オープンイノベーションとは?導入による利点と注意点について

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オープンイノベーションとは、積極的に企業内・外の技術やアイディアを組み合わせることによって、革新的なイノベーションの創出を目指す概念のことを指します。オープンイノベーションを導入することによって、外部から技術やノウハウを得ることができるため、自社にはない新たな価値を創造することが可能になります。しかし、外部との連帯が増えることによって、自社の情報が漏洩してしまうリスクもあります。

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オープンイノベーションの必要性が高まっている

オープンイノベーションとは

オープンイノベーションとは、2003年にアメリカの経済学者ヘンリー・チェスブロウ教授が提唱した概念で、研究開発や技術革新などにおいて、自社以外の企業や組織が持つ従来とはまったく異なる知識や技術を積極的に取り入れ、新たな価値を生み出す取り組みです。オープンイノベーションでは、外部から社内への知識や技術の流入を意味するインフローと、社内の知識や技術の外部への流出を意味するアウトフローを促進することで、社内外の境界を越えたイノベーションの創出を目指します。

クローズドイノベーションとの違い

クローズドイノベーションは自前主義ともいい、オープンイノベーションとは逆に社内の知識や技術など、自前のリソースのみを使って研究開発や技術革新などを実現する取り組みです。従来は多くの企業が自前主義に基づき技術革新を目指していましたが、ICTの発展やグローバル競争の激化などによって研究開発にかつてないスピード感が求められる中、基礎研究から製品開発まですべて自前で行う自前主義は限界に達しつつあります。

日本国におけるオープンイノベーションの状況

我が国日本におけるオープンイノベーションの実施状況は、欧米諸国に比べると低い傾向にあります。経済産業省所管の国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がオープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)とともに策定した「オープンイノベーション白書第三版」によると、オープンイノベーションの実施率は欧米諸国が78%であったのに対し、日本は47%でした。一部の企業はオープンイノベーションの効果として、新規事業の創出や既存事業の収益性向上などの成果を得ている一方、多くの企業はオープンイノベーション活動を実施していない現状となっています。

オープンイノベーションを導入するメリット

新たな価値を創造できる

元来イノベーションとは、新たな価値を創造することです。オープンイノベーションを導入することで、自前主義では難しい、従来とは異なる技術やまったく新しいアイディアを取り込めるため、より革新的な商品やサービスを実現できます。世界的に見ても、自前主義に基づくクローズドイノベーションが行き詰まりをみせる中、オープンイノベーションであれば企業の垣根を越えて新たな価値の創造が可能です。社内外の連携によって自社の得意分野以外のノウハウを獲得できれば、その後の研究開発に活用することでリスクヘッジや競争力の向上にも役立ちます。

事業を推進するスピードがアップする

新たに一から事業を立ち上げようとする場合、研究開発を社内のリソースのみで行おうとすると知識や技術が不足したり、新たな知識・技術の習得に膨大な時間やコストがかかったりする恐れがあります。オープンイノベーションで外部のリソースを取り入れることで、知識・技術の不足を補い研究開発にかかる時間を大幅に短縮することが可能です。オープンイノベーションでは、自前主義では難しい多角的な戦略を取ることもできるため、事業を推進するスピードは大幅にアップします。

コスト削減につながる

オープンイノベーションで外部のリソースを活用することで、研究開発のコストを大幅に削減できます。従来の自前主義ではすべて自社の負担で研究開発しなければなりませんでしたが、オープンイノベーションでは優れた知識・技術を社内外で共有することが可能です。さらに、社外の優秀なリソースにアクセスすることで、自社のノウハウも蓄積されます。蓄積されたノウハウは自社の研究開発に活用できるため、中長期的に見ても研究開発コストの削減につながる取り組みです。

オープンイノベーションの注意点

情報漏洩のリスクがある

インフローとアウトフローを促進するオープンイノベーションは、自前主義と比べると情報漏洩リスクが高まります。特に、協業や業務提携を前提としている場合は、情報漏洩に十分注意が必要です。オープンイノベーションを安全に実施するには、まずオープンにしても問題ない資源や領域を明確化します。その上で、競合他社に真似できない核となる能力であるコアコンピタンスを保護することが重要です。また、技術公募などを行う場合は、ポートフォリオ戦略が明るみに出ないよう公募段階では企業名を伏せたり、協業先と迅速に守秘義務契約を締結したりする対策が考えられます。

自社の研究開発が衰退する恐れがある

オープンイノベーションで社外の知識・技術に依存しすぎてしまうと、自社の研究開発レベルが低下する恐れがあります。特に、コアコンピタンスを全社で共有できていない場合、自社の独自性を発揮すべき領域に他社のノウハウを取り入れてしまい、独自性が薄れてしまうケースもあるため注意が必要です。また、オープンイノベーションの成功によって、自社内の優秀なスタッフはアイデンティティを失ってしまう恐れがあります。オープンイノベーションを実施する場合は、自社のリソースで対応できない領域に限って社外の資源を取り入れるのが重要です。

利益率が低下する可能性がある

協業や業務提携を前提としたオープンイノベーションの場合、利益率が低下する可能性があります。自前主義であればすべての利益を自社に還元できますが、外部連携した場合は連携先の企業や組織と利益配分が必要です。その分、自前主義の研究開発で必要となるコストや時間は大幅に削減できるため、利益率の低下だけに着目してデメリットであるとは言い切れません。しかし、自前主義より利益率が低下する可能性は否定できないため、後々トラブルにならないよう利益配分については提携先と十分協議を重ねておきましょう。

まとめ

今回はオープンイノベーションについて解説しました。オープンイノベーションとは、自社以外の企業や組織が持つ知識や技術を積極的に取り入れて、新たな価値を生み出す取り組みです。従来の自前主義が限界を迎えつつある中、革新的なイノベーションを実現する取り組みとして注目を集めています。オープンイノベーションは、新たな価値の創造やコスト削減などメリットが多い一方、情報漏洩のリスクや利益率の低下など一定のデメリットもある取り組みです。当記事を参考にメリット・デメリットを整理し、オープンイノベーションを推進しましょう。

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