アニバーサリー休暇とは?メリットや導入フローを詳しく解説します


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アニバーサリー休暇とは、従業員の個人的な記念日に休暇を取得できる制度です。誕生日や結婚記念日など、従業員にとって大切な日に休暇を取得できるようにすることで、従業員のワークライフバランスを向上させることが期待できます。今回はアニバーサリー休暇の内容、メリット、導入フロー、実際の企業の導入事例について解説します。

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アニバーサリー休暇の導入が広がっている

アニバーサリー休暇とは

アニバーサリー休暇とは、従業員にとって記念日に当たる日やその前後に休暇を取得することができる制度のことです。自身の誕生日、家族の誕生日、結婚記念日などをアニバーサリー休暇取得可能日と設定している場合が多いですが、従業員が記念日を自由に決めることができる企業もあるようです。
アニバーサリー休暇は、福利厚生の一環として企業が任意に与える特別休暇のひとつであり、慶弔休暇、夏季休暇、リフレッシュ休暇などと並んで、従業員のワークライフバランスを向上させる効果が期待できます。
上記のような特別休暇は、法律で規定されている訳ではないため、企業ごとに独自のルールで設定されます。また、休暇を取得した日を有給にするか無給にするかについても企業に任されています。

アニバーサリー休暇のメリット

アニバーサリー休暇を導入することで、次のようなメリットがあります。

  • 有給休暇取得率の向上
  • アニバーサリー休暇を年次有給休暇から取得するように設定すれば、有給休暇取得率の向上につながります。年中無休の職場や、人手不足で休みが取りにくい職場の場合、アニバーサリー休暇制度は、休むことに対する正当な理由付けになります。誕生日などは全従業員に公平に訪れるため、公平感にもつながることでしょう。また、取得する日にちが事前にわかることから、業務の調整がしやすいこともメリットとしてあります。結果として、有給休暇を取得しやすい空気が社内に生まれ、取得率の向上につながることが期待できます。

  • 従業員のモチベーション向上
  • アニバーサリー休暇制度によって、従業員は自身にとっての大切な一日を仕事から解放されて、自由に過ごすことができます。こういった機会を企業側が積極的につくることで、従業員のモチベーション向上につながることでしょう。特別な感情を込めやすいアニバーサリー休暇は、普通の休暇に比べて、従業員の心身をポジティブな状態にしやすく、自社に対するエンゲージメント意識も育みやすいといえます。そのため、職場定着率の向上と離職率の低下という副次的な効果も期待できるのです。

  • 採用活動でのアピールになる
  • 自社の採用活動において、アニバーサリー休暇制度はアピールポイントにもなります。アニバーサリー休暇は福利厚生の充実や、従業員のことを大切に思う企業という印象につながります。「あって当然」と思われがちな慶弔休暇などと違い、特別感がある点でも注目されやすいため、他企業との差別化を図ることができます。

アニバーサリー休暇が普及した背景

アニバーサリー休暇が普及した背景には、日本の企業において年次有給休暇の取得率が低いことが影響しています。
日本政府は、2025年度までに年次有給休暇の取得率を70%とする目標を掲げましたが、厚生労働省が行った調査では、2020年の有給取得率は56.6%にとどまる結果となりました。また、年次有給休暇を取得することに対して「ためらいを感じる」労働者は13.3%、「ややためらいを感じる」労働者は39.4%と、過半数の労働者は有給休暇が自由に取得しづらいと感じています。その理由としては「みんなに迷惑がかかると感じる」「後で多忙になる」「職場の雰囲気で取得しづらい」など、周りの空気を気にして取得できないケースが挙げられています。
そのため、有給休暇を取得するきっかけをつくろうと、アニバーサリー休暇が注目されるようになりました。

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アニバーサリー休暇の導入フロー

アニバーサリー休暇の扱いを協議する

まず、どのような記念日をアニバーサリー休暇とするか、従業員の意見を取り入れながら決めましょう。例えば、社内に独身従業員が多ければ、一番無難なのは「従業員自身の誕生日」です。しかし、既婚者や育児中の従業員が多い場合は、家族の誕生日や結婚記念日なども対象にしたいという声があるはずです。社内アンケートや労働組合との協議により、従業員が最も嬉しいアニバーサリー休暇制度をつくりましょう。

アニバーサリー休暇の取得条件を決める

アニバーサリー休暇について、取得条件を明確にします。

  • 給与の支払いについて:有給とするのか無給とするのか
  • 対象となる従業員の条件:「入社1年以上の従業員」など
  • 取得の申請を行うタイミング:「取得したい日の1ヶ月前まで」など
  • 手続きの方法:「誰に対して申請するか」「どのような申請書を作成するか」など
  • 取得日数:「記念日の前後〇日間」「翌年に繰り越せるか」など

就業規則に追記する

休暇に関する項目は、就業規則に必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」にあたります。アニバーサリー休暇を設定する場合は、就業規則に新たに規定を設ける必要があります。取得条件を明記したうえで、労働基準局に届出ましょう。

従業員に周知する

アニバーサリー休暇制度を導入したら、従業員に周知する必要があります。社内掲示板、メール、社内報、社内SNSなどを通して告知すると良いでしょう。
また、上司が積極的に休暇を取得したり、休暇を取得した従業員の声を取り上げたりするなど、休暇を取得しやすい職場環境や雰囲気づくりをすることが大切です。

アニバーサリー休暇の導入事例を見てみよう

株式会社タカラトミー

株式会社タカラトミーでは、2012年からアニバーサリー休暇を導入しています。
同社は、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みとして、2010年にリフレッシュ休暇を導入し、同時に「誕生日なら誰にでもあるから、平等に休む機会になる」と考えて、誕生月の中の1日を休暇にできるバースデー休暇をスタートさせました。しかし、「誕生月が繁忙期に当たって休暇を取得できないので、もう少しフレキシブルに休暇を取得したい」という社員の声から、自身の誕生日に限らず、家族の誕生日、結婚記念日などどんな記念日でも休暇を取得できる柔軟性のあるアニバーサリー休暇に発展させました。

クルーズ株式会社

クルーズ株式会社は、2001年に設立したITベンチャー企業です。同社には、「家庭を持った社員でも働きやすい」ことを意識した数々のユニークな休暇制度があり、アニバーサリー休暇もそのひとつとして2007年に導入されました。
同社のアニバーサリー休暇は、自分が選んだ記念日に年1日の休暇を取得できる制度であり、入社1年目から取得できることが特徴です。
ほかにも、勤続7年目の社員に対して5日間の休みと15万円の旅行代金をプレゼントする「ルーラー制度」、年末年始やゴールデンウイークなどの長期休暇をずらして取得できる「プラチナウイーク制度」などがあります。

東京フード株式会社

業務用チョコレートの製造会社である東京フード株式会社では、年次有給休暇取得率向上の取り組みとして、2008年からアニバーサリー休暇が導入されています。
同社のアニバーサリー休暇は、年次有給休暇とその繰り越し分から取得する休暇です。導入当初は誕生日月に1日休暇を取れる制度でしたが、「冬場の繁忙期に誕生日を迎える人は休みづらい」といった声から、誕生月に限定せず休みが取れるよう柔軟性を持たせました。また、各部署の上長や総務部が休暇取得日を調整、管理して運用したところ、取得率がほぼ100%になったそうです。
子供の運動会や入園式などの学校行事や家族の記念日などのシーンに利用する従業員が多く、勤続年数1年以上の正社員が取得できます。

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まとめ

アニバーサリー休暇は、企業が任意に設定できる特別休暇であり、有給休暇取得の向上をはじめ、ワークライフバランスの実現、従業員のモチベーション向上など従業員と企業の両者にメリットがあります。福利厚生が充実している企業として社外的にも良いイメージを持たれ、採用活動の際にも大きなアピールポイントとなるでしょう。
企業のイメージアップや有給休暇消化率の改善策として、アニバーサリー休暇の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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