企業や労働者にとって基本的な法律である「労働基準法」。現在、政府の働き方改革実現会議において、その見直しが行われていることが注目を集めています。
労働基準法はどのような法律で、これまでどのように改正されてきたのでしょうか。また、今後はどうなっていくのでしょうか。
今回は、労働基準法のこれまでの改正の歴史や今後の見通しについて解説します。
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労働基準法は、労働条件に関する最低基準を定めた法律です。日本国憲法第27条第2項の「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」という規定に基づいて、1947年に制定されました。
労働基準法では、賃金支払いの原則や労働時間の原則、時間外・休日労働、割増賃金、解雇予告、有期労働契約、年次有給休暇や就業規則等について規定されています。
ここで定められた基準は最低基準であるため、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定めた労働契約は無効となり、その部分については労働基準法の規定が適用されます。
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労働基準法の改正の歴史
労働基準法は、1947年の成立以来、雇用情勢の変化等を踏まえ、数次の改正を経て現行の規定となっています。
以下では、労働基準法のこれまで改正内容のうち、主要なものを取り上げます。
1947年 (S22) |
労働基準法(昭和22年法律第49号)成立 |
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1987年 (S62 |
労働基準法の一部を改正する法律(昭和62年法律第99号)成立 |
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1993年 (H5) |
労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律(平成5年法律第79号)成立 |
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1998年 (H10) |
労働基準法の一部を改正する法律(平成10年法律第112号)成立 |
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2003年 (S62) |
労働基準法の一部を改正する法律成立(平成15年法律第104号) |
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2008年 (H20) |
労働基準法の一部を改正する法律(平成20年法律第89号)成立 |
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労働基準法の今後の見通し
2015年に、労働基準法の改正案が国会に提出されました。この改正案は、長時間労働を抑制するとともに、労働者がその健康を確保しつつ創造的な能力を発揮しながら効率的に働くことができる環境を整備するため、労働時間制度の見直し等を行うことを目的としたものであり、以下の内容が含まれていました。
2015年 (H27) |
労働基準法等の一部を改正する法律案 |
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働き方改革関連法による変更点
上述の改正案を取りまとめた働き方改革関連法が2019年4月より順次施行されています。この改正では、労働者が個々の事情に合わせて多様な働き方を選択できるよう、長時間労働の是正や柔軟な働き方の実現、雇用形態によらない公正な待遇確保といった要項が加えられました。労働基準法において改正された具体例には以下のような項目が含まれ、その大半が2020年7月時点で既に施行されています。
2018年 (H30) |
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律成立 |
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この改正案は国会で審議されないまま継続審議扱いとなり、現在では撤回されています。また、政府の働き方改革実現会議では、長時間労働是正のため、現行の労働基準法の規定を見直し労働時間の上限を設けることなどについて議論を行っています。 労働基準法改正案の今後の国会提出状況や、提出された場合の国会での審議状況に注視が必要です。