海外のバカンス事情とは?! 年次有給休暇制度の国際比較

2017年2月7日

「日本人は休めない」「海外の人は毎年バカンスを楽しんでいる」…こういったイメージを持っている人は、多いのはないでしょうか。しかし、実際に海外では何日の有給休暇を付与されているのかを知っている人は、あまりいないことでしょう。

そこで今回は、世界各国の年次有給休暇事情について調査してみました!

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日本の有給休暇事情


日本の有給休暇制度は、労働基準法第39条で定められています。企業は、雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10日の有給休暇を与えなければなりません。

また、1年6ヶ月以上継続勤務した労働者に対しては、6ヶ月を超えた日から起算した継続勤務年数1年ごとに、継続勤務2年目までは1日ずつ、3年目以降は2日ずつが、最大10日(合計20日)まで加算されます。

これを表で表すと、以下のとおりです。

表はスライドできます

継続勤務年数(年) 付与日数(日)
0.5 10
1.5 11
2.5 12
3.5 14
4.5 16
5.5 18
6.5以上 20

このように、日本の有給休暇制度は、労働者の継続勤務年数によって付与される有給休暇の日数が変わってくるという点が特徴となっています。

世界各国の有給休暇事情

それでは、世界各国の有給休暇事情を見ていきましょう。

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国の労働は「Fair Labor Standards Act」という法律によって規定されていますが、先進国としては珍しく、年次有給休暇が法令によって規定されていないという点が特徴です。

アメリカでは、有給休暇を付与するかどうかは企業と労働者の契約によるものとされ、労使間の合意に委ねられています。しかし、アメリカ労働省が公表した2012年のデータによると、8割近くの労働者が有給休暇を付与されており、多くの民間企業では有給休暇制度を導入していることがうかがえます。

イギリス

イギリスでは、「Employment Rights Act」等の法律で有給休暇について定めています。イギリスの有給休暇制度の対象は全ての労働者であり、週の就労日×5.6日(最長28日)の年次有給休暇が与えられます。

例えば、週5日働いている労働者は5×5.6=28日、週3日働いている労働者は3×5.6=16.8日の年次有給休暇が付与されます。ただし、法定の有給休暇は最長28日に制限されているため、週6日以上働いている労働者であっても、付与される有給休暇は28日とされます。

フランス

フランスの労働は、「Code du Travail」という労働法典で規定されています。フランスでは、労働者が10日以上継続勤務した場合、1ヶ月につき2.5労働日の年次有給休暇が発生します。したがって、1年間で30日の有給休暇を取得できます。

また、労働者は5月1日~10月31日の「法定期間」の間に、メイン休暇として一定日数(2週間~4週間)の休暇を一度に連続して取得しなければなりません。

スペイン

スペインにおける労働を規定する法律には「Estatuto de los Trabajadores」などがあります。この法律によると、年次有給休暇は暦日で30日間与えられ、これは金銭的補償によって代替することはできないこととされています。

また、これに加えて、労働者は以下のような理由があった場合には有給休暇を取得することができます。

  • 結婚:15暦日
  • 子供の出産、死亡、事故、重病、入院等:2暦日
  • 引っ越し:1暦日
  • 公的あるいは民間の義務を負っているとき:必要な期間

韓国

韓国の労働法は「勤労基準法」といい、ここで年次有給休暇について規定されています。韓国の年次有給休暇の考え方は日本に近く、雇入れ後の最初の1年間で全労働日の8割以上労働した労働者に対して、次の年から年間最低15日の年次有給休暇が与えられます。

継続勤務年数が3年を超えると、25日を最大として、2年ごとに1日ずつ付与される年次有給休暇が増えていきます。具体的な取得日数は、以下のとおりです。

表はスライドできます

継続勤務年数(年) 年次有給休暇日数
1年以上3年未満) 15日
3年以上5年未満 16日
5年以上7年未満 17日
7年以上9年未満 18日
21年以上 25日

国際労働機関(ILO)による条約

国際労働機関(ILO)では、有給休暇に関して、「年次有給休暇に関する条約(1970年の改正条約)」という条約を採択しています。この条約には、下記のような事項が定められています。

  • 労働者は1年につき3労働週の年次有給休暇の権利を持つ
  • 休暇は原則として継続したものでなければならないが、事情により分割可能
  • 休暇給与は先払いで、祝日や慣習上の休日は年次有給休暇に含めない
  • 病気やけがの欠勤は一定の条件下で年休の一部として数えないことが可能

世界的に見た有給休暇制度の傾向

国際労働機関(ILO)が公表した2012年のデータによると、世界的にみて圧倒的多数の国が年次有給休暇制度を法定化しており、調査できた国のうち96%が年次有給休暇制度を定めています。また、多くの国が、年次有給休暇に関する条約で定められている「1年につき3週間の年次有給休暇」という条件を満たしているようです。

地域ごとに見てみると、ヨーロッパやCIS諸国では、ほとんどすべての国(94%)が20日以上の最低年次有給休暇を認めています。アフリカでは、調査された国のうち約7割が、最低年次有給休暇15~23日の範囲内に収まっています。一方、アジア太平洋地域では、年次有給休暇が14日に満たない国が半分以上(54%)を占めています。

有給休暇という観点からみると、やはりヨーロッパ圏は他地域に比べて充実しているということができるでしょう。

まとめ

ここまで海外の有給休暇制度について紹介してきましたが、諸外国と比較すると、日本の労働環境は決して良いと言うことはできないでしょう。また、日本の場合、付与された有給休暇の日数と実際に取得された日数の間に隔たりがあることも問題となっています。

有給休暇をきちんと取得してしっかりと休むことは、生産性の向上にもつながります。この記事をきっかけに、有給休暇の取得促進に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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