働き方改革の成功事例5選! 見本となるアイデアをご紹介

2020年8月6日

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2019年4月から働き方改革関連法が施行され、多くの企業は大きな変革を迫られるようになりました。働き方改革には、労働時間の見直しや働きやすい環境の整備、ダイバーシティの推進など様々な取り組みがあり、企業によって取り組みは異なります。今回は、働き方改革の概要や背景、働き方改革実現のためのアイデア、成功事例について解説していきます。

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働き方改革とは

厚生労働省では、働き方改革の指針として「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」という3項目をテーマに取り組みを推進しています。

長時間労働の是正

これまでは労働基準法において時間外労働の定めがありませんでしたが、働き方改革の動きによって時間外労働の限度が設けられました。新たな規定は、「月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、月100時間未満・複数月平均80時間(どちらも休日労働を含む)を限度に設定」となっています。時間外労働の上限に法的拘束力が生まれたことで、長時間労働の抑制に効果を見出せるものとなりました。

多様で柔軟な働き方の実現

勤務場所や勤務時間が限定されていると、意欲があっても労働に従事できない人を減らすことは困難です。出産や子育て、家族の介護などのために退職せざるを得ないケースを減らすには、場所や時間に縛られない働き方を実現する施策を整えることが有効です。厚生労働省でも、「働き方改革の実現に向けた取り組み」としてテレワークや副業・兼業など柔軟に働きやすい環境整備を推進しています。

雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

総務省統計局によると、「2019年度の役員を除く雇用者5,660万人のうち、正規の職員・従業員数は3,494万人で前年に比べ18万人増加。非正規の職員・従業員数は2,165万人で前年より45万人増加」とあり、非正規での雇用がより増加していることがわかります。その一方で、どの年齢層においても非正規雇用者は正規雇用者に比べ賃金が低くなるという傾向があります。正規雇用者の平均時給が1,963円であることに対し、非正規雇用者の平均は1,301円と非常に格差が大きく、政府も課題としているところです。またこの格差は同一企業や団体内のなかでも生まれており、厚生労働省は「同一労働同一賃金」と銘打って格差の解消を推進しています。

働き方改革の背景にあるもの

働き方改革の背景には、「少子高齢化」という日本の状況が深く関わっています。労働力の主軸となる生産年齢(15歳以上65歳未満)人口は1995年をピークに減少を続けており、将来統計では2060年の生産年齢人口は2010年よりも40%以上も減少するという見込みです。現在日本では、運輸や小売、飲食業などの業界ですでに人手不足が懸念されていますが、このままでは労働力不足がさらに深刻化することは間違いありません。そこで重要になるのが、生産年齢人口が減少するなかでいかに「労働の質を保ちながら量を維持できるか」という点です。長時間働くのではなく効率を上げて労働生産性を上げること、また多様な働き方を提示することで労働者を最大限活用できるようにすることを考えねばなりません。

改革を実現するためのアイデア

テレワーク

テレワークは政府が普及促進を進めている施策のひとつです。厚生労働省はテレワークを「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義しており、ポータルサイトの開設や、企業に対して助成金を用意するなどさまざまな活動を実施しています。場所や時間にとらわれない働き方は労働人口の増加に繋がるでしょう。

フレックスタイム

フレックスタイムは、労働者が始業・就業時刻、日々の労働時間を自ら設定して就業する制度です。通勤ラッシュの回避や育児や介護の時間を確保するためといった目的で、労働時間の配分を効率的に行うことができます。また働き方関連法案のなかで労働時間の調整を行う期間が1ヶ月から3ヶ月に延長されるという変更があり、労働時間の調整をより柔軟に行えるようになりました。

短時間勤務制度

短時間勤務制度は、平成21年6月に改正された育児・介護休業法で義務化されました。これまでは育児休暇から復帰した女性従業員に向けた制度が一般的でしたが、働き方改革によって介護を目的としたものや男性でも取得可能な企業が増えるなど、より幅広い使い方ができる制度になりました。

育児休暇

働き方改革における育児休暇の取り組みは、女性だけでなく男性の取得率をアップさせることを目的としています。子育ての負担が女性に偏り社会復帰のタイミングを逃してしまう現状を変えるためには、男性が育児を行うことのできる環境を整備することが急務です。例えば北欧諸国では男性の育児休暇取得率が90%を超えているのに対し、日本では3.2%と非常に低い取得率です。女性のキャリア形成を支援することで、労働人口の拡充を図ることができます。

働き方改革における成功事例

トヨタ自動車株式会社

  • 取り組み:在宅勤務制度、時短勤務制度か
  • 効果:女性社員の退職率の減少、女性幹部・技術者の増員

トヨタ自動車株式会社は女性社員の活躍、定着に重点を置いた育児や介護の制度充実に力を注いでいます。在宅勤務制度を新設し、子育てを行う労働者は時短勤務でそのまま所属が可能です。「夫婦双方の働き方改革」と称して夫婦で仕事と育児の両立を目指す取り組みを続けており、女性の退職率の減少や女性幹部・技術者の増員を実現しています。

中外製薬株式会社

  • 取り組み:テレワーク推進、長時間勤務削減、有給休暇取得促進
  • 効果:所定外労働時間の減少、有給休暇取得率アップ

中外製薬株式会社は育児・介護を行う労働者などをメインにテレワークを推進しています。また、長時間勤務削減に向けてフィードバックをして情報共有をしたり有給休暇の積極的な取得を促したりと、社員一人ひとりのワークライフバランスの改善を図っているのも特徴です。その結果、所定外労働時間の減少や有給休暇取得率の増加に繋がりました。

東急百貨店

  • 取り組み:時短勤務制度、休暇制度の充実
  • 効果:時間外労働の減少、有給休暇取得率アップ

東急百貨店は仕事と家庭の両立を支援する制度として、育児勤務者が長期的な活躍ができる制度の充実や育児・介護を対象とした時短勤務の制度を設けました。年次有給休暇の積立やリフレッシュ休暇を個別に設定するなど、休暇制度が多彩であることも特徴です。これらの活動により、2015年度には前年度比76.6%まで時間外労働を減らし、有給休暇の取得率も向上しました。

株式会社ワコール

  • 取り組み:短時間勤務制度、育児・介護休業制度
  • 効果:育児休業復職率100%

株式会社ワコール女性用下着メーカーの株式会社ワコールは、女性従業員の比率が高いために出産・育児や介護による離職率が高く、従業員をどう定着させるかが課題でした。そこで育児や介護に携わる従業員への支援として、短時間勤務制度や休業制度を導入しています。2010年度から14年度において育児休業取得者の復帰率が100%を達成していることから、大きな成果を生んでいることがわかります。

花王株式会社

  • 取り組み:コアタイム廃止、時間単位での休暇取得制度、男性の育児休暇取得促進、託児所設置
  • 効果:時間外労働の削減、男性の育児休暇取得率アップ

花王株式会社フレックスタイムのコアタイム(必ず勤務しなければならない時間帯)の廃止や休暇取得を時間単位で行えるようにしたことで、時間外労働の削減を実現しました。また男性従業員の育児休暇の啓蒙を広めることで2015年には取得率が対象者の4割を占め、さらに本社事務所では託児所を配置して育児との両立を支援しています。

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まとめ

生産年齢人口が減少し続ける日本が労働者不足にあえぐ事態に陥る未来はそう遠くはないでしょう。企業が労働生産性を上げ、そして労働者にとって働きやすい環境を整えるという「働き方改革」は双方に利益を生み出す取り組みです。労働者が多様な働き方を自由に選択でき企業全体で業務を効率的に遂行できる未来に向けて、すべての企業が前向きに取り組んでいかねばなりません。

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