36協定や特別条項を違反したらどうなる? 36協定のルールについて徹底解説

2020年11月10日

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企業が労働者に残業をさせる場合、労働者の過半数代表との間で36協定を締結しなければなりません。また、36協定の特別条項を定めると、36協定の上限を超えた残業時間を認めることも可能になります。しかし、36協定のルールは複雑であり、違反時には責任者への罰則や企業名の公表がされてしまうため注意が必要です。今回は、36協定や特別条項の意味、特別条項を定めるためのルール、違反時の罰則や防止法について解説します。

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36協定と特別条項の概要

36協定とは

36協定は時間外労働・休日労働に関する協定です。労働基準法で定められている労働時間や休日日数を超えて時間外労働、あるいは休日労働させる場合はこの協定を締結し、労働基準監督署に届け出ておく必要があります。
協定は使用者と労働者の代表とが締結するのが原則です。労働者の代表とは、労働者の過半数で組織する労働組合があれば労働組合、なければ労働者の過半数を代表する者(監督や管理の地位になく、民主的な方法で選出された者)を指します。
協定は本社や支店、営業所ごとの締結が必要です。事業場を管轄する労働基準監督署長に届け出なければ時間外労働・休日労働を行わせることができないため、注意しましょう。そのうえで、作業場の目立つ場所への提示や備え付け、書面の交付などにより、労働者に協定について周知しましょう。

特別条項付き36協定とは

特別条項付き36協定は合法的に残業時間の上限を延長できる協定です。長時間労働が常態化するのを避けるために、残業時間の延長は特別な事情があり、かつ臨時的な措置でなければなりません。
特別条項を適用する際は、適用する労働者に対し、健康および福祉を確保するための措置の取り決めが必要です。また、健康・福祉確保措置の実施状況に関する記録は36協定の有効期間中と有効期間の満了後3年間保存する義務があります。
特別条項は製造に不具合が生じて急遽リコール対応が必要になった場合や、決算期で業務量が増加する場合などに適用できるため、業種の特性に合わせて活用することができるでしょう。ただし、適用時も時間外労働時間が過労死ラインに当たらないか注意し、過剰な残業命令などのパワハラが起こらないように配慮しなければなりません。

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特別条項を定めるためのルール

  • 以下について協定する。その際、可能な限り36協定の限度時間(月45時間・年360時間)に近づけるようにする。
  1. 1ヶ月の時間外労働+休日労働の合計時間数(100時間未満)
  2. 1年の時間外労働時間(720時間以内)
  • 労働者の健康・福祉を確保する。具体的には以下の中から協定するのが望ましい。
  1. 医師による面接指導の実施
  2. 深夜業(22~5時)の回数制限の実施
  3. 終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)
  4. 代償休日・特別な休暇の付与
  5. 健康診断の実施
  6. 心とからだの相談窓口の設置
  7. 配置転換の実施
  8. 産業医等による助言・指導や保健指導の実施
  • 限度時間を超えることができる回数について、年6回までの範囲で協定する。
  • 割増賃金について協定する。その際、25%を超える割増率となるように努める。
  • 事由は以下のような特別な事情かつ臨時的なものに限る。
  1. 予算、決算業務
  2. ボーナス商戦に伴う業務の繁忙
  3. 納期のひっ迫
  4. 大規模なクレームの対応
  5. 機械トラブルの対応

36協定に違反した場合の罰則と防止法

違反した場合の罰則

36協定に違反した場合は罰則が科せられます。違反を防止するためには、日頃からしっかりと勤怠管理を行うことが重要です。

  • 36協定の締結・届出をせずに時間外労働をさせた場合
  • 36協定で定めた時間を超えて時間外労働させた場合
  • 時間外労働と休日労働の合計時間が月100時間以上となった場合
  • 時間外労働と休日労働の合計時間が2~6ヶ月の平均のいずれかが80時間を超えた場合

法律違反にあたる場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を課されるので注意しましょう。

違反しないための防止法

労働関係法令の違反を防止するには日頃の勤怠管理が欠かせません。特にリモートワークなど多様な働き方が浸透している現代においては、「勤怠管理システム」の活用が効果的でしょう。
勤怠管理システムとは、勤怠や稼働時間、時間外労働、休暇などをWeb上で申請や登録、確認、管理できるサービスのことをいいます。36協定を遵守するためには、まずは労働者の労働時間やその全体量を把握しなければなりません。勤怠管理システムを導入すれば、労使協定が定める時間外労働の上限を基に各企業で定められた労働時間の設定が可能です。設定値をオーバーする場合、管理者および労働者に通知されるため、時間外労働の上限の超過を未然に防げます。労働時間の管理はもちろん、人事労務ソフトや給与計算ソフトなどの他社サービスとの連携によって、煩雑な手続きを自動化できるのもメリットです。

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まとめ

ここまで36協定やその特別条項の概要、違反時の罰則について解説しました。36協定は時間外労働・休日労働に関する協定であり、特別条項付き36協定は合法的に残業時間の上限を延長できる協定です。労働者に時間外労働や休日出勤をさせる場合は36協定を結び、届出をする必要があります。法律に則った労働時間を遵守することはもちろん、就業時間内に終わる量の仕事を割り振ることが重要です。法律を違反したことが明るみになれば、経済的損失だけでなく企業の信頼も失ってしまうことを留意しておきましょう。

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