため、超過した分の1時間が法定内残業に該当します。

  • 19:00まで働いた場合
  • 所定・法定いずれの労働時間も超過しているため、2時間超過した内1時間が法定内残業、残りの1時間が法定外残業となり、後者については割り増し賃金を支払うことが必要となります。

残業には36協定が必要

法定労働時間を超える残業を行う場合、会社と従業員の間で36協定を締結して労働基準監督署に提出しなければなりません。これを怠ると月に1時間であったとしても法定外残業をさせることはできません。36協定とは企業が法定労働時間を超えた労働を命じる際に必要となる、労働基準法36条に基づく労使協定です。36協定では従業員と書面で協定を結び、行政官庁に届け出れば労働時間の延長または休日勤務が可能です。ただし、無制限に残業していいわけではなく、原則として法定外労働は月45時間、年360時間までを限度としており、これに違反すると企業には罰則が科せられます。

法定内残業と法定外残業の割増率の考え方

法定内残業の場合

法定内残業については、法的に割増賃金を支払うことを義務付けられておらず、所定労働時間を超過した分については通常の賃金を支払わなくてはなりません。実際の運用としては、それぞれの会社が独自のルールを規定しており、就業規則や賃金規定の中で割増賃金を支払うケースも多くあるため、実務の際に確認が必要です。割増賃金を支払うことと規定しているのであれば、規定に従って法定内残業時間を計算した数値に、所定の割増率を掛けて残業代を算出します。実情としては所定労働時間を8時間としている企業が多く、残業=法定外残業となるケースが多いようです。

法定外残業の場合

法定外残業については法的に割増賃金を支払うことが義務付けられており、1日8時間もしくは1週40時間を超えて働いた場合は25%以上の割増賃金支給が必要になります。また、月の労働時間が60時間を超えていた場合は50%以上の割増賃金支給が必要です。中小企業についても、2023年3月末までは60時間を超えて働いた分も25%以上の割増賃金支給と据え置かれていますが、2023年4月以降は同じ50%以上となります。なお法定外残業の残業代は正社員、アルバイト、パートといった雇用形態に関わらず支払わなくてはなりません。

割増率を整理しよう

賃金の割増率には、労働条件に関する一定の基準が定められています。時間外労働や休日労働の基準には、法定労働時間と法定休日が適用されます。企業で独自に定める所定労働時間や、所定休日とは関係ないため注意が必要です。割増賃金の種類と割増率は以下のとおりです。

種類 支払う条件 割増率
時間外 法定労働時間を超えた場合 25%以上
36協定の限度時間(1ヶ月45時間、1年360時間)を超えた場合 25%以上
時間外労働が1ヶ月に60時間を超えた場合 50%以上
休日 法定休日に勤務させた場合 35%以上
深夜 22時から5時までの間に働かせた場合 25%以上

法定内残業と法定外残業の残業代を算出しよう

法定内残業の残業代の計算方法

法定内残業の残業代の計算方法は一般的に以下の式で求められます。

  • 法定内残業時間 x 1時間当たりの通常賃金
  • 法定内残業1時間当たりの通常賃金は月給制勤務の場合、以下の式で求められます。

  • 月給 ÷ (1日の所定労働時間 x 月間所定労働日数)
  • 月給に家族手当、通勤手当、住宅手当などの各種手当が含まれている場合は月給の金額から除外しなければなりません。除外される手当は、個人の事情に対して支給されている手当が対象となります。ただし「住宅手当は従業員一律に10,000円支給」などのように個人の事情や条件に関わらず一律で支給されているものに関しては月給に含まれます。

法定外残業の残業代の計算方法

法定外残業の残業代は、1日8時間を超えて働いた場合以下の式が基本となります。

1時間当たりの通常賃金 x 法定外残業時間 x 割増賃金率

平日に深夜労働をした場合や法定休日の深夜労働は、それぞれ法定外残業代と法定休日労働代に深夜労働代が加算されて計算されるため、重複している割り増し分の漏れがないように注意することがポイントです。また、1時間当たりの通常賃金は上記で紹介した式から算出できますが、月給制でない場合、就業規則や賃金規定、給与明細などから確認しましょう。

関連記事:

まとめ

従業員が所定労働時間を超えて残業をした場合は、対価として割増賃金を支払うのが原則です。世の中にはサービス残業という言葉もありますが、サービス残業もれっきとした残業なので、本来ならサービス残業に対しても割増賃金を支払わねばなりません。未払いの残業代がある企業は、ブラック企業とレッテルを貼られるうえに労働基準法に違反したと見なされ、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることもあります。従業員との無用なトラブルを避けるためにも法定内残業と法定外残業について正しく理解し、正確な残業代の計算をすることが大切です。

「AKASHI」の資料・事例集を
ダウンロード >
tag

勤怠管理システム
「AKASHI」

カンタン登録ですぐにお試し可能です

30日間無料 全機能を体験できます 無料トライアル 今すぐ試してみる 30日間無料 全機能を体験できます 無料トライアル 今すぐ試してみる

活用方法や事例をご紹介

資料・事例集をダウンロード

毎日開催中。まずは聞いてみる

個別オンラインデモ